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HOME>100のお題その1

056:夕焼け


僕は、僕だけの女性(ひと)を探している。
嗚呼、神様。

【056:夕焼け】

また今日も一日が終わる。
照りつけていた太陽は山の向こうに沈み、辺りは橙色の夕焼けに包まれる。

「よぉ、また今日も無駄な努力だったな」

「無駄じゃないさ。きっとまだこの世界には僕だけの女性(ひと)が残っているはずさ」

「でももう時間がないぜ。俺達に残された時間は残り僅か。それも土から出てきたのは夏の終わりだ。俺達以外に女性(ひと)なんているはずがない。これは俺たちセミの宿命なんだ。もう諦めたほうが賢明だと思うぞ」

「嫌だ、嫌だ…僕は一人で死にたくない。僕は、僕は…」

「俺達が土から出て今日で七日目だ。そろそろ体力の…限…界…」

一匹のセミは木から音もなく転がり落ちた。
友達はそれきり動かなくなった。
夕焼けの中で僕は必死に鳴いた。
もうこの世界には僕だけしか残されていないのだろうか?
絶望に押しつぶされそうになりながら、僕は。

嗚呼、神様。
やっと見つけた。
僕だけの、女性(ひと)。

END.
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