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057:亡霊

本当に怖いのは、人間か亡霊か。

【057:亡霊】


一人暮らしして間もない頃呼び鈴が鳴った。
田舎から就職してきたばかりで警戒心などなかった僕は何の疑いもなくドアを開けた。
すると50歳過ぎのおばさんと、若い女が立っていた。
女の子が可愛らしい感じの子でボーっと見とれていると、おばさんが、最近少年犯罪が多発してるのでアンケートにご協力下さいと言ってきた。
休日で暇だった僕は簡単に了承した。
最初の方は少年犯罪に関する質問だったが、そのうち質問の内容が恋愛、結婚といった内容に変わっていった。
ちょっと不審に思いながらもアンケートは数分で終わった。
アンケート用紙を鞄にしまったおばさんが小さい小瓶に入った赤い液体を取り出した。
そして僕に言った。

「これ飲んで貰えますか?」

「は?」

僕は唖然として聞き返した。

「これ飲んで貰えますか?怪しいものとかではないから大丈夫ですよ。だだのワインですから」

おばさんは笑いながら赤い液体が入った小瓶を僕に渡そうとした。

「嫌ですよ。そんなの飲めるわけないじゃないですか」

僕は気味が悪くなり強い口調で言った。
おばさんはそれにもひるまず飲んでと必要に勧めてきた。
隣の女の子も大丈夫ですからと言って勧めてきた。
困った僕は

「アルコール駄目なんですよ。アレルギーなんです」

と適当に嘘を吐いた。

「ちょっとですから大丈夫ですよ」

おばさんは笑いながらまだ勧めてきた。

「アルコール飲むとアレルギーで死ぬかもしれないんですよ。死んだらどう責任取ってくれるんですか?」

そう言うとおばさんはやっと引き下がり、パンフレットを僕に渡し、残念そうな顔をして女の子と一緒に帰っていった。
そのパンフレットに載っていた写真の男に見覚えがあった。
一時期、壺を高額な値段で売りつけたり大勢の合同結婚式を挙げるなどして話題になった某宗教団体
の代表だった。
おばさんが勧めてきたあの赤い液体は、本当にただのワインだったか?
つくづく飲まなくてよかったと思い、僕はアパートのドアを閉めた。

カリカリ、カリカリ。

不気味な音が聞こえる。
長い黒髪をボサボサに垂らした亡霊が僕の目の前に立っている。
嗚呼、またか。
何か未練があるのか、恨めしそうに僕を見つめている。
そんなに恨めしそうな目をするなよ。

ちょっと勢い余って僕が殺してしまっただけのことじゃないか。


END.
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