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HOME>100のお題その1

093:真実

正義だって負けるんだ。
悪は決して滅びません。

【093:真実】

君はこう考えたことはないか?
いつも会社に出かけて真面目に仕事をしている父がもし正義のヒーローだったなら…って。
子供の頃、特に男の子は一度くらいはこんな想像をしたことがある筈だ。
結論から言おう、僕は2児の父親であり正義のヒーローである。
え?色?
色なんか聞いてどうするんだい。
戦隊ヒーローは大体5色+αとか夢の壊れる表現はやめてくれないか。
緑だよ。
地味って言うな。


僕の朝は早い。
早朝5時。
目覚まし時計を止めるなり緑色のエプロンを装備し、子供達の朝食を作る。
ちなみに妻はまだ寝ている。
起こそうとしたら腹部に蹴りを入れられた。

朝食や弁当を作り終わって午前8時。
子供達を見送ると、今度はスーツに着替える。
弁当をビジネスバッグにつめて、僕は再度妻へと向かって話しかける。

「それじゃあ、行ってくるよ」

返事はおならだけだった。


午前9時。
仕事が始まる。

「おい山田ァ!昨日の書類間違いだらけだったぞ!!」

部長に怒鳴られ、後輩に笑われる。

「山田さん、また怒られてる…」

OL達の忍び笑いが更に笑いを誘う。

「すまないが、お茶を入れてくれないか?」

「自分で入れてください」

嗚呼、なんて世間は冷たいんだ。


正午。
早朝自分で作った冷えた弁当をひとりで食べる。
唯一のやすらぎの時間。

「ママー、あの人リストラされたの?」

「しっ大声でそんな事言わないの!」

子供って時に残酷だね。
僕はリストラされ、行き場のないくたびれた元サラリーマンに見えるらしい。
黙々と箸を動かす。
今日の弁当は何故かいつもよりしょっぱかった。


午後5時。
僕は会社を出る。
少しの開放感。
でも本当の仕事はこれから。

【ぴぴっ、グリーン今すぐ基地に来てくれ。錦糸町で怪獣が暴れている】

「了解」

僕は秘密基地へと向かう。
徒歩5分。


「グリーン、何やってたんだ。遅いぞ」

「すまない、少し仕事が立て込んでてな」

「錦糸町で怪獣グズラが暴れているらしい。全員揃ったから退治に向かう」

「「「「「ラジャ、変身」」」」」


結果から言うとなんとか怪獣は退治した。
だけど、隊員全員が骨折などの怪我を負った。
戦隊ヒーローは負傷がつきものである。
よって、保険が一切効かない。
病院に行けば10割負担だし、もし殉職しても葬式代すら出ない。
これほど過酷なボランティアがあっただろうか?いや、ない。



午後9時。

「ただいま」

返事はない。
冷え切った夕飯が作り置きされている。
子供達はもう寝てるし、妻は韓国ドラマを見ている時間だ。
いつものことなので慣れたが、電子レンジの「チーン」という音が哀愁を誘う。

「僕、何でこんな事やってんだろ」

答えてくれる人は居なかった。


…いかがだろうか?
これが戦隊ヒーローの真実である。
正義だって負けるし、悪は絶対に滅びない。
正義のヒーローなんてカッコイイもんじゃない。
だけど僕らはそれでも戦う。
いつか世界は正しい方向へと是正されると信じて。


END.
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