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HOME>100のお題その2

003:好奇心

日常のすぐ傍に闇の世界は広がっている。

【003:好奇心】

やっぱりここに来るんじゃなかった。
ごくごく普通な社会人の俺がこんなところに来るべきじゃなかったんだ。
隆史は後悔した。
時は3日前に遡る。

「隆史ぃ、日曜暇ぁ?」

友人の圭吾がヘラヘラと軽薄そうな笑顔を浮かべて隆史に尋ねた。

「暇だけど…何だよ?」

「ちょっと引越しっていうか…荷物運び手伝ってくんねーかな?」

「嫌だよ」

「半日手伝ってくれたら2万やるからさぁ」

「はぁ?なんだそれ…」

「な、いいだろ?人足りなくてお前にしか頼めなくてさぁ」

「うーん…」

圭吾は『一生のお願い』と言いながら両手をパンッと合わせて懇願する。
隆史は渋々頷いた。
半日手伝えば2万円っていうのに少し惹かれたのが本音である。

3日後。

「隆史ぃ、このダンボール箱トラックに積んで。そっとだぞ」

「分かった」

「落とすなよ!」

「分かってるって!」

圭吾と隆史の二人はある事務所の引越しを手伝っていた。
ある部屋だけは絶対に入ってはいけないと忠告された以外はごくごく普通の引越し風景。
これだけで2万円貰えるとはラッキーだなーと隆史は思いつつ、事務所の階段を降りようとした。
その時、丁度落ちていたビニール袋を踏んづけ…

パァン!!

一瞬何が起きたか理解が追いつかず、隆史は硬直していた。
自分が持っていたダンボール箱から銃声がしたのだ。
幸い、銃弾は壁に当たったようだが。

「隆史!?」

「え…あ…?これ何だよ…?」

「おいそれ人の荷物だぞ!?やめろよ!!」

圭吾が叫ぶ。
だけど、隆史は好奇心からか、圭吾の声を無視してそっとダンボール箱を開けてみる。
黒光りする、本物の拳銃が中に横たわっていた。

「圭吾…これなんだよ!?」

「落ち着けって!!」

「落ち着いていられるか!!大体、あの部屋だけは絶対に入ってはいけないって何だよ!?」

「隆史、落ち着けって!」

隆史は黙って入ってはいけないと忠告された部屋のドアをそっと開ける。
圭吾も口ではやめろと言ってるが、やはり好奇心のほうが勝るのだろう、隆史の後ろに続いてそっと覗いてみる。
薄暗い部屋、完全防音の壁、そして…

「ようこそ、ヤクザの事務所へ」

パァン!

男はそう言いながら、見知らぬ一人の男を隆史と圭吾の目の前で撃ち殺した。
鮮血が飛び散り噴き出す。
隆史と圭吾は腰を抜かして座り込んだ。

「駄目だぜ、好奇心か何かは知らないが他人(ひと)の荷物を勝手に開けちゃあ…」

つぴっ…じゅる…

殺しただけじゃあまだぬるい。
ヤクザの男は撃ち殺した男の死肉を貪り食っている。

「あんた…ひとじゃない…!」

「うん?まあ人外と言われる職業だからな。それにしても困ったなぁ…ほんとうに困った」

パァン!!パァン!!

「死体がもう2つも増えてしまったじゃないか…」

ヤクザの男は部屋の電灯を付ける。
新鮮な3つの死体と、無数の人骨。

「この部屋だけは覗いちゃいけないって言っても、皆好奇心で覗いちまうんだもんなぁ…これじゃあ、引越しできないじゃないか。ああ、困った」

PCに踊る文字。
そこには…

【アルバイト募集 引越しの手伝い日給5万円~】



END.
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