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HOME>100のお題その1

012:貴方と繋がる道具

貴方といると幸せなのは何故かしら?
貴方といると暖かい気持ちになれるのは何故かしら?
顔も、名前も、声も知らないけど。
貴方と繋がる、繋がっていられる唯一の道具は携帯電話。

貴方と出会ったきっかけは間違いメール。
本来なら宛先不明で送信されない筈なのに。
間違えたアドレス。
メールは日本の誰かに送信されてしまった。

『誰?』

と返信されて、私は思わず携帯電話を落としてしまった。

『ごめんなさい。 アドレスを間違えてしまって、偶然貴方に送信してしまったの』

私は2通目のメールを送信する。

『へぇ、そりゃすごい偶然だね』

顔も、名前も、声も知らないけど、不思議とメールのやり取りは1年以上続いた。
そんなある日、私は白血病で倒れた。
治る確率は低く。
余命は3ヶ月だと宣告された。
長い長い闘病生活が始まり、不安で、孤独で、寂しくて。
思わず携帯電話に手を伸ばす。
外に出て、メールを一通。

『私ね、あと3ヶ月で死ぬかもしれない』

返事は来なかった。
哀しくて、苦しくて、辛くて。
ああ、私は要らない人間なんだ、と思った時。

『俺がいるから。 死ぬなんて言うなよ』

というメールと共に、私の目の前に現れた青年。
手には青い携帯電話と沢山の花束を持って。

「貴方は…?」

「初めまして。 いや、1年以上もメールのやり取りをしているからこんにちは、かな」

はにかむ青年。
私は驚き、目を見開く。

「俺は、君の隣の家に住んでたんだ。 君が通勤で電車に乗ってる時、少しだけメールの内容が見えたんだ。 なんていう偶然だろう、メールの内容は俺の携帯に送信されたメールの内容そっくりそのままだった。 それで、君があの間違いメールの人だって分かったんだ」

涙が、止まらなくて。
何という偶然だろう。
神様のいたずらだったのだろうか。
数年後、私の白血病は治って。
私は彼とお揃いの携帯電話を持つようになり…

『愛しているよ』

私の携帯電話は、貴方のメールでいっぱいに溢れた。

END.
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