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【002:I know my wish. 2】



【002:I know my wish. 2】


「僕はね、1977年の7月7日7時07分に死んだんだ」

男はめでたい数字に死んだもんだと自分を皮肉る。

「両親から結婚の許可が下りて、彼女に報告に行く途中、交通事故で死んだのさ」

本当、変な死に方だと彼は笑った。

「まぁ、その次の年に彼女も死んでしまいましたがね。ところで、貴方は何故死んだのですかな?」

俺は

「分からないんです」

と呟く。

「どうやら誰かに殺されたみたいですが、犯人の顔は見てないんですよ」

「ほぅ。それはまた…」

彼は顔を曇らせた。

「俺はこの世界に失望してしまいました。平和に生きるのさえ出来ない世の中なんて、無くなってしまえばいい」

俺は自分の感情をさらけ出した。

「まぁまぁ、そう言わないで下さいよ。今日は七夕にしては珍しく星が出ている」

彼は夜空を見上げている。

「七夕が何だってんですか。所詮、昔話でしょう?」

「まぁまぁ、人の話は最後迄聞いて下さいよ。織姫と彦星の伝説は知っていますか?」

「え、えぇ」

「星の出ている七夕の夜、織姫と彦星が一緒になれた時。世界で1人、長年の夢が叶うのです。そして今日は、僕と貴方の願いが叶うのですよ」

彼は俺の顔を見つめて微笑する。

「どういう事ですか?」

俺は彼に尋ねる。

「僕は毎年、夜空が見える七夕の夜、彼女と逢えるんです。そして貴方は今日、長年の夢が叶う日なんですよ」

彼はそう言って、懐から長細い青色の紙を取り出す。

「見覚えないですか?この短冊を」

【10年先も健康に生きてますように。 七海 信夜】

確かに俺の字で書かれている。
この短冊は、10年前に俺が願い事を書いた短冊だった。

「どういう、事でしょう?」

俺は困惑した。

「七夕の夜に奇跡を」


…目覚めたら病院だった。


「俺は…生きてる?!」

「良かった」

目の前には涙を流しながら微笑む彼女がいた。
嗚呼、そうか。
I know my wish.
俺は自分の願いを知ったのだった。

「この世界もまだ捨てたもんじゃないな」

俺は呟いて微笑む。
ずっと
この先も。
健康に生きて笑ってますように。

END.
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