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貧乏神




本来、貧乏神は福の神(座敷わらし)と表裏一体だった。


昔、兵庫県のあるところに一人の貧乏な男がおった。
男は、食い物を食うより、寝てる方がいいというほど仕事嫌いだったという。
ある年の節分の晩、男は豆まきもしないで囲炉裏の横でぺったんこの布団にくるまって寝ていると、天井裏から妙な者が降りて来た。
片目を開けて見たら、病人のように痩せこけ、髭は伸び放題、頭は箒のように逆立った人相の悪い年寄りのようだった。

「何者だよ」

男は人相の悪い老人に訊いた。

「儂は長い間厄介になってる貧乏神だ」

人相の悪い老人は自分は貧乏神だと名乗ったそうな。

「何しに天井裏から降りて来たんだ」

男は貧乏神に言うと、貧乏神は

「お前ぇがあまりにも貧しいから、最近では儂の食う物すら残っていない。ひもじくて、ひもじくて、このままでは儂の命が持たないからそろそろ何処かに引っ越そうと思ってな」

と答えた。

「そうか、そりゃ結構だ。俺もその方がありがたい。一刻も早く出ていってくれ」

男は寝たまんまで、

「起きるのも億劫だから、戸はちゃんと閉めてってくれよ」

と言ったら、貧乏神は戸口(玄関)で振り返り

「忘れて出るところだった。長いこと世話になったお礼にいいことを教えてやる。明日の朝早く、家の前の道に出て待っていろ。宝物を積んだ馬が通る。1番前の馬には金と銀が積まれている。2番目の馬には、雅な織物が積まれ、3番目の馬…これが最後の馬だが、珊瑚や瑪瑙などの宝石が積まれている。1~3番目の馬のどれでもいいから棒で叩いたら、それらすべてお前の物になるはずだ。しっかりやれよ」

と言って戸を閉めて出て行ったんだと。
男は、そういうことなら明日は早起きして3つとも叩いてやろうと思い、長い棒で横なぐりにした方が叩き易いだろうと欲深いことを思案しながら眠ったんだと。
朝方、まだ薄暗い内に目が覚めた男は、もう起きなければならないと思ったが、いつもの怠け癖でなかなか起きられなかった。
それでも男は

「あいつの言う通りなら、どれか1つ殴っても一気に大金持ちになれるから試してみるか…」

と言いながら、渋々身体を起こして長い竿をかついで家の前の道に出て待っていた。
しかし、1番目の馬はすでに駆け抜けた後で、2番目の馬が走ってきた。
男は何も知らないまま、

「本当に馬が駆けてきたぞ。あの貧乏神の言う通りなら、あれが1番目の金銀の馬だな。それっ!!」

と、長い竿をブンブンと振り回した。
ところがどっこい、竿の先が長すぎて木の枝に引っ掛かってしまい、馬は竿の下をくぐって走り抜けてしまった。

「しまった、竿が長過ぎたか」

男は慌てて、今度こそと短い竿を持って待っていると、3番目の馬が走って来た。
男は何も知らないまま

「よし、あれは綾や錦を積んでる2番めの馬だな。今度こそ俺の物だ。え―い」

と短い竿をぶん回したが、今度は竿が短くて届かなかった。

「しまった。また、しくじった。竿が短過ぎたか」

と悔しがり、今度はもう少し長い竿を持って待った。
馬が走って来るので、

「これが3番目の珊瑚や瑪瑙の馬だな。なにがなんでもぶち当てて大金持ちにになってやる。それっ!!」

と、思いきり横殴りにした。
今度はしっかり手ごたえがあった。
これで大金持ちだと喜んでいたら、その馬には昨夜の貧乏神が乗っていて、

「もしやお前、馬を数え間違えたな?本当なら今年は他の家で暮らそうと思ってたのに、馬はもう行ってしまった…仕方ない、またこの家に厄介になることにしよう」

と、再び貧乏神が男の家に住み着いてしまったんだとさ。
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