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マスゲーム・デスゲーム



【マスゲーム・デスゲーム -兵庫県警行進曲-】


突然だが君は『マスゲーム』という言葉をご存知だろうか。
多人数が集まって体操やダンスなどを一斉に行う遊技のことである。
集団が同調性の高い動作を行うことを特徴とする場合が多いので集団体操と呼ばれることもある。

集団における連帯性の高さを来場者に示すパフォーマンスとして、学校の運動会・体育祭の種目で行われることが多い。
また日本で毎年各都道府県を持ち回りで開催される国民体育大会や、大型のスポーツイベントや現代のオリンピックの開会式・閉会式、国際博覧会のイベントなどの集団遊技として行なわれている。

マスゲームで行なわれる演技は多岐にわたり、整列や円陣などの態勢で体操(器械体操、組体操、新体操、バトントワリングなど)や様々なジャンルのダンス、民族舞踏、人文字を作るなどが典型的であるが、オリンピックなどの大規模なマスゲームでは、巨大ディスプレイなどの大道具や様々な小道具を使い、ストーリーを持たせた大規模なものとなることもある。

本来は競技場内で行う身体デモンストレーションを意味するが、広義では観客席に並んだフリップボードを持った観客がタイミングに合わせてフリップの内容を変えるパフォーマンスや、観客席でタイミングに合わせて立ち上がるウェーブ、プロ野球の観客席のビニール傘やジェット風船などの演出も含まれる。

また、一部の宗教団体において、信仰の成果として多数の来賓の前で大々的に行われることもある。



ナンセンスだ没個性だ。
毎年…いや、常々そう感じるのだが、悲しいことに僕はそのマスゲームに一番近い所にいる。
兵庫県警機動隊に所属する者は掛け持ちで音楽隊もやっている。
勿論、兵庫県警機動隊に所属している僕は自動的に音楽隊もやっていることになる。
警察署も高齢化の波が確実に押し寄せてきており、音楽隊の中では僕が一番若いのである。

さて、話が少し逸れた。
音楽隊で僕はドラム…要するに太鼓のパートを担当しながら行進をしている。
僕の他にも笛とかトランペットとか要するにブレーメンの音楽隊よろしく色々な楽器を担当しながら数十人・数百人で分列して行進している。
その行進には1ミリのズレも許されない。

「おいそこっ!ずれてるぞ!!」

「すいません!!」

指揮者の罵声が飛ぶ。
簡単に言ってくれるが機動隊の制服…つまり『乱闘服』なのだがこれがまた暑くて厚くて重い。
機動隊の服、『乱闘服』は防燃加工が施されていて出動服の下には防護ベストを着用、左肩には旭日章のワッペン、右胸元には階級章。
手の甲から肘までの腕部分はジュラルミン製のコテで覆われており、4本のベルトでしっかりと装着するもので、ひとりでは装着が難しいと言われたほどだ。
襟元には必ずマフラーをつけている。
これはおしゃれではなく火炎攻撃から首を守るためで、防燃加工が施され、負傷した時には包帯代わりにもなるという。
真夏には大の男でも4・5人はぶっ倒れるほどだ。
そんな服に身を包みながら太鼓などの楽器を背負って演奏しながらマスゲームするのだ。
ナンセンスにも程がある。

だってそうだろう?
これはマスゲームでもありデスゲームでもあるのだ。
去年まで僕と一緒にいた同僚達は3人とも死んでしまった。
1人は災害で、1人は精神を病んで退職の後自殺、1人は殉職だった。

警察という職業だから危険な目に遭うとかそういう意味じゃあない。
どこの組織だってそうだ。
出る杭は打たれるし、列を乱せば排他的に扱われる。
誤った行動を取ると時には自分の命でさえもかき消される危険なデスゲーム。
それが集団なのだ。
それがマスゲームなのだ。
僕という1マスもいつかは消えてなくなる。
…そう考えると僕はこのマスゲームが怖くて怖くて仕方がないのだ。

狂ってしまいそうだ。

END.


ライト 手旗 赤白1組 B881 2010
TOEI LIGHT(トーエイライト) (2011-08-01)

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