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HOME>100のお題その1

019:黒髪

「…参ったな」
オカルト記者である賢二は、不機嫌に煙草をふかしながらハンドルを握っていた。
彼は、『髪が伸びる人形』の取材に来ていた。
だが、目的の寺に向かう途中道に迷ってしまったようだった。
車を止め、地図を開いてみるが、今現在どの場所にいるのか分からない。
既に日は傾き、暗くなりつつあった。

「あー…駄目だな、こりゃ」

取材は諦めようかと再びエンジンを掛けた瞬間、タイミングよく車の窓をノックされる。
コンコン、コンコン。
視線を横に動かすと、女子大生くらいの女性が立っていた。

「どうしました?」

賢二は窓を開け、女性に尋ねた。
ひょっとしたら地元の子かもしれないと淡い期待を抱いて。

「足を挫いてしまったので、乗せてもらえませんか?」

断る理由はなかったので賢二はその女性を乗せた。
後部座席に座るその女性は、少し病弱そうな黒髪ショートカットの可愛い女の子だった。

「実は、九龍寺に行く途中だったんだ。 だけど、途中で道に迷ってしまってね…」

賢二は自分が記者である事と、『髪が伸びる人形』の取材に来て道に迷った事を話す。

「その九龍寺に行く所だったんです」

女性は柔和に微笑んで言った。
賢二はひょっとしたら道が分かるかもしれないと思い、女性に聞いた。

「道は分かるかい?」

「ええ、分かります。 案内しますよ」

「そりゃ、ありがたい」

20分ほど車で走っただろうか?
無事に九龍寺まで到着する。

「ありがとうございます」

女性は丁寧に頭を下げた。

「いや、こちらこそ助かったよ」

賢二は振り向いた。
瞬間、空気が凍りついた。
女性の髪が腰の辺りまで伸びていたのだ。
成長の速度もやはり個人差や人種差があるとはいえ、髪の伸びる速度は日本人でおよそ11 cm/年 = 0.3 mm/日 = 3 nm/秒である。
たった数十分の間で20cm以上も頭髪が伸びるわけが無いのだ。
女性は何事もなかったかのように車を降りていった。
賢二は叫びたいのを抑えながら、九龍寺へと入る。
住職と対面すると、ついさっきあった出来事を話した。
すると住職は呟いた。

「ああ、貴方もですか」

「すると今まで何度もこういう事があった、と…?」

「ええ、そうです」

住職は渋い顔をして頷く。
賢二は手帳に取材内容をメモしていく。
メモをして顔を上げた瞬間、賢二の表情は驚愕に変わった。

「困った事に…何度髪を切っても生えてくるのですよ」

坊主だった住職の頭は、もう既に肩の辺りまで黒髪が伸びていた。

「うわああああああああああ!!」

賢二は声を上げ、逃げ出した。
車に乗ると、一気にアクセルを踏む。

「こんな取材はもう御免だ!!」

賢二は叫び、車は曲がりくねった道を走り抜けた。
後部座席には大量の黒髪が落ちていた。

END.


【追記的な何か】
珍しく怪奇譚(ホラー?)を書いてみて玉砕した。
なにこれあんまり怖くない。
ところで最近枕カバーに大量の抜け毛がこんにちはしててちょっとびっくりする。
そろそろ抜け毛の季節ですね。
(ちなみにハゲてはないぞ!! 毛の量が人より多いだけだ!!)
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