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片想い 2




*この物語はフィクションです。


「私のお話、聞いてくれるかしら?」

老婆は死神に恐る恐る声を掛ける。

「喜んでお聞きしますよ」

死神は、ニッコリ笑った。

「私には昔、好きな男の人がいたの」

老婆はゆっくりした口調で語り出す。

「恋人ですか?」

死神は訊きました。

「いいえ、違うわ。
その頃の私は臆病だから、その男の人とはお話しする勇気も無かったの。
私はその男の人に片想いしていたの。
だけど、それでも良かったの。
陰で見守るだけでも十分幸せだったの。
だけど…」

老婆の顔が悲しそうにサッと曇りました。

「私が丁度20歳の時に、その男の人は遠い所へ引っ越してしまったの。
住所なんて知らないし、勿論、電話番号も分からない。
今、どうしてるのか分からないの。
彼は元気にしてるかしら?」

老婆は寂しそうな笑顔で死神に尋ねました。

「えぇ、幸せに暮らしていますよ」

すると、老婆は満面の笑みを浮かべ、

「ありがとう。
これで未練はなくなったわ」

と言い、すぅっ、と消えていった。
何故か死神は泣いていた。


END.
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