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片想い 4




*この物語はフィクションです。


「わしが若い頃、好きな女の人がいた」

おじいさんはポツリ、ポツリと語り始める。

「恋人ですか?それとも婚約者ですか?」

死神Navy(ネイビー)はおじいさんに訊く。

「いや、若い頃のわしは極度の人見知りでのぉ。
とてもその女の人に声を掛ける勇気なんてなかったよ」

おじいさんはホッホと優しく微笑む。

「遠くから見つめるだけで満足じゃった。
片想いで良かったのじゃよ」

おじいさんはフッと寂しそうな表情を浮かべた。

「では貴方は、その女の人に好きと伝える事無く、片想いを続けていたのですね?」

「いや、その片想いも長くは続かなかった。
わしが丁度20歳になった時、両親と共に海外へ引っ越す事になったんじゃ。
わしはその女の人の事を何も知らんかった。
住所や電話番号、名前すら知らんかったんじゃ。
離ればなれになってしまい、今はどうしているか全く分からない。
生きているのか、死んでいるのかさえ。
なぁ、死神さん。
もし、知っているなら教えてくれないじゃろうか?
彼女は幸せに暮らしているのかどうかを」

おじいさんはそう言うと、ポロポロと涙をこぼしました。

「わしは後悔しておるのじゃよ。
何故、わしはあの時勇気を出して声を掛けんかったのじゃろうかと。
わしは…」

死神Navy(ネイビー)は

「彼女は幸せに暮らしていますよ」

と優しくおじいさんに言いました。
するとおじいさんは、顔をクシャクシャにして、泣きながら笑った。

「ありがとう」

おじいさんはそう言うと、すぅっと消えていきました。
死神は

「本当は両想いだったのにね…」

と呟くと、ポロポロ、ポロポロと涙を流し続けたのだった。

END.
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