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廃品改修、致します




【廃品改修、致します】


「山田、またお前か」

オフィスの中で、課長の罵声が響き渡る。

「すいません…」

山田と呼ばれた男は、ただでさえ小柄な身体を更に小柄にして縮み上がっている。

「すみませんじゃすまないんだよ、ええ!?」

「す、すいません…」

課長の沖海はダミ声を響かせながら、女子社員にお茶を入れろと催促した。
女子社員は渋々お茶を入れに席を立つ。

「いいか、この書類を一字一句間違えずに仕上げてから帰れよ!」

女子社員の入れたお茶を一気に煽ると、沖海は乱暴にカバンを引っ掴んで会社を後にする。

「また始まったわよ…」

「今日は山田さんに八つ当たりしてるわよ…」

「沖海さん、いい歳して恥ずかしくないのかしら…」

「気分で仕事するのやめればいいのに…」

沖海がいなくなってから、女子社員たちはヒソヒソと沖海の噂話をした。

「全く…最近の若者は…」

沖海は誰にともなくつぶやくと、家路へと急ぐ。
その途中に、1軒の奇妙な店が目についた。

【廃品改修、致します】

良く言えばレトロ、悪く言えば古びた感じの個人商店のようだった。
沖海は黙ってその店に入ると、開口一番怒鳴り散らした。

「おい、文字が間違ってるぞ!!」

「いいえ、それで合ってますよ。うちは、廃品回収ではなく、廃品改修屋なんですよ」

店主はごくごく普通の老婆だった。
老婆は気を悪くした様子はなく、おっとりした口調で説明する。

「うちは要らなくなった人や物を回収して、改修するのだで」

「物はともかく人まで回収するのか?」

「そうじゃ。回収して、改修する。成績の悪い子供や部下とかは居ないか?そういう人をウチは引き取って回収して、とても優秀な人物になるように改修する。ここはそういうお店さ」

「なるほど、そいつは面白いな」

沖海は半信半疑で話を聞いていた。

「俺の会社に山田っていう使えない奴が居るんだが、そいつも引き取ってくれるのかい?」

「勿論じゃ。少しのお金と本人を連れてくれば今すぐ回収して改修するぞい」

沖海はそいつはいいことを聞いたとすぐに会社に引き返し、山田を呼ぶ。

「おい山田!山田ァ!!」

半泣きで書類を仕上げている山田を沖海は無理矢理引っ張っていく。
ネクタイを引っ張られて山田は嗚咽を漏らす。
そんな山田には誰にも関心を寄せず、2人はそのまま会社を去っていった。

「なあに、あれ」

「さあ?また何か起きたんじゃないの?」

「山田くんも災難よねぇ…」

「そうよね、優しくて良い人なのに」

「でも怖いもんね、沖海さん」

女子社員たちはまたヒソヒソと噂と井戸端会議に没頭する。


「おい婆さん、婆さん!連れてきたぞ!!」

沖海は廃品改修屋に山田を連れてきた。

「そうかえ。じゃ、代金をおくれ」

廃品改修屋は少しの金額と山田を引き取った後、奥へと消えていった。
やがて店先に出てきて、老婆は言う。

「明日になればきちんと改修されておるよ」

老婆は目を糸のように細めて笑った。


翌日。
沖海が会社へ出勤すると、そこには山田がいた。

「沖海さん!やりましたよ、俺、営業成績上がりました!!」

「おお、やるじゃないか!!」

沖海は満面の笑みを浮かべた。


それから1か月後。
山田は社内でトップクラスの成績を収め、今では優秀なサラリーマンとしてその名を轟かせていた。

「くっそー…山田の奴…成績がいいからって調子に乗りすぎだ…!!」

悔しがる沖海の横で、女子社員たちが今日もヒソヒソと噂話に精を出す。

「沖海さん、また営業成績ビリなんですって」

「向いてないんじゃないの?辞めればいいのに…」

「しっ!聞こえるわよ…」

山田はゆったりとした動作で後片付けをすると、カバンを引っ掴んで会社を後にした。
山田は軽い足取りで週末の町を歩く。
ふと、1軒の奇妙な店が目についた。

【廃品改修、致します】

良く言えばレトロ、悪く言えば古びた感じの個人商店のようだった。

「これ、字が間違ってますよね…」

ふと隣を見れば女子社員たちが貼り紙を指差している。

「君たちもそう思ったのかい?実は僕もそう思ったんだけど…」

「なんか、気になりますよね」

「じゃあ、僕が指摘してきましょうか?」

「そうよね、私達も一緒に行くわ」

山田と女子社員たちはその廃品改修屋へと入ってゆく。
そして、開口一番こう言った。

「あの、すいません…この貼り紙、字が間違ってますよ」

「いいえ、それで合ってますよ。うちは、廃品回収ではなく、廃品改修屋なんですよ」

店主はごくごく普通の老婆だった。
老婆は気を悪くした様子はなく、おっとりした口調で説明する。

「うちは要らなくなった人や物を回収して、改修するのだで」

「物はともかく人まで回収するのですか?」

「そうじゃ。回収して、改修する。成績の悪い子供や部下や奥さんとかは居ないか?そういう人をウチは引き取って回収して、とても優秀な人物になるように改修する。ここはそういうお店さ」

「なるほど、そいつは面白いですね」

「本当なら凄いことだわ」

女子社員たちも興奮した様子で老婆の話を聞いている。

「では、私達の会社に沖海っていう性格の悪い奴が居るんですけど、そいつも引き取ってくれるの?」

「勿論じゃ。少しのお金と本人を連れてくれば今すぐ回収して改修するぞい」

老婆は笑った。


END.
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