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一座様




【一座様】

作者不詳。
地域不明。


今月のGWに田舎へ2年ぶりに帰ったんだ。
どれくらい田舎っていうと自販機までバイクでも15分かかるような糞田舎。

外灯さえない。
月明かりで十分歩けるんだw
で、GW初日(3日)の朝一で田舎に着いた。

糞田舎だから他所の車で他者って分かるんだよね。
で、近所のおばさんやらおじさんに挨拶しながら家で飯を食べた。
久しぶりに帰ってきた安心感からか酒が進んだ。

一服しようと外に出てタバコふかしてると離れた所から笛?
というか仏壇の鐘の音を加工?したようなお囃子みたいな物が聞こえてきた。

「お!祭りか!」

とボーっと聞いてたら1人、山の方へフラフラ?というかリズムに乗って歩いてるのが見えた。 
あんだけ浮かれてお祭りとかオレみたいな酔っ払いだなwどーしようもねぇw
って思いながら部屋に帰って寝てしまった。

かなり寝たのかな?座敷で寝てて背中いてぇ…って起きたら親父とオカンがバタバタ騒がしいのよ。 

「何?」

って聞いたらオカンが

「A君がいなくなったんだって!川か…山に入ったかもしれないから大変なのよ!」

ってA君の家に大急ぎで行った。
親父も

「消防団の人と協力してさがさにゃあ…お前も酔いが覚めてるんならこい!」

と強引に家から出された。
てか酒残ってるんですけどw

A君…A君は2軒隣の家に住んでる子で今年28歳になった男の子。
物心ついた時は

「気持ちの悪い野郎だな…」

くらいにしか思わなくて大して付き合いもなかった。
学校でも会わなかったし。
今思えば発達障害?か何かの病気で特別学級に行ってた子だった。 
いつも意味なく

「キヒヒぃ!」

と笑ってた。 
たまにご近所挨拶の時に話しかける程度だったが…
よくポケットからパインの飴玉を出してくれたのは覚えてる。

A君の家に行くと両親がアタフタしてた。
何でも一家の裏で一緒に山菜取りしてて目を離した隙にいなくなったそうだ。
オレも酔ってたからとはいえ、山に誰か入っていくのを見たからもしかして…と伝えた。

警察と消防に電話しようとしてもなぜか頑なに拒否。
まぁ迷惑がかかるって思ったんだろうね。
ともかく、消防団と自分らで裏の山に入ることになった。
1時間探して駄目だったら警察と消防に電話する事になった。

この時昼の14時だったかなぁ?
1時間、必死に山の中をみんなで大声だして探したけど勿論見つかるわけもない。
山って言ってもそんなにデカイ山じゃないし、A君も事故に合ってないなら大騒ぎするから分かりそうなもんだがなぁ…

って思ってると消防団の人が

「駄目だ!警察に連絡しよう!オレ君!電話してくれるか?」

ですよねー!と思ってポケットを探ったけど携帯置いてきたしw  

そういやぁ携帯落としたら今夜、スマホでエログチャンネル見れねぇしって置いてきたんだったw  
携帯ないですって言いかけた時、30m先くらいから

「おったぞぉ!!」

って声がした。
みんな急いで行くとA君が猫のようにうずくまってて寝てた。

やれやれ…両親もみんなも安心して家に連れて帰ったんだ。
で、A君のお母さんに

「オレ君、ありがとうね。もうひとつお願いがあって…A君、ドロだらけでお風呂入れてあげてくれないかな?オレ君介護の仕事してるんだよね?」

って言われてさ。
そーです。
オレ介護の仕事してますw 

断る事もできずにA君をお風呂に入れてあげた。
というか一緒に入ったんだが…マジでビビッた。 

A君の太ももの内側にマーク?というか絵が描いてある。
書いてあるというかA君が木の枝かなんかでガリガリ書いて傷になってた。 
何これ超怖い…
俺はビビッて

「A君がやったの?」

と聞くと

「僕じゃない。知らない。テレビみたい」

の一点張り。
張り倒してやろうかと一瞬思った。 

一応、A君のおかあさんに伝えて風呂から上がった。 
途中、A君のお父さんから

「A君が山に行くときどんな感じだった?」

と聞かれて

「酔ってたからよくワカランですけど踊ってるような?感じでしたよ。笛っつーか鐘の音みたいなのも聞こえてたし…祭りと間違えたんですかねぇ…」

とふとお父さんの顔見たら目を少し見開いた感じで

「そうか」

と一言。
どうしたんです?って聞いたら

「いいから帰りなさい!」

って軽く怒鳴られたw 
糞親父め。
張り倒すぞ?

イライラしたのと疲れ、A君のせいで休みつぶれたという残念さからまた酒を煽って寝た。
翌日、仕事があったので朝一で帰宅。
で、その次の日の夕方、仕事終わってコンビニで立ち読みしてたらオカンから電話。
 
「A君、今日事故で亡くなったよ」

マジか!!一瞬、信じられなかった。
ガチでショックだった。
人間って簡単に死ぬんだなと…

話によると両親が例の山に入った事がきっかけで施設へ入れようという事になって車で施設に相談に行く途中、走行中にA君がドアを開けて電柱にぶつかって…という事だった。
しかもチャイルドロックしてたはずなのにその時に限って外れてたそうだ。
無論、通夜にはいけなかったが葬式に出た。

葬式は淡々と終わってお弁当を食べている時、A君のおかあさんが挨拶にきた。
神妙に礼をして弁当のから揚げを食べようと箸を持った瞬間、A君のおかあさんが

「オレ君、ちょっと…いい?」

と声をかけてきた。
思わず

「俺じゃないっすよ!」

と言いかけたわ。
で、A君のおかあさんが

「あの、A君なんだけどね…太ももの傷、お風呂入ってるときかいてた?」

と聞いてきた。

「いや、かいてないと思いますよ?痛そうだったし…」

と言うと

「そう…A君ね、病院で見たとき、掻き毟ってて…変なマークも掻き毟った傷で分からなくなるくらい…」

そういうとウッウウ…と泣き始めた。
オレのオカンがやさしく肩を抱いていた。 
ちょっと泣きそうになった。
そんな俺にA君のお父さんとおばぁちゃんが近づいてきて

「オレ君、ちょっといいか?」

と式場の外に連れて行かれた。 
あまりの希薄にシバかれると思った。
お父さんは

「単刀直入に言うが…お前、山から笛が聞こえてきたって確かか?」

と真面目に聞いてきた。

「多分、聞こえたと思いますよ。鐘の音っぽいのも…」

というが早いかおばぁちゃんが突然手を握ってきた。
ばぁちゃん、ビビったじゃねぇか…
そして小さい布袋?をオレの手の中に握りこんでいた。

「何すかコレ?」

と聞き返すとお父さんは

「よく聞けよ、これから3年、山に入るな。どんな小さな山でも。あと、神社も駄目だ」

オレは意味が分からなかったので何かあるんですか?とビビりながら聞いた。 
話はこうだ。

オレの田舎の周辺の山には「一座様」という物の怪?の類がいて、季節の変わり目になると人を招き入れて山に還すとの事。
それは「実体」がなくて今まで誰も見た事がない。
でも、あらゆる方法で山に引き込むそうだ。
縁のある人間を引き込むためにわざわざ身内を引き込んだり、恋人を引き込んだり…決まって「お囃子のような音」が聞こえるそうで「縁」がある人間には聞こえるそうだ…

でも一応、助かる方法としてその音の聞こえた近くの神社の水を飲み、その山で死んだ獣の骨、土、少量の糞、枯れ木を燃やした灰をその山で取った小石と一緒にいれて肌身離さず3年持つ。
3年後、その山に埋めると助かるそうだ…

おばぁちゃんはなぜかそのA君の入った山で取れた物でお守りを作っていた。
どうやらA君がそううい事にならないようにいくつか作っていたそうだ。
実際、A君は今年の初めから山から音が鳴ると言っては外に出ようと両親を困らせたそうだ。

お守りも「肌身離さず」というのがA君には無理だったらしい…
話を聞いて「どんだけオカルトなんだよww」と鼻で笑ったが鳥肌が止まらなかったのも事実。 
A君のおかあさんはそういうオカルトの類は大嫌いなんだとか。
なんでも昔、A君がおかしくなったのは霊の仕業と言われてお金をかなり巻き上げられた事を悔やんでるらしい。
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