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ダッガコドン




【ダッガコドン】

作者不詳。

九州地方?


父親の実家、周囲を山にぐるっと囲まれた漁村(もう合併して村ではないけど)なんだ。
元の起源は落ち延びた平家の人間たちが隠れ住んだ場所で、それがだんだん村になっていった感じ。
まぁそんなこと、村で一番の年寄りの爺さんがガキンチョに聞かせるだけでほとんどの人間は意識していない。
若い子とかは知らない子のほうが多いくらいだ。

俺の住んでいる市街(といってもすげー田舎)とそれほど距離があるってわけじゃないんだが、地形の関係で周囲と孤立している。
今でこそ道路もきちんと整備されて簡単に行き来できるようになったけど、20年前なんかはろくに道路も整ってなくて、まさに陸の孤島って言葉が似合う、そんな場所だった。

よく田舎では余所者は嫌われるって言われてるけど、全然そんなことないんだよな。
村の人たちは排他的ではないし気のいい人たちだよ。
土地柄的に陽気な人が多い。
親族内でお祝い事があったら、明らかに親戚じゃない知らないオッサンとか混じってて、それにも構わずみんなでわいわいやったりとか。
基本的に飲めや歌えやっていう感じ。
俺は半分身内みたいなもんだから、それでよくしてくれてるところもあるんだろうけどさ。

正確な場所はさすがに訊かないでくれ。
俺まだその村と普通に交流してるからあんまり言いたくない。
言えるのは九州のとある地方ってことだけだ。

去年、俺は仕事で失敗が続き、厄年は来年なのに何故だろうかと調べた末に前厄という存在を始めて知り、すぐに会社に三連休を貰って遠い田舎の実家まで帰省をした。
帰省して次の日に、地元の七嶽神社と言う氏神の神社に行き、厄払いをしてもらったその夜。

皆寝静まった午前3時頃、俺の帰省に伴い、急遽用意された敷布団は6月なのに冬並にフカフカで、寝汗をかいて俺は起きた。
暑いけど、上の布団を取ったら寒いと言う変な状況の中、ごろごろと寝返りをうってる内に完全に意識は覚醒してしまった。
天井を見つめてボーっとしてると、ふと声が聞こえてきた。
始めは猫の声ではないかと思ったが、その声はだんだんと近づいてきて、しだいにハッキリと人間の声と分かった。
それは小学生くらい子供の声だった。
この声はどうやら話し合ってるらしく、子供特有の笑い声が確実に家の中から聞こえてきた。
今、家の中には明治生まれの祖父、そして叔母、親父、自分の四人しかいないはず。
なのに何故?
はっきりと子供と認識できると共に、俺に恐怖が襲ってきた。
だが、体はまるで蛇に睨まれた蛙の様に動こうとしない。
そうこうするうちに、子供達の声が俺の部屋の襖の前で止り、そして音も無く襖が開いた。
そこからは顔がまったく同じ2人の小学校低学年くらいの男の子が俺の部屋に入ってきて、部屋のあちこちを詮索し始めた。
しばらく詮索すると最初は俺に目もくれなかった双子?の一人が、俺の方に顔を向けた。

(ヤバイ)

と思う間も無く、双子の一人と目があってしまった。

「あ、このひとおきてるよ」

「あ、ほんとうだ」

「どうする?」

「つれていこうか?」

「でもここにななたけさんがあるよ」

「じゃあやめとこうか」

「ばちがあたるけんね」

そんなやりとりの後、双子は壁の中に消えていきました。
部屋の机の上には、昼間に七嶽神社の神主に貰った大麻を置いていました。
翌朝、朝食の時にこの話をした所、祖父が静かに答えた。

「そらダッガコドンたい」

ダッガコドンと言うのはうちの地方に伝わる話で、部落内の子供達で遊んでいると、いつの間にか一人、見知らぬ子供が混じっている。
小さな部落内の子供達、皆知った顔の中、明らかに部外者のこの子供をダッガコドンと言い、ダッガコドンが現れたら、絶対にその正体を聞くことをしてはならず、すぐに解散して各自家に戻らなければならない。
もし正体を聞くような事をしたら、殺されるだの、ずっと遊んで家に返してくれないだの、連れ去られるだのと言う気味の悪い話である。
この話は俺も幼少から親父に聞いており、親父も子供の頃、実際に一度会った事あるらしい。

「でもダッガコドンって一人じゃないの?」

叔母が祖父に尋ねる。
祖父は語気を込めて言った。

「なんのひとっちこんのあっかよ。あっは死んだ子どんの本ちゃおっとたい」
(何の一人って事があるか。あれは死んだ子供の数だけ居るんだ)
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