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帰るなよ 他




【帰るなよ 他】

作者不詳。
地域不明。

帰るなよ
知り合いに、普通に霊が見える友達がいる。
そいつは小ぢんまりしたバーで働いていて、俺はたまに飲みに行っていた。
今日、女友達と一緒に飲み行ったら、急に二人ともグッタリしだして、

「どうしたの?」

て聞いたら、二人が口をそろえて、

「今、店内に(霊が)あふれてる」

とか言いだした。
俺は全く見えないので、

「大変だね~」

って流してたんだが、女がそのうち我慢できなくなって、

「あたし、帰る、ごめんね」

と。

「そっか。またね、気をつけて帰れよ」

と言って、見送った。
しばらくしてぐったりしていた店員(友達)が、俺に、

「これを持ってろ」

と言って、白い紙を折りたたんだものを渡してきた。

「帰るまで、絶対持ってろ」

と。
俺も気になったから、

「これ何?」

と聞くと、

「中に塩を挟んでる。これ持ってたら、下手に寄ってこないから」

見えない俺的には府に落ちなかったが、信じてないわけでもなかったからそれを持って帰った。
帰ってから、先に帰った女から電話があった。

「今日は感じ悪くてごめんね。帰った?」

俺「うん。そっちこそ、具合大丈夫?」

女はそれを聞くと、しばらく黙ってから、俺にこう言った。

「あのね、店で、霊が集まってるって言ったじゃん?あれ、すごくて…10くらいの数がいたの。だから具合悪くなっちゃって…」

俺「ああ、そうなんだ。大変だったね」

女「…いや、大変て言うか…あの時10くらい居た霊さ…ぜんぶ、あんたを囲んで見てたんだよね」

帰んなよ!!!俺を一人にするなよ!!!!
つか言うなよ!!怖いじゃん!!
俺、なんで????どうすれば???

悪意
俺が税務署の職員だった頃の話。
90年代の頃だが、田園調布の、ある家へ査察に入った。
すると、玄関で奥さんが数珠をじゃらじゃらさせつつ、

「悪霊退散、悪霊退散、悪霊退散」

とひたすら呟いている。
この家がある神道系カルト新興宗教に帰依しているのは調査で知っていたが、さすがに面食らったし不愉快だった。
税務署員には珍しく短気な同僚Aは、

A「ずいぶんと奥さんは不機嫌ですね」

等と皮肉を言う。
家の主人もふんっと鼻で笑い、人を食った様な事を言う。

主人「家内が言うには、どうも本日来る客人が、災いを運ぶとの夢を見たらしくてね」

家には宗教関係か、禍々しいデザインの神棚があるだけで、他は普通のセレブの家である。
調査を開始するが、脱税の証拠が、どこを探しても見つからない。
家の主人は余裕しゃくしゃくで頭に来る。 
と思った矢先、Aがあっと声を上げた。
そして、調査してない所が一つだけあると言った。

A「神棚だ!」

Aが神棚に手をかけようとした途端、ひたすら

「悪霊退散」

を叫んでいた。
奥さんの顔が青ざめ

「地獄へ落ちる地獄へ落ちる」

と騒ぎ始めた。
主人も打って変わって怒り出し、

「やめろやめろ、呪われるぞ、死にたいのか」

と叫び出す。
俺達は、この慌てようを見てビンゴだと興奮した。
Aが神棚を探ると、中から小さな箱が見つかった。
証拠があったと色めき立つ中、怒鳴る奥さんと主人を余所目に箱を開けた。

「うおっ」

とAが叫んだ。
何と、中には女の髪の毛と爪、それから動物の干からびた目玉らしき物が大量に入っていたのだ。
調査員達も余りの事にしーんとする。
奥さんが目をおそろしく釣り上げた、憤怒の形相で呟いた。

奥さん「だから言ったのだ。お前達、もう命はないかもしれないぞ」

Aはぶるぶる震へながら箱を閉めて、上棚へ戻した。
上司に調査が失敗だった事を電話で連絡すると、上司から怒鳴り声が返ってきた。

上司「馬鹿野郎、だからお前は詰めが甘いんだよ。まってろ、今から俺が行く」

しばらくして上司が来きた。
上司は神棚にどすどすと直行して箱を平然と開け、箱に手を突っ込み探りだす。
うえっ、よく手が突っ込めるなあ、と驚いていたら、上司がにやりと笑った。

上司「見ろ、箱は二重底だ」

二重底の箱からは、脱税の証拠である裏帳簿が見つかった。
主人と奥さんの顔が見る見る真っ青になる。
上司は調査後に言った。

「真にに怖いのは霊や呪いじゃない。人間の欲望と悪意だよ。人間は金のためなら嘘も付くし演技だって平然とする。今回の調査を見ろ。神棚に隠す狡さ、“呪い”に対する人間の恐怖を利用した巧妙な手口、真に怖いのは人間の欲望と悪意だ」

それから、一年以内に、箱を触ったAが自殺し、上司が交通事故で死亡した。
二人が死んだのは偶然か?
本当に、真に怖いのは、人間の欲望と悪意だけなのだろうか…

ツーリング
その昔、10歳ちょっと歳上のN県に住む従兄に聞いた話。
従兄が学生だった時に、バイク仲間数人とちょっとしたツーリングに出かけたらしい。
当時はヘルメットの着用が義務付けられていなかったので、まともにヘルメットを被る人はあまりいなかったようだ。

行きは有名な観光地を目指して順調に進んでいたのだが、素直に幹線走ったので「面白みに欠ける」と、計画を立てた人物が不評を買ってしまった。
そこで帰りは急遽予定を変更し、ちょっとした林道を抜けて帰ることにしたらしい。

それまでのツーリングでお互いの技術も十分に把握していたのと、行きの単調な運転に不満を感じていた多くのメンバーは、あまり整備状態の良くない荒れた舗装路を突き進みながら帰宅する計画に喜ぶ者が多かった。

路面を見ると、普段一人で運転するならかなりスローペースで進むような状況だったのだが、仲間のペースに合わせるため、誰もが力量ギリギリのハイペースで走っていたらしい。
従兄はそのペースで走るのが正直とても怖かったという。

そんな中、先頭を走っていたバイクが何の変哲も無い場所で突然急ブレーキを掛けた。
後続のバイクは油断しきっていたためか車間距離も十分に取っていなかったので、先頭のバイクに突っ込むのを避けるため連鎖的にバランスを崩し、ほぼ全員が転倒してスライディングするような形になってしまった。

叫び声と金属やプラスチックなどが、アスファルトに引きずられる不快な音が林道にこだまする。
従兄は最後尾に位置していたのだが、他のメンバーからは少し車間を開けていたので巻き込まれずに済んだらしい。

ただ、転倒した仲間の中で3番目か4番目を走っていた「勇次」という人物は、従兄が一目見て「これはまずい」と思うような転び方をしていたそうだ。
…というのは転んでスライディングしているところに、後続のバイクが乗り上げ、その重量をもろに受けたまま舗装路を滑って行くのが見えたからだ。

お互いに安否を気遣いながら、それぞれに悪態をついたり、罵ったりしていたのだが、すぐに立ちあがった所を見ると、誰もが軽傷で済んでいたようだった。
勇次はまだ地面に寝ころんでいたのだが、ノロノロと立ちあがろうとしているところだった。

ほぼ全員が立ちあがって「怪我した奴はいないか? 大丈夫か?」と声を掛け合いながら、続けて自分のバイクを起こし始めた時になって異変が起きた。
転倒した時に勇次の体の上に乗っかったバイクは、彼の倒れた場所よりもさらに5m程度奥に様々な部品をばら撒きながら横たわっていた。

そのバイクを取りに行った「哲也」という人が、自分のバイクには目もくれずに勇次の事を凝視したまま、硬直していたのだ。
哲也以外の仲間はみんな勇次を後ろから見る位置にいたので、全員が哲也の凍りついた表情に注目した。
勇次は向こうを向いたまま、セワシナク手を体のアチコチに当てて体の様子を調べている。

まるで何か忘れ物をして体中のポケットを探しているかのような素振りに見えたらしい。
仲間の一人が

「おいおい、勇次も哲也も大丈夫か?」

と声を掛けた。
哲也はその声でビクッと我に返ると、顔を真っ青にしたまま体がワナワナと震え始めた。
まるで幽霊でも見たような表情だったらしい。
勇次はパタパタと自分の体に手を這わせていたのをやめると、

「大丈夫みたいだ…」

と不明瞭な声でボソっと答えた。
その後、続けて

「でも左目が、左目の調子が悪いみたいだ、目の前が赤くなったり、真っ暗になったりして、何も見えない…」

そう言いながら振り向いた勇次の顔は左側半分が完全に削り取られていて、眼の部分も完全に無くなっていた。
全員が

「うわあぁぁぁ!」

と叫び声を上げて後ずさる。
勇次は

「うぅ~、目が…。左目が見えない…」

と言いながらズルズルと足を引きずってみんなの方へ歩いてくる。

「ゆ、勇次…。お前痛くないのか?」

と誰かが震える声で聞くと、

「どうして? 痛くないよ…。痛くないよ…。痛くない…。目が見えない…。うぅ~」

そう言いながらズルズルと近寄って来る様はホラー映画に出て来るゾンビそのものだったらしい。
目の部分は完全に眼球がすり潰されてしまっていて目があったと思われる部分からは色々な物が垂れ下がっているような状態だった。
顔面の左側の剥がれた皮膚などが顎のあたりまでベロっと垂れ下がり、骨が露出した上に顎の部分もかなり削り取られてしまっていたので、このような状態ではもう助からないだろうと誰もが思ったそうだ。

勇次はそのまま膝から崩れ落ち、バタリと気を失ってしまった。
そんな勇次を仲間の誰もがどうすることも出来ず、みんなが思考を停止させてしまった。
そこで唯一無傷だった従兄が気を取り直し、林道を抜け最初に出てきた民家に助けを求めて救急車を呼び病院へ…

その後勇次は奇跡的に一命を取り留めたものの、何度も何度も形成手術を受けることになった。
最終的にはどうにか他人が見ても怖くない程度まで修復されたのだが、左目は当然義眼を入れることになってしまったそうだ。

ところがこの勇次という人は全然「メゲナイ」タイプの剛の者だったらしい。
従兄によると、その後の飲み会の席などでは、女の子の見ている前で義眼をポロっと取って見せ、脅かして楽しんでいたんだとか…
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