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逆 他



【逆 他】

作者不明。
地域不詳。


既出だったらゴメン。
自分も友達から聞いた話だから知ってる人もいるかもしれないけど…

ある日、男が駅で女の子をナンパしたんだって。
その男と女の子は近くの心霊スポットに行くことになったんだって。
男には霊が見えるらしくって男は女の子に「俺は霊が見えるんだぜ」と行きの車で自慢気に言ってたんだってさ。

目的の場所に到着して男はすぐに霊を見つけて、

「ほらあそこに霊がいるよ」

って女の子に言ったんだって。
女の子にも見えたらしく

「なんでわかるの?」

って冷静に男に聞いたんだって。
男は自慢気に

「霊は反対の事をしたがるんだよ、ほらあそこの霊は服を反対に着ているよ」

って言ったんだってさ。
そしたら女の子が

「わぁ~すごーい」

っていいながらパチパチって手の甲拍手したんだってさ。

友人からの相談
会社の帰り道、偶然、高校生時代からの友人Kと2年ぶりに出会った。
俺達は再開を喜び、飲み屋に直行して旧友を温めた。
その時はお互いにはしゃいだのだが、Kは心の底から楽しんでいる風が無い。
俺は心配ごとがあったら遠慮なく電話しろよと伝えた。

その三日後、Kから電話があった。

K「あのさ、お前に愚痴っても迷惑と思うけど、ちょっと悩んでる事があるんだよ」

俺「なんだよ、遠慮なく言えって」

K「実は、下の階に住んでるBって女から凄い嫌がらせを受けてるんだよ」

俺「えっ、ストーカーww、お前そんなにイケ面だったか?」

と茶化した俺であったが、Kの話を聞くと洒落にならない悩みである事が解った。

Kの両親は名のある資産家で、Kは両親の買ってもらったマンションに住んでいるのだが、その階下の住人B(女、30前後で独身)より一年前から嫌がらせを受けている。
始まりは、Kが友達を呼んで、大騒ぎした日の事。
友達が帰った後、下から、どん!どん!どん!と天井を叩く音が30分以上した。
Kもうるさくした後ろめたさがあったから、黙ってたが、その日より嫌がらせが始まったのだった。

Kが受けたと言う嫌がらせ。
・エレベーターに乗ると、Bも乗ってきた。
Bが聞き取れないくらいの小声で何かいい始めた。
聞き耳を立てると、「臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い臭い」
・マンションの住人達がKを見て顔をしかめている。
その輪にはBがいて、どうやらBがあること無いこと吹き込んでいるらしい。
・無言電話が一日中かかって来て、Kが切れてとどなったら、電話口より「死ねウジ虫、地獄に堕ちろ」と女の声が聞こえてきた。
・ポストに投函された手紙の類が、最近は全て開封されている。
・夜中の3時頃、毎日ピンポンピンポンピンポンとチャイムを鳴らされる。
・Kが外出すると、いつも監視されているような気配を感じる。
・ポストに爪と髪の毛が入っていた。
・Kがエロビを見てたら電話があり「そんなにレズが好きなの?」(盗聴?)
・宅急便が届いたので開けると、中には気味の悪いお札が数百枚入ってた。
・新聞入れから玄関の中に、使用済みで血にまみれた生理用品を大量にぶちまけられた。

俺は、頭がくらくらしてきた。

俺「気持ち悪りいな。そのBって女どんな奴なんだ」

Kによると、Bはよくよく見ると少し綺麗な顔立ちであるが、一目でキチガイと解る。
まず目が虚でどこにも焦点があってない。
またいつもにやにやとしている気味の悪い口元。
化粧っ気もまったくなくて、頭もぼさぼさ、今時どこで売っているのだと言うのか、ださくてレンズの大きい黒縁眼鏡をかけてる。
その癖、吐き気がする位に香水の匂いが強烈だ。

K「お前も、一度見ればびっくりするぞ、気味が悪くてな」

俺「吐き気がしそうだよ。ところでお前、警察には連絡したのか」

K「警察は犯罪が起きるまで動いてくれねーよ」

俺「ホントか? 警察って何なんだ、税金泥棒じゃねーか」

その後、Kより何度か相談を受けていたのだが、ある日、興奮したKより電話を受けた

K「やべえよ! 俺もうだめかも、俺は殺されちまうかも知れない」

俺「落ち付け、冷静に話してみろ」

K「夜中にさあ、ベランダからきいきいきいってさあ、ガラスを爪でひっかく音がするんだよ。何だと思ってベランダ見たらさあ、あの女がいたんだ。玄関から武器のバットを持ってきたら消えてた」

俺「馬鹿な、お前の家9階だろ。見間違いじゃないのか」

K「あの女に間違いない。あの女の強烈な香水の匂いがしたんだ。8階からよじ登ってきたんだあの女」

俺「警察呼んだか」

K「勿論呼んだよ! それで、ベランダの指紋を取ってったり、あの女から事情聴取したらしいけどさあ、警察なんて言ったと思う」

Kは怒って、声がぶるぶる震えながら言った。

K「証拠がありません。以後、この様な電話をしたら、あなたを逮捕します」

俺は怒りに震えた。
無能な警察が!もし、Kが殺されたらどうするんだ?いつも警察は保身ばかり考えて動かない。
動いたとしても、それはKが殺されたとき初めて動くのだ。
俺はベランダを含む部屋中に、監視カメラや警報装置を設置する様、Kに助言した。

不安で、Kの事が心配になった俺は、次の日、友人のSへ相談があるといって飲みに誘った。
Sは大学時代から友人で、同じ部活の仲間だったのだ。
もっとも、部活は同じでも、俺は教育学部のボンクラ、Sは医学部のエリートである。

俺は、Kが殺されるのではないかと思い、一つの事を聞いてみた。

俺「なあ、精神障害者っていうのかな、そういう奴等が犯罪を犯しても、刑法で裁けない事があるんだろ」

S「そうだな、刑法39条で心神薄弱者ノ行為はコレヲ罰セズ、心神耗弱者ノ行為ハソノ刑ヲ減刑スとあって、実際、不起訴になる事は意外にも相当多い」

俺はぞっとした。
Kは殺されるかも知れない。
しかも、犯人は不起訴になり、法の裁きを逃れ得るかもしれないのだ。
こんな理不尽が許されるのだろうか?

俺「くそっ、信じられん。警察も無能だ。殺されてからじゃ遅いんだよ!」

S「えっ、どうしたんだ、話してみろよ」

俺は今までKから聞いた話をSに伝えた。

俺「このBって女、なんて言うのかな、いわゆる統合失調症って奴だろ」

S「ふーん、Kの言う事が本当だとすると、明らかにBは統合失調症だな」

Sによると、脅迫観念に駆られた様に、一つの事に異常なまでにこだわる性質、常軌を逸した支離滅裂な行動、これらから判断すると、明らかにBは統合失調症だと言う。

S「ただ、一つ気になる事があってな」

とSは言った。

S「お前の友達のKは、常に隣人のBに嫌がらせを受け、監視され続けていると言うのだろう」

俺「うん」

C「それって、典型的な統合失調症患者が言うセリフなんだよね」

今日もKから電話があった。

K「驚いた事があったんだ! 今日、家を調べていたら盗聴器が150個も見つかった!それから信じられない事が解った。Bの奴、俺が3歳の頃から、ずっとずっと俺の事を監視し続けていたんだ!」


殺人現場
これ既出かな?

この間、深夜に近くの公園へサイクリングへ行った時のこと。
公園の間に走る一本の細い道を進んで行くと、唐突に一軒の家が現れる。
公園の敷地の方へ30メートルほど入った先にあるその家の周りには暗い森以外何もない。
ただ俺のいる小道の街灯が微かにその家を照らしているだけで、その家は薄暗くひっそりと佇んでいる。

とてつもなく異様な雰囲気が漂うその家はかつて日本を震撼させた殺人事件の現場となった家で、今は誰も住んでいない。
まだ未解決の事件だからついこの間までは必ずパトカーが常駐していたけど、最近はどういう訳だかパトカーがいない。

その時、俺はその家の正面まで行ってみようと思った。
何故かは分からないけどちゃんと正面からその家を見てみたかった。
自転車を道の脇に置き、ゆっくりと歩いて行った。
一歩一歩近づくたびに緊張で鼓動が早くなる。
正面に着き、その家を見上げてみる。

ごく普通の一軒家。
そんなに荒れてもいないし、玄関周りからは生活感すら感じる。
ただ普通と違うのは、明かりが一切無い、ただそれだけ。
そう、ただそれだけなのが生々しくて恐ろしい。
その家は事件の瞬間のまま時間が止まってる…

と、その時、俺のすぐ横に誰かが立っていることに気づいた。
これにはさすがに心臓が止まるかと思った。
それが警官だと理解するまでにしばらく時間がかかった。
なんせ真っ暗なんだから。

警官だと分かって安心すると、その警官は

「どうしたの?」

と訊いてきた。
あー、職質だろうなと思った。
こんな夜中に一人で未解決事件の現場に来てるんだから。

「最近パトカーが止まってないからこの家を正面から見てみようと思って…」

今考えると怪しさ全開な回答だけど俺がそう言うと、警官は

「今は駐在が1人になったからパトカーはないんだよ」

と親切に教えてくれた。

「こんなに真っ暗な事件現場に1人で大変ですねー」

と言うと、

「すごく怖いよ~、誰もいない家の中から物音が聞こえてくるんだよ~」

と俺を怖がらせてきた。
そして数分間その警官と立ち話をして、ご苦労様ですと伝えて家に帰った。
いや~、本当にビックリした。

翌日、そのことを家主に話した。
すると、ある疑問が出てきた。

その1) あの警官は何故俺に職質をしなかったのか。
その2) あの警官は明かりが一切ない状況で何をしていたのか。
その3) 何故、彼は足音も立てずに俺の横に立てたのか…

子供が見たモノ
娘が3歳位の時、中古で大き目の車を買いました。
私も娘も大喜びで大きな車を楽しんでいました。

しかし数週間した頃、娘が車に乗り込もうとした時に急に大泣き。

「どうしたの?」

と聞くと、

『お兄ちゃんが怒ってる』

と言う。

「どこにもお兄ちゃんなんていないよ?」

『そこに座ってるお兄ちゃんが睨んでる』

と、誰も乗っていない最後部座席を指差しました。
ぞっとする私でしたが、2列目に娘をだっこして乗り込み

「大丈夫だからね」

と言うと

『うん もう怒ってないみたい』

と。
それから何度か車に乗ることを拒否するような事がありました。
そのお兄ちゃんは いる時と いない時があり、いても 笑っている時と 怒っている時があるようでした。

ある日、その当時住んでいたマンションでくつろいでいた時、娘が急に

「こないでえええ」

とガン泣きし始めた。

『どうしたの?』

と聞くと、車のお兄ちゃんが家に来ると言うのです。
聞いた私も怖くなりましたが、娘を宥めなくてはと思い

「ここはおうちだから大丈夫だからね」

と言い聞かせましたが、娘は

『もう玄関まできたよお!怖い!怒ってる!』
『入ってこようとしてるよおおおお!』

と暴れる程大泣きしました。
正直、私もガクブルでしたが、玄関に向かって

「こら!いい加減にしなさい!入ってくるなあ!」

と叫びました。
正直涙ちょちょぎれてました。
閉まっている玄関を見て大泣きする娘を抱きしめて、

「大丈夫だから!ママが守るから!」

と震えていました。
元々

「天井の隅におばあちゃんがいる」
「今日はおじちゃんがきてる」

と視えるらしい娘でしたが、そのお兄ちゃんへの怖がりようは半端ありませんでした。

家にあった塩を玄関にまき、威嚇するように大きな声で

「入ってくるな!娘を泣かすな!」

と叫び続けました。
玄関から遠い部屋で娘を抱きかかえ、主人の帰宅を待ちました。
1時間もすると

『もう帰ったみたい』

と娘が言いまして、ほっとして涙が出ました。
親戚の紹介で視える方に相談したところ、その車にはお兄ちゃん(小学高学年くらい)が乗っているとの事。
そして、幼い娘と一緒に遊びたいと思っているらしい事。
毎日一緒に遊びたいのに、何故車にこないのだと怒っているとの事。
マンションの部屋まで来た事は少し警戒しなくてはいけないので、盛り塩をするように。
それから車に可愛らしいお人形でも乗せるといいと言われました。
言われた通り実行し、1ヶ月もした頃には娘も普通に車に乗り込めるようになり、お兄ちゃんの事を口に出さなくなりました。

以上です。
当時はものすごく怖くて、とにかく必死だった記憶があります。
マンション玄関まで来たのはその一回だけですが、近くまで来てる!と怖がった事は数回ありました。
今、娘は6歳になり、もう視えてはいないようです。
お兄ちゃんの記憶もありません。
乱文、申し訳ありません。

生霊
今の主人と同棲中の頃の話です。

数日体調が悪く、風邪でもひいたかなと休んでおりました。
ある日、眠っていたら金縛りにあい

「大丈夫疲れているだけ」

と自分に言い聞かせ、金縛りが解けるのを待ちました。
まぶたは閉じているはずなのに、何故かうっすらと周りの環境が見える。

「え?どうして?」

と思っていたら、私の頭の上から黒い影が上へ上へとあがってきました。

「なに?え?これなに?」

とガクブルしていると、それが私の顔の上に覆いかぶさる位まで伸び、手のような物がそれの脇から伸びてきました。

「手だ!」

そう思った瞬間に、その手に首を絞められました。

「殺される!」

そう思った私は動かない手を、足を動かそうと必死になりました。
絞める黒い手は徐々に力が強くなり、気が遠くなり始めました。
その時、主人が『おい!どうした?』と私をゆすり、上体をおこしてくれました。
金縛りは解け、黒いものもいなくなり、安堵で涙が出ました。
主人にその話をしようとしたら 

『くび、どうした…?』

私の首には赤いあとがありました。
はっきり手のあとには見えませんでしたが、鏡で確認した時は怖くて泣いてしまいました。

首のあとが消えるのを待ち、2日ほどお休みをもらいました。
幾分体調も良くなったので出勤する事に。
接客業でしたが、仲の良いお客さまもいて雑談しながら勤務しておりましたら、あるお客様が

『Mちゃん(私)最近身体の調子悪くない?』

と聞いてきました。
私は笑顔で

「そうなんですよ。風邪でもひいたかなぁと思ってまして…顔色悪いですか?」

と聞いてみました。
お客様は 静かに頷いて

『ごめんね 二人で話したいんだけどいいかしら?』

と。
普段そんな事を言わないお客様に何かしら感じたので、店長に断りをいれて、ちょっと時間を作って外で話しを聞いてみることに。

お客様『あのね、Mちゃんにね、女の人がついてるのよ』

私「は?」

『ん~Mちゃん、彼氏いるでしょ?その彼氏関係の女性のようね』

「え?」

もう心臓バックバクでした。
お客様には彼氏がいることも、金縛りにあったことも何も言ってませんので、急なお話しにめまいがしそうでした。

「実は、先日金縛りにあいまして…」

と話してみると、

『えぇ、そうみたいね。今も首をしめようとしてるわよ。かなり前からMちゃんについていたみたいだけど分からなかった?』

「ええええええええええ!!」

『ねぇ ちょっと握手してちょうだい』

言われるままに握手をすると

『ん~…んっ…』

と難しい表情で唸っていました。
数分経ったでしょうか、

『ん~ちょっと厳しかったわ。。。半分くらいは軽くなるはずだから』

「え?ちょっ!どういうことですか?半分?」

『うん、今全部はできなかったって事。どうもね、彼氏の事を好きな女性みたい。彼氏への昔の想いが一人立ちしちゃってるようね。今、その女性は こういうことになっていると言う事を知らないの。分かりやすく言えば、自分がMちゃんに生霊を飛ばして苦しめてるって知らないの。可哀想ね。自分も辛くなるのにね』

『あ、もちろんMちゃんが一番の被害者だわね。彼氏にこの事を話ししてみなさい。そして二人で仲良くやっていく事を誓うといいわ』

『それ(黒い生霊)もあとは自然に離れると思う。Mちゃん達が幸せそうにやってるのみれば離れていくわ』

言われた通りに彼氏と話しをしてみたら思い当たるふしがあったと。
私と付き合う数年前にストーカーになった彼女がいた。
面倒くさくなって新しい彼女を作って(私ではない)もう彼女がいるからと諦めさせたと。

ごめんなと謝られました。
その彼女さんが今どうしているのかは分かりませんがあれからは何もありません。
私達はその数ヵ月後に結婚をしたので、本当に諦めたのかもしれませんね。

ただ、あれからどの病院にいっても首を触診されて

「腫れているような気がする。検査するように」

と言われるようになりました。
検査を受けても毎度何もないのですが。
以上です。
乱文長文失礼しました。

手を振る霊
眠れぬ夜なので投下。

怖い話は大好きなんだけど、心霊スポットに行ったことがなかった。
というのも地元に心霊スポットが無かったからだ。

で、去年の秋。
俺も友達も免許を取ったんで念願の心霊スポットに行くことにした。
友達は怖がりなんだが、初ドライブだと騙して同行させた。

俺は埼玉の田舎の方に住んでるんだが、ググると川越街道という場所が一番近いということだった。
ウエディングドレス姿の女が現れるとか現れないとか。
つまんなそうな場所だったけど、まあ心霊スポット処女だし、こんぐらいでもいいか、と思って出発。

出発してから、友達に心霊スポットに向かってることを告げる。
そしたら物凄い反発。

「(霊を)持って帰ってきたら死んじゃうんだぜ」

とか小学生みたいな怒り方。
絶対大したことないから、って言っても納得せず、

「じゃあ連れて帰っちゃったら御祓いも一緒してやる」

という方向でどうにか落ち着いた。
そっから2時間弱。
初ドライブということもあり迷ったりしながらも、どうにか目的の場所付近に到着。
時間は夜11時ごろ。
運転席には俺。
友達は助手席で地図役。

「で、どの辺だって?」

「歩道橋あるとことか歩道とか言ってたな」

とか話しながら川越街道を通るも、まあ何も見えないまま通り過ぎる。
結果も、友達の喜ぶ姿も気に食わないのでUターンして、もっかいゆっくり通ることに。

特に後ろに車も無かったんでサファリパークを進むぐらいの速度で、ゆったり進みながら歩道橋のあたりに差し掛かる。
もちろん何も見えるはずなく、また通り過ぎる。

くそー、と悔しがる俺の隣で友達が不意に言った。

「ここってウエディングドレスの女が出るんだっけ?」

「らしいよ。出ねえけど」

「じゃあさ、――あのさっきから歩道橋の上でこっちを見下ろしてるおじさんは関係無いよね?」

「は?」

二回も通った上に、二回目なんかゆっくり通ったにも関わらず俺はそのおじさんに気づかなかった。

「いたか、そんなの?」

「いたよ。いたと…、思うよ」

言いながら真っ青になる友達。
このままじゃスッキリしないということでUターンして確認しようという話に。
さっき以上のスローペースで車を走らせ、問題の歩道橋まで来た。
が、おじさんなんていない。

「いないじゃねえか」

「うん。いないね」

そのまま、とろとろと歩道橋の真下を通った時。

ぼっこん。

と車の後輪が何かに乗り上げたみたい浮き上がった。
俺はとっさに何か轢いたのかも、車を止めて外に出た。
友達も半泣きみたいな表情で一緒に出る。
二人して車の後ろや下を覗き込むもなにもない。

顔を見合わせて二人で怖がってるところに、ぴぃ~~、と上から口笛の音が聞こえた。

俺たちは車に急いで乗り込むと発進させた。
2人してなにも言えないまま10分ぐらい走ったころ、友達が言った。

「最後、発進させる時、あいつ手を振ってたよ」

後日談として、

「手を振ってたんなら憑いて来てないだろ」

という俺の持論も信じず、怖がりの友達がどうしても御祓いをしてもらうと言ってきかない。
仕方なく父方の実家に霊感が強く御祓いまでやってくれる人が居るということで、その人の所へ行った。

御祓い自体は場所がその人の個人宅ってだけで、あとは結婚式の前の儀式みたいな(あるよね?)感じだった。
その後で、その人に、

「面白半分で心霊スポットとか行くと、別の霊まで呼んじゃうんですかね」

と言ったら、

「違う。これはどっちかが最初から背負ってた霊だよ」

とか言われました。
友達には次はトンネルとか廃病院とか行こうぜと誘ってますが、まず良い返事はもらえてません。


小学生の頃友達二人でスーパーボールを使って遊んでいた。
地面に叩きつけてどこまで高く上がるかを競っていた。
俺は勢い余ってか、叩きつける角度をしくじってしまい、スーパーボールは細い川と道路を隔てた向かいの浄水場に入ってしまった。
俺たちは恐る恐る浄水場に忍び込んだ。
あたりに大人の気配はなく、ざあーという水の流れが遠くで聞こえるだけだった。

浄水場にはいくつもの深々とした水溜があり、ゆっくりと大量の水が流れていた。
流れはそれほど速くなかったので、何メートルもあろうかという底まで見ることができた。
俺たちはスーパーボールのことは忘れて、とてつもない深さに恐怖しながらも、身を乗り出して中を覗いていた。
妄想ぐせのある俺は、ここに落ちたら底まで吸い込まれて溺れ死ぬんだろうなと考えながら、どんよりした膨大な水の流れるのを眺めていた。

友達が下に何か見えると言って底の方に指を差した。
よくみてみると、確かに何かもやもやとした白いものが沈んでいた。
しかし深過ぎるためにはっきりとしなかった。
俺たちは始め、浄水場の設備だと思い特に気にかけなかったが、それを見ていた友達が急に

「大きくなってる」

と叫んだ。
たしかに白いもやもやは大きくなっていた。
そしてそれが布きれのようなものであることが見て分かった。

その大きくなっているように見えた布は、実は浮かび上がってきていた。
ゆっくりふわふわと水の流れの中を上に上にとあがってきた。
みんなしばらくその布を夢中になって目で追っていたが、水面まであとちょっとのところで止まってしまいそれ以上はあがってこなかった。

なんだろうと二人で疑問に思っていたところ、友達がその場から離れ、しばらくして木の枝を拾ってきた。
友達が手を伸ばして枝でその布をすくいあげようとしたところ、友達は水の中に落ちてしまった。
俺は慌てて友達に手を伸ばしたが、友達はパニックになり腕をばたばたさせるのがやっとだった。
友達は水を蹴って水面に何度か顔を出して息継ぎをしていた。
俺は何かおかしいと思い、友達の足下をよく見てみると、白い顔をした男の人が友達の足を掴んで引きずり込もうとしていた。

俺はおびえて逃げだし、水溜を抜けて大人のいそうな建物に入って泣きすがった。
異常を察した浄水場の人らは、友達のもとへ駆けつけてくれたが、そのとき友達は大量に水を飲んでぐったりして仰向けに浮かんでいた。
彼らがすぐさまボートを出して助けようと友達を引き上げ仰向けにしたところ、彼の喉には白い布が詰まっていた。

友達はなんとか一命を取り留めたが、未だにあの恐怖が忘れられない。

溜池の水
子供の頃に爺ちゃんに聞いた話を一つ。

私の爺ちゃんは若い時に軍属として中国大陸を北へ南へと鉄砲とばらした速射砲を持って動きまわってました。

当時の行軍の話を聞くと、本当に辛かったとこぼしてました。
通常の鉄砲や弾や手りゅう弾の装備だけでもかなりの重さの上に、小隊で手分けをしてばらした速射砲を一人一人が持たないといけなかったので、とにかくそれが重かったと。

そんな感じに一人当たり何十キロもの装備を持って、ろくな道も無い山の中の行軍で、しかも、水もそんなに飲まないで行軍していたので汗が乾いて白い塩が粉の様に顔に残っていたり…
そんな毎日でしたから何度も装備を放り出して逃げたくなったそうです。
ですが、そんな事をすると国の両親に迷惑がかかると考え、すんでの所で思い留まる、そんな日常だったそうです。

ある日の行軍で、になって無人の村について、装備を下ろして落ち着いてから、村の中に溜池があるのを見つけた爺ちゃんは、死ぬほどのどが乾いていたのでその池の水を躊躇なく飲もうとしました。

その時、闇の中から何か聞こえた気がしました。
爺ちゃんは水を飲もうとするのを止めそのまま身構えていましたがその後は何も聞こえませんでした。
そして改めて溜池の水を飲もうとすると、また何か聞こえました。
どうやら人、現地の言葉の様に聞こえたそうです。
爺ちゃんは溜池の水を飲むのを止め、上官にその事を報告しました。
少し隊内がざわつき、辺りを捜索しましたが、人は見つかりませんでした。

夜が明け、昨日の晩に水を飲もうとした溜池にいってみると爺ちゃんは愕然としました。
そこには何人もの水死体が浮いていたからです。

近隣でまだ人が残っている村があり、そこで爺ちゃん達の隊が一晩明かした村の事を聞いてみると、コレラの様な疫病がその村の中で発生し、その村は放棄された所だったそうです。
溜池の死体はどうやらその疫病で死んだ人ではないか、との事でした。
爺ちゃんが飲もうとした池の水は疫病に汚染されていたのです。

爺ちゃんは溜池の前で闇の中から声をかけられた事を思い出し、間に何人か人を挟んで(中国は言葉が場所場所で違うので)その言葉の意味を聞きました。
言葉の意味は「よせ、よせ」だったそうです。

いつものこと
体験談を投下。

高校のころ、夏休みとか冬休みに一人旅をしてた。
といっても、県外に2、3泊するくらいの観光地巡りで、文字通りただの国内小旅行だった。
でも、まあ、初めての土地は珍しいものばかりで、それなりに楽しい。
ガイドブック持ってさ、時間の許す限りいろんなところを見て回った。

ただ、もちろん金はない。
切り詰めるため、移動は青春18切符に頼っていた。
JRの鈍行と新快速なら1日乗り降りし放題で、始発の電車に乗り、移動距離を稼ぐ。
昼頃から夜まで観光して、安いビジネスホテルに宿泊するのが定番だった。

高2の夏、Y県に行ったときのことだ。
昼間は有名な滝とか神社とかを見て回り、日が暮れてから予約してたホテルにチェックインしたときは結構くたくたになっていた。

日本中の主要な駅前にはあるようなチェーン店のホテルだったけど、素泊まり4000円ちょいの安さに見合った古い建物。
まあ、もともと貧乏旅行だし、こんなのも思い出になるかと思い、あまり気にせず5階の部屋に入った。
中はいたって普通のシングルルーム。
ベッドと小さなテレビ、文机、ミニ冷蔵庫しかない。
厚めの遮光カーテンで薄暗く、ベッドの横の壁には安物っぽい絵が飾ってあった。

この日は予定していた日程の最終日。
明日はもう帰宅するだけなんだけど、実家からかなり離れた土地まで来てしまっていた。
明日は朝4時半の始発に乗らなければならない。
ホテルのフロントにそれを伝えたら、裏口を一晩中開けておくので、チェックアウトは鍵だけカウンターの籠に入れといてくれれば勝手に出て行って構わないとのこと。
(宿泊料は前金で払った)
ご厚意に甘えさせてもらうことにした。

で、部屋でペイチャンネルでエロ番組見ながら、コンビニで買ってきた晩飯を食ってた。
ふと、ベッドの横の絵が気になった。
どっかの山が描かれた風景画なんだけど、妙に薄気味悪い存在感がある。
絵というより、それが収まってる額全体が、なんか気持ち悪い。
そんな感覚初めてだったけど、何故かピンときた。
まさかなあ、とか思いながら額をめくってみたら、案の定、御札らしき紙が貼ってあった。

正直なところ、かなり気味が悪かった。
フロントに言って部屋を変えようと思ったけど、でも、御札は真新しいし、どこも傷んだ様子ない。
効力(?)は十分ありそうだ。
一晩くらい大丈夫だろうと考え直した。
何より、もう寝なければ翌朝、寝過ごしたら洒落にならない。

というわけで、額を元に戻し、テレビの電源を切って、目覚ましをセットした。
そのとき、視界の端で何かが動いたのが見えた。
テレビのリモコンが、文机の上を滑っていた。
ひとりでに。
普段なら、ビビりの自分なら、それだけでかなりの怪異体験だと騒ぐはずなんだけど、この日は違った。
たぶん、旅行疲れで頭が働いていなかったんだと思う。
とりあえず、その現象は無視することにした。
リモコンはそのまま床に落下した。

で、それを放置したまま、ベッドに潜り込み、枕元のスイッチで部屋の電気を消した。
瞬間、文机の上に置いていたペットボトルのお茶も落下したらしき音がした。
これもスルー。
布団に入った途端、どっと疲れが押し寄せてきて、早く眠りに落ちたかった。

でも、それは妨害された。
一瞬でまどろみかけたとき、耳元で話し声が聞こえた。
小さな声でボソボソと何か言ってる。
最初、眠たい頭でテレビの消し忘れだと考えた。
めんどくさいけど気になって仕方ないから、一度起きて床に落ちたままのリモコンを拾い、電源を押した。
当然、最前まで見ていたエロ番組がついた。

おかしいなあと思いつつ、再び電源を押し、今度はきちんと消えていることを確認してから、今度こそ寝ることにした。
ボソボソ声はまだ続いている。
しかも、さっきよりはっきりと聞き取れる。
二人だ。
男の声と女の声。
男の方は低い声で「うう~、うう~」って唸ってるような感じ。
お経でも読んでいるみたいで、女の方は明らかにすすり泣いていた。

これはあれだ。
隣部屋の人が大音量でエロ番組見てるのが、こっちまで響いてきてるんだな。
迷惑なオッサンだ。
こっちは明日、早いってのに…。
そうでなかったら、どうせいつものアレなんだろ? いつも通りじゃないか。
それよりもう寝るんだよ。

何故か自分はそう思い込んだ。
そのとき、耳元でひときわ大きな声が響いた。

「そうだよ」

本当にびっくりした。
男の声だった。
一瞬で目が覚めた。
よくよく考えてみると、ここは角部屋で壁の向こうに部屋なんかなく、しかも5階…。
急激に怖くなり、荷物をまとめると部屋を飛び出し、鍵をフロントに投げ渡すようにしてホテルを飛び出した。
その日は近くの城址公園で野宿した。
本当に夏でよかったw

長文ごめんなさい。
文字だとあまり怖くないけど、体験したときは本当に怖かった。
そして、今でもたまに考える。
あの時、自分は、何を「いつものこと」と納得しかけていたんだろう?

心霊動画撮影
これ信じてもらえるかどうか解らないし、書こうかどうか迷っていたのだが…
丁度1年ほど前、俺と友人のTとOは、Oが

「ニコ動に釣り動画つくってうpしようぜwww」

と言ってきたので、買ったきり殆ど使っていなかったOのビデオカメラを持ち出し、俺の親の車を借りて山の中へ出かける事になった。
誕生日の関係で18になっていたのが俺だけで、免許を俺しかもっていなかったから。

どんな釣り動画かというと、俺とTが録画しながら心霊スポット探索をして、ほんの一瞬女装したOが画面内に映りこみ、俺とTはその事に全く気付かないまま動画をうpという設定。
今考えるとほんとうにしょうもない内容だが、当時の俺達はノリノリだった。
ただし3人ともビビりだったため、ほんとうの心霊スポットでは無く、ただそれっぽい山の中へ行きそこで録画する事になった。

午後4時頃に出発し、適当に山道を走らせていると、いい感じに舗装されていない林道を発見した。
その道を少し進むと、開けた場所があり何かの資材置き場のようになっていて、
俺達はそこに車を止めるとまず周辺で演出に使えそうな場所はないか、Oが隠れ潜めるような場所はないか色々と探し始めた。
0分ほど辺りを探し回っていると、俺は資材置き場の先の森の中にボロボロの小屋があるのを発見した。
TとOにその事を話し、俺が

「ここで良いんじゃね?」

と聞くと、Oはさいしょ

「ここに1人で待機って気味悪りぃよ…」

ゴネていたが、俺とTは言いだしっぺはお前だろwwwなどとからかい、まあ待機と言っても10分くらいだからとOを宥めて納得させ、完全に暗くなるまで車の中で待機する事にした。
車の中でゲームをしたり話をしながら2時間ほどが過ぎ、辺りは完全に真っ暗になった。
そして、OがTの姉貴の部屋から無断で持ち出してきた服に着替える間に、俺とTは適当にでっちあげた心霊スポットの話をしながらあちこち撮影を始めた。

まず10分ほどそんなこんなで録画をし、Oも準備が出来たということで、本命の釣り部分の撮影を開始した。
俺とTは笑いをこらえながら必死でビビる演技をしながらOの隠れている建物へと近付いていったのだが、あと10mくらいまで近付いた時、Oが突然

「やばいやばいやばいやばいやばい!」

と叫びながら小屋の影から飛び出して来た。
俺とTは最初ぽかーんとしていたが、Oがあまりにも必死な形相なため、俺達もつられて全速力で逃げ出した。
広場の車のところまで来ると、Oは自分がまだ女装している事すら気にせずに

「早く車出せって!ここはやばい早く逃げねーと!」

と俺を運転席に押し込んで自分は後部座席に乗り込んだ。
俺とTは何がなんだか解らなかったが、ひとまず車を発車させもと来た道を戻り始めた。
暫らく車を走らせもう少しで舗装した道路に出る辺りまで来た頃、異変が起きた。
車の天井に何かが落ちてきたようなドン!という大きな音がした。
俺は親の車を傷つけたら洒落にならないため、一端車を止めて何が起きたのか見ようとすると、
Oが

「止まるな!確認なんて後で良いからとにかく走らせろ、ここはやばい!」

と俺が外へ出るのを止めたため、仕方なく走らせようとしたとき、助手席にいるTが俺の腕を引っ張りながら

「おい…あれ」

と助手席側の窓を指差した。
Tの指差しているところみて俺は絶句した。
森の中から大勢の人がこちらへ向かって歩いてくる。
人数は20人くらいはいただろうか、全員下を向いてうつむいたまま、ゆっくり歩いているはずなのだが見た目以上のスピードで車へと接近してくる。
俺は全身の毛が逆立つような感覚に襲われ、全身に嫌な汗が流れ始めた。
ただ人が歩いてくるだけなのだが、俺にはそれが物凄く恐ろしいものに見えた。

俺は車を急発進させ、後は3人とも無言だった。
暫らく走っていると、遠くにドライブインらしい明かりが見えた。
俺はTとOに

「とりあえずあそこに入るか…」

と言い、2人は無言だったがそのままドライブインの駐車場に車を止めた。
そこであらためOに事情を聞くと、ようやく自分が女装している事を思い出したのか

「とりあえず着替えさせてくれよ」

と言った。
そこで3人とも緊張感が解けたのか、車内の空気が正常に戻った。
3人とも落ち着いてきたため、ドライブインの自販機でコーヒーなどを買い、そこでOにあらためてあの時何があったのかを聞いてみた。

Oの話をまとめると
Oは俺達が来るまで小屋の裏手で待機していたのだが、小屋の反対側から人の声がしたため、俺たちだと思い予め打ち合わせしていた小屋の窓のところに移動して俺達が来るのを待っていたらしい。
しかし、いつまで経っても俺とTがこないため、一端道の方へと顔を出した。
すると、道の真ん中にぼさぼさの頭のおばあさんが立っており、こちらをニヤニヤと笑いながら見ていたとか。
Oはちょっと気味悪かったが、お婆さんにそこにいられると段取りが狂うため、

「すいませーん、ちょっとの間で良いのでどいていてもらえませんかー?」

と聞いたのだが、お婆さんはにやにやとOを見て笑っているだけで何の反応もない。
Oはちょっとむかついて、お婆さんのすぐ近くまで行き

「ちょっと、2~3分でいいからどいていてくれよ!」

と強い口調で言ったらしい。
するとお婆さんは、にやにやした表情のままOの腕を掴み、そのまま森の奥へと連れて行こうとしたとか。
Oは

「何するんですか!」

と言って抵抗したが老人とは思えないほど強い力で引っ張られ、ずるずると奥のほうへと引き摺られていった。
そして、森の奥のほうからは大勢の人がOのほうへと向かって歩いてきたとか。
Oはそこで身の危険を感じ、お婆さんを蹴りで突き飛ばしてそのまま俺達の方へと逃げ出し、途中で俺達と合流したという事だった。
それが人だったのか「それ以外」のものだったのか、Oには解らなかったらしいが、とにかく「普通ではない集団」であったのは間違いがなかったと思う、なぜなら俺達が戻る途中でみた集団もなんと説明したら良いのか、とにかく異様な雰囲気がしていたから。
何か釈然としない状況ではあったが、動画作成にも事実上失敗し、時間も時間だったためその日はこのまま解散となった。

それから夏休中、俺とTとOは何度かつるんで遊んだりしていたが、あの日の事はなんとなく3人とも話せずに過ごしていた。
そんなある日、俺が友達と朝までカラオケをして、午前5時頃に自転車で家への帰り道を走っていると、大通りの道の反対側にOをみつけた。
Oは両手でお盆をもっているようで、良く見てみるとどうやらお盆の上に水か何かの入ったガラスのコップを乗せているようだった。
俺は

「あいつ何やってんだ?」

と思い

「おーいOどうした~?」

と呼びかけたのだが、聞こえていないのか全く反応が無い。
そのままOは十字路を曲がるとどこかへ行ってしまった。

その日の午後2時頃、俺はOからの電話で目を覚ました。
Oが言うには、電話では説明が難しいからとにかくうちへ来て欲しいと言う。
Oの家につくと、Tもいた。
そして、Oは俺とTにまずこれを見てくれと言い、あの日録画した動画を見せた。
その動画を見ていて、Tが

「どういう事だ?なんだこれ?」

と言い出した。
俺も口には出さなかったがTと同じ感想だった。

なぜかというと、俺達は確かにあちこちを録画して回ったはずで、その記憶もあるし、逃げ出したときの記憶もある、当然3人とも記憶に不一致は無い。
しかし動画内で俺達はなぜかずっと車の中におり、ビデオカメラは後部座席に固定されている。
動画が流れ始めて20分くらい、なぜか俺達が無言のまま座席に座っているところが映し出されていた。

動画が20分を過ぎた頃、後部座席にいたOがドアを開け、やはり無言のまま外に出ると姿が見えなくなった。
そしてそこから5分ほど過ぎた頃、俺とTもドアを開けると外に出て、動画には誰もいない映像がそこから10分ほど映されていた。

動画の中で、俺達は一言も会話をしていなかった、
聞こえてきていたのはドアを開ける音や外からかすかに聞こえて来る虫の声のみだった。
そこで一端Oが動画を止め、俺とTに

「どう思う?」

と聞いてきた。
俺は

「どう思うと聞かれても…なんだよこれ…」

と答えるしかなかった。
動画の中で俺とTとOは俺達の中にある記憶とは全く違う行動をしている、そんなものどう答えたら良いのかなんて解らない。
Tも当然同じ意見だった。
Oは

「そうだよな…でさ、この後の映像も変なんだよ…」

と言い、停止していた動画を再生し始めた。
暫らく誰もいない車内とフロントガラス越しに見える外の景色が映っていたのだが、更に4~5分すると車の前方の方に人影が見えた。
その人影はどんどん車の方へと向かってきており、暫らくするとそれがぼさぼさの髪のおばあさんである事が解った。
Oはそこで

「こいつだよ、こいつ!俺の腕掴んで引っ張ったの!」

と少し興奮気味に言い出した。
そのお婆さんは、暫らく車のボンネットに手を着くと、にやにやと笑いながら車内を見ていたが、すぐにもと来た道へと戻っていった。

おばあさんが見えなくなった直後頃、動画に変化があった。
急に俺達が騒いでいる声が聞こえ始め、やばいやばい!と叫ぶ。
Oと何が起きたか解らないまま動揺している俺とTが映し出された。
それは本当に唐突で、まるで車の付近にずっと待機していて、急に慌てる演技をし始めたかのような不自然さだった。

そこからの映像は車を発進するまでしか録画されていなかったが、間違いなく俺達の記憶にある映像だった。
しかし一つ不思議な事があった、Oは録画直前に女装したはずで、元の服に着替えたのはドライブインについてからだ。
しかし、なぜか動画内のOは普通の服のままだった。
一体Oはどこで服を着替えたのか…
何もかもが不自然でおかしい、俺達の記憶と全く違う内容の動画に、3人とも完全に混乱してしまっていた。
動画を全て見終わってから、Oは

「でさ、今日のことなんだが…」

と話し始めた。
Oは

「昨日の夜に寝てさ、今日気が付いたらなぜか○○川(地元の比較的大きな川)の橋のところで、お盆の上に水の入ったコップを乗せて立っていたんだよ。俺そんなことした記憶全く無いのに…」

という。
俺は今朝の出来事を思い出し、TとOにその話をした。
Oに話しかけたが全く気付く様子がなかったという事を。
それからOはこう続けた。

「それでさ、わけわからないまま家に帰ってきたら、急に“あの動画を見なければいけない”という気持ちになって、それで見たらあの状態だったからさ…少し悩んだけどお前達にも見せたほうが良いと思って呼んだ訳」

という。
そこでTがこう言った。

「この動画のフラッシュメモリーさ、このままにしておくのヤバくね?お払いとかしてもらったほうがいいんじゃないか?」

と。
俺とOもそれには同意見で、早速近所のお寺にビデオカメラと問題の動画の記録されたフラッシュメモリーを持ち込み、和尚さんに事情を話した。

和尚さんは半信半疑で俺達の話を聞いていたが、
動画を見せると暫らく考え込み、

「このカード暫らくあずからせてくれないか?」

と言って来た。
俺達はこんな気味の悪い物をもう手元に置いておきたくなかったので、二つ返事で同意するとフラッシュメモリーを和尚さんにあずけ、携帯の連絡先を伝えるとお寺を後にしてその日は解散した。

翌朝、俺は混乱していた。
朝目がさめると、昨日のOと同じようにお盆の上に水の入ったコップを乗せ、○○川の橋の上に立っていたから。
そして、その横には放心状態のTもいた。

Tは何度か呼びかけても返事がなかったが、肩をゆするとハッとした顔をして俺の方を振り向き、

「俺今何してた?ここどこ?????」

と言い出した。
俺は昨晩家の布団の中で寝て、それから今まで起きていなかったはず、Tも同じ状況だったにも関わらず、気が付いたらここにいたらしい。

俺は気味が悪くなり、ひとまずOに電話をした。
Oは寝起きで最初寝ぼけていたが、事情を話すと俺の家まで来てくれた。
そして、3人で相談してもう一度昨日のお寺へ行って事情を話す事にした。

お寺に着くと事情を解っていたからか、和尚さんはすぐにあってくれた。
3人に起きた事を和尚さんに話すと、和尚さんは腕組みをして暫らく考え込んでいたが、何か思い出したかのように暫らく席を外すと、お守り袋を3つもって戻ってきた。
そして俺達にこう言った。

「3人とも、もうこの事は忘れなさい、そしてこのお守りを1年間肌身離さずもっていなさい、そうすれば今日あったようなことはもう無いはずだから」

と。
そして、

「フラッシュメモリーだっけ?これは引き続きうちであずからせて欲しい、それでいいか?」

と聞いてきた。
和尚さんは何か俺達の身の上に起きた事情が何なのか、何となく解っていそうだったが、結局俺達にはなにも教えてはくれなかった。
俺達もその事を深くは追求しなかった、というよりしないほうが良いと感じた。

ただし、和尚さんは一つだけある事を教えてくれた。
まず、俺達に

「その資材置き場のような場所か小屋の近くに川はあったか?」

と聞いてきた。
Oが

「覚えている限りではなかったと思うけど…」

と答えると、和尚さんは

「そうか…」

と言って、続いてなぜ俺達が無意識に水の入ったコップをもって外に出たのか、憶測を交えながら話し始めた。
どうやら俺達は何か呪いの一種のような物をかけられていたらしく、その「呪術の続き」を川伝いに俺達へと何者かが送り込もうとしていたらしい。
その何者かが人なのかそれとも「それ以外の何か」なのか、それは和尚さんは教えてくれなかったが、とにかく川を通ってやってきた呪いの受け口となっていたのがそのコップと中に入った水らしい。

俺達は「呪いの元」に誘導されて、寝ているうちに家にあるコップに水を汲み、川へと呪いを受け取りに行っていたという事だった。
このまま何の対策もせず、俺達が呪いの「続き」を受け続けていたら、その後どうなっていたかは和尚さんにもわからないらしい。
ただし“無事ではすまなかった”だろう事は確実だとも言っていた。

このお守り袋は大した力は無いらしいが、少なくとも「俺達の居場所」を呪いの元から解らなくすることができるらしい。
そして、1年もすれば呪いの痕跡そのものが消えるため、俺達が操られる事も無いのだという。
お守り袋を貰うと、俺達は特に根拠があるわけではないが、不安感から多少なりとも開放され、何かほっとしてそのまま各自家に帰った。

それから俺達は高校を卒業し、進路もばららばとなり、俺は都内の大学に進学した。
TとOとは今でも連絡を取り合っているが、あの人の事は話題に上がることは殆ど無い。
和尚さんに言われたとおり、お守り袋は今でも肌身離さずもっているせいか、あれ以来俺達に記憶の喪失やおかしな出来事は起きていない。

以上です。

声優が語る怖い話
数ヶ月くらい前に何で聞いたんだか、読んだんだか忘れたけど、結構ゾクっとする話を思い出したからちょっと書き込んでみる。

確か、語っていたのは男性声優さん。
誰だったのかは忘れてしまった。
要約するとこんな感じの話。
もしかしたら、知ってる人もいるかもしれない。

仕事の新しい男性スタッフを紹介された声優さん。
新しいスタッフはどうやら前からその声優さんが結構好きだったらしい。
休憩時間になって、その人たちとの雑談の流れから、いつも使ってる電車の路線とか、「自分の近所には○○があるんだけど…」みたいな話になった。

そしたら、急に新しいスタッフを紹介した古株のスタッフが「声優さん!それ以上言っちゃダメです!」って話を静止した。
声優さんは訳が解らなくて「?」って状態。
その後に続く古株のスタッフの口から出た話が結構洒落にならない。

「あのね、この新しいスタッフはね、好きになった人の話してる路線や近所に何があるって内容からその人の家を突き止めて、合鍵を作って家の中に進入して、その人が家にいない間、ずーっとお風呂の浴槽に隠れてるのが趣味なんですよ。声優さん、それ以上言ったらあなたの家バレちゃいますよ。彼、さっき(ずっと前からあなたのファンでした)って言ってましたよね?本当にヤバイですよ、これ以上言ったら」

声優って今や超が付くほどの人気商売じゃん?
もしかして中にはもう本当にこんな事を
知らない間にされてる売れっ子もいたりするのかもな…。
だけど、この話してたのが一体誰だったのか解らないのが一番気になってる。


お待たせ
また聞きのまた聞きのまた聞きの…、まあ、都市伝説みたいな話w

別れ話を大分こじらせたカップルがいて、彼女が彼氏に「見せたいものがあるから」って言って呼び出されたんだって。
長い付き合いで色々なものをあげたりもらったりしたから「思い出の品」的なものを見せて考え直させる気なんじゃないか・・・。
うざかったけどその場できっぱり断ってやろうと思って彼氏のマンションに夜向かったんだそうだ。

彼氏のマンションのそばまで来てタクシーを降りたら携帯が鳴って。
彼氏から。

「なによ?着いたよ」

「おーい、ここ、ここ」

?って思って50m先くらいのマンションの入り口を見ると、暗くてよくわからないけど人影があってどうやらこっちに手を振ってるみたい。
わざわざ下まで迎えにきたのか…と思ったら脱力しちゃって

「は?そこにいんの?なんかわけわかんないんですけど」

って言いながら入り口に向かっていったら

「あ、ごめん。忘れ物した。ちょい待って」

って言うんだって。

「待つのだるいし、部屋に行く」

って言ったんだけど

「あ、いい。そこで待ってて。そこで」

って言ってきかない。

「すぐ戻るから」

って入り口に消えちゃった。
なぜかその間も携帯は繋がったまま。
何考えてんのかわけわかんないし、勝手に電話切ってキレられるのも嫌だし…

「私急いでんの。バイトから直できたんだよ。終電もなくなるしさ…」

「ごめんごめん、すぐだから。すぐだから」

ガチャ、バタン、ドタドタと部屋の中であろう音がひとしきり聞こえて、それからエレベーターの来る

「チン」

って言う音が聞こえたんでやれやれ、やっとか…なんて思ってたら重そうなドアを開ける音が携帯から聞こえたんで入り口の方をみたらまだ来てないみたい。
裏口かな?と思って

「ちょっと、どこよ」

「お待…せ…」

「ん?電波悪いな。聞こえないよ。なんて??」

「…待た…せ…」

「は?」

「お待たせ」

その瞬間、後ろ数メートルの方からもの凄い大きな

ドサッッツ!!!

って音が聞こえて。
もしやと思ったら、やっぱり彼氏だったんだって。
街灯に照らされて、今まで見たこともないような量の血が頭から止まらなくて…

警察が、わざわざ下で待ってて待っている場所を指定したのはよく考えれば飛び降りる時に彼女を巻き込みたくなかった、悪く考えれば街灯の下の、一番いいポジションで自分の事を見せるためだったんじゃないかって。
「忘れ物」であったと思われる、屋上に残されていた遺書には恨みつらみなんかは全くなくてただただ自分か彼女のことをどれだけ好きなのかが延々と書き連ねてあったそう。

それ以来彼女は色々な意味でダメになっちゃって、仕事も休みがちでもちろん男なんか作れない。
携帯もあれから一度も使ってないんだって。
あの、電話がコンクリートにぶつかる

「グッシャアァ!!」

って音がまた聞こえてくるんじゃないか、そう思うと電話を耳に当てることができなくなったんだそうだ。

女を騙すホスト
24歳男性です。
体験談書きます、実話です。
怖くないかもしれないけどよろしく。

初めてホストクラブで働いたのは19歳の頃で、高校を出て1年制の専門学校を卒業した直後に就職に困って歌舞○町へと進出した。
イメージではイケメンしか出来ない仕事だったけど、やってみるとそんな事もなくて、ふかわりょう似の僕でも何とか食っていける仕事だった。

女を騙すノウハウを毎日考えて、駅前を歩く女の子の気を引き店に連れ込んだ。
恐らく一日に10組以上入れていたかな。
それが所謂キャッチという作業なんですけど、普通ある程度客がいるホストはキャッチに出ない行かないんです。
新人が連れてくる客を自分の客にしようと店内で接客するわけです。

ホストをして二年程経った頃、ある程度偉くなり、ナンバーにも入り、客が来ない日なんて滅多になかったんですけど、ある日たまたまお茶引き(自分の客が一人も来ない事)になってしまい、客は一人も連絡が付かないし、店も暇だから仕方なく後輩とキャッチに出たんです。
新○東口で女の子に声を掛ける。

俺「飲みにいかない?^^」

女「いいよ、どこの店?面白そうだから指名してあげるよ」

一人目の女の子が突然引っかかったので、ラッキーと思って店に呼んだんです。
後輩に挨拶して店に行く事にして声を掛ける。

俺「お-おっ先~^q^」

後輩「あ、戻るんすか?」

俺「ういうい^q^」

後輩「早いっすねー」

店に行く最中女はニコニコしながら話しかけてきて、大事そうにデカいバックを抱えてる。
(あぁこいつはホスト慣れしてないんだな、イイ鴨だわ)
なんて考えてながら笑顔で対応していた。
すると突然女が立ち止まってこう言った。

「女の子騙す時ってどんな気持ちなの?」

(おいおい突然突っ込んだ質問するなぁ・・・)
そう思いながらも今更店に呼べなくなっては困ると思った僕は、

「騙すなんて思った事一度もないよ^^どして?」

と答えると同時に異変に気付いた。
その時初めてその女をちゃんと見たのかもしれない。
さっきまで女が持っていたバックだと思っていたものは、バックではなくて丸めた毛布だったんです。
(・・・!?)

「この人も私を騙すつもりなかったと思う?」

(この人・・・?毛布・・・?)

二人の近く以外にこの人と呼ぶような人影はない。
気付くと女は下唇を強くかみ締めていて、口からポタポタと血が垂れていた。
もう店の近くまで来ていたけど、コイツ完全にバグってると思い、店から電話がかかってきたフリをして

「店が一杯みたいだからまた今度にしよ^^;」

と断ると、女は無言で駅のほうに歩いていった。
内心ホッとしつつ、変に気疲れしたと思い、店に戻ろうとすると電話がなった。
さっきの後輩からだった。

後輩「あ、○○さん?もう店っすか?」

俺「そだよ-さっき変な女連れてきそうになっちゃってさ-」

後輩「マジっすか?僕も客見つけたんで戻ります-」

俺「ぅぃぅぃ-店で待ってるわ-」

店でオーナーと世間話をしていると後輩が店に戻ってきた。

「お客様ご来店で-す!」
「いらっしゃいませ-!」

掛け声と共に後輩が女と入ってくる。

(!?!?)

後輩が連れてきた女はさっきのワンピースの毛布を持った女。
その瞬間またビックリ。
オーナーがキッチンへと突然走り荒塩を女目掛けて投げつけだした。
後輩と僕は何が何だかわからずうキョトんとしてしまった。
女は奇声を発しながら店内を走り回り、まばたきをしたいつの瞬間だったのか消えた。

俺・後輩「え!?!??!?」

目を真っ赤に血走らせたオーナーが

「また来たのかよ…あいつはヤベェから気をつけろ」

俺「えっ!てかあの女どこ行ったんすか?!?!」

後輩「は???幽霊???は???」

興奮状態の僕と後輩はそれ以降の会話をあまり覚えてない。
オーナーの話だと数年前から毛布を持った女が何度か来店し、その女が来た日に売り上げはうなぎ上りになるらしかった。
話の通りその日は客がドカドカ入り満卓になった。

でもその話には続きがあって、その女に接客して相談に乗ったり優しい言葉を掛けるとそのホストは自殺してしまうという話だった。
僕がホストを始める前に数人その店でも自殺したらしかった。

幽霊を初めて見た僕と後輩は興奮を抑えきれないと同時に、自分たちが呪われてないか不安で仕事が手に付かず、
それを心配するオーナーと一緒に三人でお払いに行ったが、オーナーだけは神社の外で待っていた。

オーナー曰く

「幽霊だろうと何だろうと女は上手く使えば金になる、お祓いなんてもったいねぇよ。他のキャストにさっきの話するとビビってやめちゃうから言うなよ」

だそうです。
この人はどこまでもホストなんだなぁと変に関心した反面体験した事にかなりビビってました。

最初で最後の怖い体験で今年僕はホストを辞めたので、この話を解禁しようと思い書き込みました。
当時の後輩も僕も元気ですが、後輩は右手の小指、僕は左足の小指が別々の事故で切断しました。
後輩はホストを辞めて鉄筋の作業中に。
僕はバイクでコケてコンクリの溝に靴が挟まっただけなんですけどね。
小指で尚且つ同じ体験をした二人…
偶然とは思えないんです。

その毛布の中にはホストの小指が入っていたんじゃないかな。
何て今になって思います。
歌舞○町でホストしてる人は同じ体験した事がある人も居るんじゃないかな?
しようと思ってる人、してる人、白いワンピの毛布女だけは声掛けないほうがいいっすよ。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

インコのブログ
2年くらい前から、飼っているオカメインコのムウちゃんについてのブログを始めた。
当初は、あまり記事を誰も見に来てくれないし、コメントも残してくれないので結構淋しかったんだけど、段々他の人のブログにコメントを残したりしていくうちに仲間が出来てきて、自分が書いた記事にもコメントが結構つくようになっていった。

その中の一人にAさんっていう結構人気のブロガーがいて、その人のブログも楽しかったし、残してくれるコメントも毎回適当なお世辞とかじゃなくて、興味のある記事にだけ的確なコメントをくれて嬉しかった。

ただ少し気になった事のは、Aさんは少し鬱気味の事が多く、沈んでいる時は「死に関する記事」が多かった。
Aさんの記事にはいつもたくさんのコメントが書かれていたが、死に関する自殺願望的というか自虐的な記事には、他のブログ仲間たちも困っているようでコメントはあんまりされていなかった。

私はあまり暗い記事を書くのは嫌だったので、常に前向きなキャラを演じて明るい記事しか書かず、Aさんの暗い記事にも前向きでマイペースな明るいコメントを残した。

Aさんとのブログの交流は1年ほど続き、ある日インコブログのオフ会があるので参加しないかと誘われた。
他にも知っているブロガーさんも参加するみたいだし、ちょっと顔を見てみたいという気持ちがあって参加することにした。

オフ会は楽しく時間が過ぎた。
Aさんも思っていたより爽やかな好青年で話も弾んだ。
しかしAさんは酔ってくると

「僕が生きているのは君が励ましてくれたからだ」

と何度も言いだした。
最初の内は自分も

「え~?それが殺し文句ですか??」

とか

「モテる男の人は言う事が違うね!」

と笑ってたんだけど、あまりにも真剣にしつこく言ってくるので周りの空気とかもおかしくなってちゃって、何となく話を濁してさっさと席を移動して別の人と話してその日のオフ会は終わった。
次の日、自分のブログを見てみると

「昨日は酔っ払っちゃってごめんね。軽蔑されちゃったかな?」

と、Aさんからコメントが入っていた。
私はとりあえず

「全然ですよ!私の酔っ払った姿なんてもっとドン引きものです」

と返信した。
それからAさんからのコメントは記事を投稿していなくても毎日来るようになった。
コメントは他愛のない内容なんだけど、他の人からも丸見えで周りの人にどう思われるかも気になる。
最初は毎回返していた返事もだんだん面倒&薄気味悪くなって、

「最近忙しくて更新・コメントできません。本当にすみません。ムゥちゃんは元気ですよ」

という内容の記事を投稿して、コメント欄を全部非設定にして自分以外何も書きこめないようにし、更新も停止した。
そうすると今まで

「またAさんからコメント来ているのかな?」

ともやもやしていた気持ちがなくなって、すごくスッキリした。
その後一カ月ほどブログからは離れていたんだけど、今まで親しくして貰っていたのによく考えると自分のやっていることは失礼だったのでは?と思い始めて、せめて仲間のブログの記事を見に行こうとしぶりに仲間のブログを訪問してまわった。
Aさんのブログは正直迷ったんだけど、嫌がらせをされた訳じゃないので無視をするのもなあ~と思い、距離を取りつつ付き合って行くって事で彼のブログも訪問することにした。

TOPには
「悩みの相談」
と題付けされた記事は私の事が書かれていた。
あるブログ仲間にいきなり無視し続けられて、もう眠ることもできないと。

冗談じゃない!
でも今なら知らばっくれて

「忙しくてごめんね」

とコメントを入れればフォローになるかと思い、コメント欄を開いてみると彼の仲間たちによって既にたくさんのコメントが書かれていた。

「Aさん優しいから勘違いしちゃったんじゃない?放っといた方がいいよ」

「きもいな。その勘違い女」

「その女のブログ見てきたけど、サムイな。自己満足?」

「飼っているインコも、なんか目が変じゃない?ってか、ウンコ顔」

「他人ごとながらムカつくわぁ~」

「本人の写真あれば2chに晒そうか?」

と、Aさんが結構人気ブログのためか私の悪口のオンパレード。
しかもどんどん下に行くにしたがって笑えないものに変わっていった。

「女のブログの写真見ると、住んでいるのは○○町だな」

「○○町だとうちの近所だぞ。解析する?」

そこまで読んであわてて自分のブログに戻り、全部削除した。
もう二度とブログなんかやらないと思った。
その後どうなったかは、分からない。
私の家は割り出されたのだろうか?
でも仕事で留守が多いし、家にいても居留守魔なので玄関の呼び鈴が鳴っても出ないし、もうこんな嫌な事忘れちゃえばいいか。

珍しくムゥちゃんが何か長文をしゃべってる。
何を言ってるのかな?と、鳥かごを見るとムウちゃんの片足が変な方向に曲がっていた。
そしてムウちゃんはこう叫んだ。

「ムゥチャン、シンジャウヨ。ツギ、ムシシタラシンジャウヨ」

能面が起きた
怖い話ではないけれど、気になっている話を……
私は東北在住なんですけど私の住んでいる地域で最近変な話があるんです。

『能面が起きた』と。

それは、今年の5月に私の住む部落(地域的な意味です)で急きょ祭りが行われることになりました。
今まで無かった祭りが急にできたのです。

それで、知り合いの区長さんに何の祭りか聞いてみました。
17歳以上の者はほぼ強制参加。
祭りと言っても出店があるわけでもなく、お寺の境内で火を焚いて鎮魂すると…
教えてくれたのはそれくらい。
しつこく聞いたのですが、

『どうせ参加しなくちゃならないんだから、そうすれば分かるよ』

と。
両親にも聞いたのですが、

『町の安全を祈って行う』

とか

『町おこしだ』

とか、なんとなくはぐらかされてるような内容の答え。
正直、面倒でした。
仕事を理由に不参加しようと考えました。
ですが……、私の職場はその部落にある小さな建設会社。
私はそこの事務をやっていました。
祭りの当日、会社は全体休業。
行かなくてはならなくなりました。

夕方くらいに寺に行くと、部落の人達がいるわいるわ…
こんなに人住んでたの?と思うくらい集まってました。
みんなが、境内の真ん中にある火を焚く矢倉を囲む様に丸くなってます。
私も嫌々ながら混じりました。
夜7時、太鼓が鳴らされお寺の中から能面をかぶった人が4人出てきました。
寺の住職と区長さん、(服装は私服だったので服装や体格で分かりました)後の二人は分かりません。

その4人が焚き火の周りを回り始めました。
手には扇子と、棒の先に長い毛が付いたやつを持っています。
しばらく回ったあと、太鼓に合わせて踊り始めました。
みんなバラバラでした。
区長さんは盆踊りみたいな踊り、住職はお世辞にも踊りとは言えないような不恰好な動き、残り二人はジャンプしたり手を叩いたり…

見ている年配の人達は、ほとんど手を合わせていました。
30分ほど経ったとき、太鼓が一度ドン!と大きく鳴って、踊りが終わりました。
司会者から

『今日は忙しい中どうもありがとうございました。これから〇〇(集会所)で打ち上げをいたしますので皆様どうぞ』

とアナウンスされた。
みんながぞろぞろと場を後にする。
その中に職場の同僚がいたので話しかけました。

私『なんなのこれ?』

同『分からん(笑)なんかみんな変だよな』

私『打ち上げに行って聞いてみる?』

同『そうだな』

そして集会所に行きました。
祭りに参加した人の7割は帰ったらしく、人は少なくなっていました。
集会所の中にはテーブルがずらっと並んでいて、オードブルやジュース、酒が出ていました。
私と同僚で適当に座り、同僚はビール、私はジュースをいただきました。
特に誰かのスピーチがあるわけでもなく、みんな座るなり適当に飲んだり食べたりしてました。
しばらくすると、近くにいたおじさんが酔い始めたのでチャンスだと思い

『今日の祭りってなんなんですか?』

と聞いてみました。
おじさんは

『んぁ?あぁ…能面が起きたんだ。だからなぁ……。鎮魂だ鎮魂!』

と言った後、知り合いらしい人と喋り始めたので聞けず。
私は思い切って区長さんに聞きに行きました。

『そうだなぁ…。どこでもあるんだよ、こういうのは。でもな、このことは分からなくてもイイんだ。
〇〇(私)はこういう祭りがあった時に参加してくれればいい。もう少し歳をとったら全部話してやるから』

とだけ言われました。
これ以上は聞くことは出来ませんでした。
たぶん、昔飢饉があって…とかだとは思いますが隠すことあるのかな?と。

ただ、『能面が起きた』ってどういう意味なんだろ?

文才ないからうまく伝わらないかもしれませんが、実際にあったことです。
それと、個人特定できるかも知れませんがスルーでお願いします。


僕が夜勤から帰る途中突然お腹の方が催して来たんです。
近くのスポーツ公園の奥の雑木林にあるトイレに駆け込みました。
ところが男子トイレに紙がなかったんです。

(まあ夜中だし誰もいないから良いや)

と思い女子トイレに入りました。
用を足していると「カッ カッ」と足音がします。

(やばい誰か来た!)

こんなとこ見られたら変質者と思われる。
用を足すのを止め、息を潜めます。
「カッ カッ」足音がだんだんこっちへ近づいて来ます。

「カッッ カッ カッ カ…」

足音が僕が入ってる個室の前で止まりました

(もしかして管理人か警察かも。ここは正直に事情を話そう)

「すいません、男子トイレに紙がなかったんでこっち使ってます」

返事がありません。
ただドアの向こうから無線音のようなものが聞こえてきます。

「…あ…い…」

何をしているんだろう?とドアの下の隙間から覗き込むと、裸足の女の足が見えました。
しかも片足だけ!!!

(なにが起こってるんだ!?)

混乱していると無線音のような声が段々大きくなってきます

「…あ…だ…い…」

「…あ…し…だ…い…」

よく聞くと女が唸ってる様な声です。

「…あし…ちょう…だい…」

(足頂戴!)

言葉が聞き取れた途端、下の隙間からニュ~っと綺麗な女の手が伸びて来て僕の足をつかみました。
つかまれたと言うよりは重いひんやりとした空気に包まれたような気分でした。

「アワワワワワ・・・・(俺の足どうなっちまうんだろ?)」

僕は恐怖で固まってしまいましたが、ゆるむところはゆるんで第二波が駄々漏れ状態でした。
手はしばらく僕の足をつかんでいましたが、僕の足が毛深く汚かったからでしょうか。

「こんな足イラネ!」

と言わんばかりに手を離しスゥ~っと隙間から消えていきました。
僕はそのまま気を失い朝までトイレで寝てました。

後日地元の人から聞いた話によると、そのスポーツ公園前の道路で女性が車に撥ねられたそうです。
一命は取りとめましたが足を一本切断してしまいました。
モデルをしていたその女性はそれがショックでショックで公園奥の雑木林…僕が用を足したトイレの真裏の松の木で首を吊って自殺しました。

それ以来そこの女子トイレで一人で用を足していると「足頂戴」と言って出てくるそうです。
幸いその女の霊が気に入る足がなかったのか足を取られた人はいないそうです。
僕は思います。
足が綺麗な女の人は、決して一人でそのトイレを使わない方がいいですよ。

神谷のおばさん
俺が中学の時、『神谷のおばさん』という有名人がいた。
同級生神谷君の母親なので『神谷のおばさん』な訳だが、近所は勿論、同じ中学の奴もほとんど神谷のおばさん知ってる位有名人。

見た目は普通のおばさんなんだけど、とにかく話を聞くのも話すのも上手い人で、地元じゃ有名なヤンキーすら、
「神谷のおばさんに怒られちゃしょうがない」

って悪さ止めるくらい。
俺達中学生の下らない悩みとか、相談を真剣に聞いてくれたし、本気で怒ったり励ましたりしてくれる人だったな。
親とか先生には話せないことを、相談出来る大人って感じ。
皆の母ちゃんっていうか。

で、神谷のおばさんといえば『怖い話』。
って思い出す位、怪談物が得意だった。
内容は多分よくある怪談なんだけど、とにかく話し方が上手いんだよ。
滅茶苦茶怖くて、女子なんかキャーキャー大騒ぎになるくらい。
そんな神谷のおばさんに関する話。

俺が中2の秋、クラスに転入生が来たんだよね。
秋山君っていったと思う。
田舎だったからあんまり転入生とかなくって、結構注目されてたような気がする。
背が高くて、顔立ちも整ってて、いかにも女に受けそうな奴だなぁってのが、俺の第一印象だった。

最初の頃は皆、秋山の周りに行ってあれこれ世話してたんだけど、日が経つにつれ、秋山は皆から避けられていった。

「犬に石ぶつけてた。犬が怪我しても止めないの」

「猫をおもいっきり蹴って、猫がピクピクして身動きしないのを、踏みつけようとした」

勿論担任の耳にも入り、注意されたみたいだけど、母親が乗り込んできて、

「学校で悪いことしてないでしょう!勉強だって出来るんです!(実際成績はトップクラスだった)犬猫に何したって、成績良ければいいじゃないですか!」

と大騒ぎしたらしい。
今でいうモンペだったんだな、母親。
噂では、前の学校でも問題起こして、母親と学校が揉めたらしく、それで両親が離婚。
母親の実家に戻って来たってことだった。
うちの母親が地元出身で、この秋山母のことも良く知ってたとかで、そんな噂も俺の耳に入ったわけ。

しかし、うちの担任は熱血漢で、はいそうですかとは引き下がらない。

「命の大切さ!弱いものを慈しむ心!教育とは勉強だけじゃないんですよ!」

と、全面的に争う姿勢。
日頃担任をうざがってたヤンキー連中すら、「全くだ」と応援してたのがおかしかった(笑)

とにかく秋山は怖かった。
ヤンキーとかの不良に感じる怖さじゃなくて、得体が知れない闇みたいで、本気で皆怖がってた。
ある日、俺が神谷ん家に遊びに行くと、ちょうどおばさんと神谷が買い物に行くところだった。
近所のスーパーなんだけど、米やら重いもの買うから付き合うんだとのこと。
なら俺も付き合うよと、三人でスーパーに向かう。

買い物中、秋山が少し離れた所にポツンと立ってるのに気付いた。
秋山の家はここから大分離れてる。
ちょっと買い物にしては不自然だった。
俺は神谷の事を肘で小突いた。
神谷もすぐに秋山に気付いたみたいだった。

俺「何でこんなとこにあいついんの」

神谷「知らねぇ」

ひそひそやってたら、おばさんが後ろからスッと顔出した。

神谷のおばさん「あれ、あんたが言ってた秋山君って子?」

と呟く。

「良く分かったな~」

と二人でビックリしてたら、

「アレは駄目。近寄らないでね。それしか方法が無いわ」

それだけ言うと、おばさんは買い物に戻っていった。
今までどんな不良でも決して見捨てなかったおばさんの一言が、えらいショックだった。

「うちの母ちゃんがあんな事言うなんて」

と、神谷もかなり驚いたらしい。

それからしばらくして、秋山がパッタリ学校に来なくなった。
でも誰も心配しなかったし、むしろこのまま来ないで欲しいという空気だった。
何回か母親が学校に乗り込んできて、

「イジメがあったはずだ!だから息子はおかしくなったんだ!」

と騒いでいた。
イジメは無かったけど、クラスで孤立していたのは事実だから、何かゴチャゴチャはしたらしい。
実は俺の家にも、秋山母が来たんだよね(笑)うちの母ちゃんのこと、向こうも知ってたみたいで。

「あんたの息子が苛めてたんじゃないのか」

「うちの子が出来がいいから妬んでた」

「どうせろくでもない息子だろ。お前の息子が狂えば良かった」

最初は穏便に追い払おうとしたうちの両親も、最後はかなりキレてたな(笑)
俺は何となく悲しかった。
ああ、このおばさんも狂ってるんだなぁ…って。

三学期も終わり、春休みのある日、俺は神谷の家に遊びに行った。
おばさんと三人でお喋りしてるうちに、ふと秋山の話になった。
実はずっと気になってたんだよね。
なんで秋山に近寄らない方が良かったのか。
秋山は結局学校に戻らなかった。
完全におかしくなっちゃって、今でも病院らしい。
秋山母も、離れた病院に入れられたらしい。
秋山祖父母は我関せず。

「あんなキ○ガイうちの人間じゃないから、死ぬまで入院させておいてくれ」

と言ったとか。
そんな話と、家まで怒鳴り込みかけられた話との後、俺は神谷のおばさんに聞いた。

「結局秋山はなんだったの?」

おばさんは少し考えた後、

「人間ではない」

と答えた。

「一目見てわかったよね。もう人間じゃなかった。本当の秋山君は、多分普通の子だったと思うよ。小さい頃から少しずつ食べられて、本当の秋山君はもういなくなっちゃってた。秋山君の皮の中に、ドロドロした念が詰まって、人間の形になってるだけ」

俺も神谷も驚愕した!今まで『怪談』は良くしてくれたけど、こんな霊能力者みたいな事を、おばさんが言ったのは初めてだったのだ。

「な、なんでそんなことになっちゃうの?!怖いよ!」

真剣にビビる俺(笑)神谷も真っ青だった(笑)

「親の因果が子に報い~ってやつかしらね?あの家のお祖父さん、何人も人死なせてる。直接殺した訳じゃないけど、あのお祖父さんのせいで死んだ人が沢山いる。秋山君のお母さんが歪んでるのはそのせい」

「でも、それじゃおさまらなかったから、秋山君までいっちゃったのね。死んだ人の恨みとか呪いが禍々しいモノを呼んで、秋山君は食べられちゃった。可哀想に」

「そんなのないよ!じゃあ秋山悪くないんじゃん」

と神谷が言う。

「因果ってそんなもんなのよ。個人じゃなくて『血』に祟るの。親しい人とかね。あんたらも心しておきなさいね。そういうのには、人間の理屈は通用しないのよ」

神谷のおばさんは、最後こう言った。

「見てなさい、あのお祖父さんだって。さ~て、お夕飯の支度しよっと!あ、木村くん(俺)も食べていきなさいね~」

と、おばさんは普通に台所に消えていった…
俺と神谷はすげぇ落ち込んでた(笑)
だって、自分が悪くないのに、そんな目に合うなんて怖すぎる…

何となく、この話は誰にもしない方がいい気がして、(神谷のおばさんが変な人扱いされそうで)俺と神谷だけの秘密みたいな扱いになった。
俺も今や40近くなり、おばさんは鬼籍の人となったから投下した次第。

その後、秋山の祖父は病気になり、全身が麻痺。
寝たきりになった。
祖母は看病疲れで亡くなり、じいさんは施設に入れられた。

秋山祖父は昔は強欲な金貸しやってて、相当悪どかった、と後から聞いた。
じいさんが入れられた施設に、うちの母親の同級生が勤めていて、その人情報だと、全身硬直していて座ることも出来ない。
それなのに痛みが止まらない。
いくら処置しても床擦れが治らない。
床擦れから感染して、色んな病気になる。
それなのに死なない。

「あれは生地獄だよ」

と。
結局じいさんはつい最近まで、つまり20年近くそのままだった。
秋山母と秋山に関してはよく知らない。
生きているのか死んでいるのかさえ。

結局全て偶然なのかもしれない。
秋山祖父はただ性質の悪い病気になっただけで、秋山母と秋山は精神病を患っただけ。
だって、世の中には何も悪い事してなくても、病気や事故で不幸な目にあった人はいっぱいいるし。

それでも俺は、いまだに墓参りや法事には真剣に参加してる。
ご先祖様ありがとう。皆のおかげで俺は幸せに暮らしてます。
と。

遺骨
じいちゃんが戦争で南方にいってた時の話。
日本軍は兵站を軽視していたから、餓死とか病死ばっかで、本当に悲惨だったらしい。

友軍が死ぬと、遺族のために遺骨を作らなくてはならないから、指を切って持ってくのね。
ある日、敵の奇襲を受けて仲間が一人撃たれた。
ああ、死んだと思ったじいさんと上官は危険だったが駆け寄って、指を切ろうとした。
すると、死んでると思った仲間がうーうー唸りだした。

じいさん「ま、まだ生きてます」

上官「なに!」

けれども、銃弾が飛び交う中、迷ってる訳にはいかない。
死ぬのをまってたら、こっちが撃たれる。
ほったらかして逃げたら、ご遺族に遺骨が届かない。
やはりご遺族に遺骨を届けるのが優先だ。
と、言う事になった。
それで、生きたまま指一本切ってったんだが、さすがに切られる方は滅茶苦茶痛そうだったそうだ。

終戦後、昭和30年位の事、用事があって東京に来てたじいさんは、東京駅で、あの仲間が歩いてるのを見かけた。
あっ、幽霊だ。
と思ったが、リアルすぎる。
他人の空似にしては似すぎている。
話しかけたらやっぱりあの仲間だった。

仲間「おおっ、生きてたのか。いやーこんな処であえるとは、うれしいな」

じいさん「それは、俺のセリフだ! お前腹撃たれてたじゃないか!」

話を聞くと、弾は本当に偶然、内臓を押し分けて背中に貫通してたらしい。
それで、イギリス軍の捕虜になって助かったと。
その仲間は手をひゅっと挙げて、指の一本ない手を見せ、

仲間「いやー、あの時は痛かったぜ、はっはっはっはっは」

仲間は恨んでる風もなかったが、じいさんは顔を引きつらせながら笑ったそうな。

二人のお婆さん
長い上あまり怖くないので面倒だったらスルーして下さい。

つい何日かまえの話だけど。
仕事が終わって小腹もすいたしなんか軽く食べれるもの買おうと思ったのね。
ちょっと歩けばコンビニもあるんだけど、面倒だから目の前のスーパーに入った。
パンと紙パックジュースを買って店を出る時、杖ついたお婆さん二人が店に入ろうとしてるのが見えた。

このスーパーのドアは自動ドアじゃなくて手で押したり引いたりして開けるタイプのドア。
結構重たい。
杖をつきながらこの重たいドアを開けるのは大変だな…と思い、私もちょうど店を出るところだったのでドアを自分側に引いて開いてお婆さん二人を先に店の中に通したんだ。
私がドアを開けているのに気がついた二人はヒョコヒョコと急ぎ足になったので、何だか逆に申し訳なくなった。
姉妹なのか友達なのかはわからないが、片方は日傘でもさしてお散歩してそうなお洒落なお婆さん、もう一人は畑にいそうないかにも田舎のばあちゃんって感じのお婆さん。

二人は店に入ると突然私の手を取り(右手をお洒落なお婆さんが、左手を田舎のばあちゃん風のお婆さんが)ありがとうありがとうと言って手を握ってきた。

最初は

「どういたしましてw」

って感じだったけど、手を握ってる時間がやたらと長い。
お婆さん二人は私の手を握ってる間ずっと怖い位の笑顔で

「ありがとう、ありがとう、ありがとう…」

と同じ口調のまま繰り返していてなんだか気味が悪い。
そしたら二人が急に会話をし始めた。
会話する時って普通はお互いの方を向いて話すと思うんだけど、この二人はじっと私の顔を見て会話してた。
内容はうろ覚えだけどこんなだったと思う。

▲ =お洒落な方
■ =田舎っぽい方

▲ 「若い子にも優しいこがいるもんだね」
■ 「若い連中みんなこの子みたいに優しかったらねぇ」
▲ 「みんな優しかったら私らもあんな思いしなかったのにね」
■ 「あいつらの話はやめてくれって言ったしょや」
▲ 「そうだね。悪かったね」
■ 「何回言ったらわかるのさ。あんたは昔から鳥頭だ」
▲ 「それよりほら見てよ、真っ白で柔らかくて良いわねぇ」(私の腕を擦りながら)
■ 「若い頃の私のほうがもっとすごかったしょ」

田舎っぽい方のお婆さんはもう私の手を離してるんだけど、お洒落なほうは相変わらず私の手を握ったまま。
しかも段々目が虚ろになってきて、田舎っぽい方の話なんてほとんど聞いてなくてどんどん話すことが訳のわからない内容になってきた。

▲ 「良いわねぇ、若いって良いわねぇ…私も戻りたいわ、若かったらあんな思いしなかったのに…」
■ 「だからあの話はやめてくれって言って…」
▲ 「あなた(多分私の事)若いって良いわねぇ、ほら…柔らかくて美味しそうね、男の人もきっと嬉しいわ。」
■ 「悪いねお姉ちゃん、ほら○○(多分お洒落な方の名前)いくよ」
▲ 「私が男の人なら※¥△@&(聞き取れなかった)良いわねぇ、良いわねぇ、羨ましいわ、私もあなたみたいに若かったら…」
■ 「○○!いい加減離してやんな!ほら急ぐんだからいくよ!」
▲ 「待って、待って今ね、すごく大事だから、すぐ済むから」

田舎っぽい方がお洒落な方の方を掴んで連れていこうとすると、お洒落な方は田舎っぽい方を突飛ばして突然私の腕に噛みついてきた。
あまりにも突然で、一瞬痛いかどうかはよくわからなかった。

とにかく恐ろしくてありったけの声で何か叫んでたら店員達がすぐに駆けつけてきてくれた。
それを見るとお洒落な方はさっきまで杖をついてたのが嘘みたいに走って逃げ、私と尻餅ついたまま立ち上がれない田舎っぽい方のお婆さんが残されて、店員も何が起きたのかわからず呆然としていた。
噛まれた腕は所々(多分歯が抜けてない部分)血が滲んでる。

お婆さんは店員の手を借りて立ち上がるとふらつきながら私の所に来て

「すまなかったね、アレがああなったのは私のせいなんだ、すまなかったね」

と言って頭を下げると店から出ていってしまった。
血が滲んだ場所は女性の店員が手当てしてくれたけど、1日もあれば瘡蓋になるくらいの浅い傷なのにまだ少しも治る気配がない。

長文&支離滅裂の酷い文章スマソでした。

窓を越える老婆
俺はある機械メーカの技術者なんだけど、うちの機械は世界各国の工場でも使われている。
で、据付や調整、指導なんかで1ヵ月ほどそこに出張というのが年に1、2回あった。
これは最近、近所の大国へ行ったときの話なんだ。

機械を買ってくれた工場は、発展している沿岸部からそう遠くない所にあった。
でもすんごい田舎で、大きな工場の周りにはほとんど何もないような所だった。
工場は昔の国有工場で、数年前に台湾の会社との合弁会社になり、設備投資を始めたんだ。
その台湾の会社から、管理職や技術者が数人来ていて、王さんという技術者が日本語ぺらぺらで、俺の通訳や世話をしてくれた。
その王さんから、

「一人で工場の外へは出ないように」

と言われていた。
俺が?でいると、

「外へ出ても何もない。田舎だし、外国人に対するマナーもない。言葉も通じないし、迷子になったらタイヘン」

という答えで、まるで監視するかのように朝食から寝るまで、びったり俺に付いていた。
夕食後に散歩に出ようよ、と言っても

「何もないです」

と絶対ウンと言わない。
俺が行ったときの歓迎会と、週末の食事と買い物に、車で15分くらいの町へ台湾人達と出かけるだけ。
お国柄的に、外国人が行ってはいけない秘密施設でもあんのか?と思ったくらい。
確かにゲストハウス用の食堂で三食食べられるし、商品に難があるが売店もあり、外へ出る必要がなかったんだが。
それまでいろんな所へ行ったが、どんな所でも町の様子をぶらぶら見るのは楽しいものだったし、ここでもそうできると思ってたんだ。

2週目の土曜になると、相当退屈になってきた。
王さんも俺のお守りに疲れてきたみたいだった。
昼食時、

「今日の午後はたっぷり昼寝するよ。王さんも休んでくれ。夕食時にまたな」

と言うと、王さんはちょっとホッとした感じで、

「わかった。ゆっくり休んでいてください」

と自室へ帰った。
それで俺は、工場の周りを散歩することにした。
退屈しのぎになるかと思ってね。
まあ秘密施設があったら怖いが、何か見かけたら戻ればいいし、くらいに考えてた。
門まで来たら、守衛が俺に向かって何か言ったが、当然、全くわからない。

守衛の舌打ちを無視して、俺は外へでた。
外出は車ばかりだったし、注意して見てなかったが、門の向かいや左右に工員向けのよろず屋みたいなのと、食堂が数軒。
真ん中だけ舗装されているホコリっぽい道を歩き出した。
畑とポツポツと古い家があるだけで、ほんとに何もない・・・引き返そうかという時、畑横の1軒の朽ちかけた家の中から、ガサガサッという音が聞こえた。

え?ここに人が住んでるの?屋根も壁もボロボロだし、窓にガラスも入ってない。
もしかして野犬?こっちは狂犬病が多いと聞いていたのを思い出し、途端に怖くなった。
すると

「ぐぅぇぇ…」

という声が家の中から聞こえた。
え?え?と俺は凝視モードに入った。
ガラスのない窓枠に、屋内から枯れ枝のような手がぶら下がっているのが見えた。
爪が異様に長い。
魅入られたように見ていると、窓の下からばさばさの白髪が現れ、ゆっくりと、しわくちゃの婆さんが顔を半分のぞかせた。
その婆さんの目は、病気なのかなんなのか、白い半透明の膜みたいものがあって黒目がはっきり見えない。
恐ろしさがこみ上げて来て、俺は工場の方へ走り出した。
途端にガッ!と肩を掴まれた感触があった。
そりゃもう、必死で走って帰ったよ。
守衛が驚いたように俺を見ていたがそれどころではなく、自分の部屋に転がり込んでへたり込んだ。

あの婆さんはなんだ?普通に住んでる人だったのか?しかしあんなボロ家に?
もしそうで、病気だったんなら、走って逃げて気を悪くしただろうか?あっ、見えてないのか。
などど、心臓バクバク状態であれこれ考えた。
そういえば、肩を掴まれた感触が??
と思って、Tシャツをずらして肩を見てみると、細い三日月のような赤いスジが3つ並んでる。
と、反対側に1つ…
あの婆さんは人じゃないのか!?って震えた。
夕食時、王さんが

「よく休めましたか?」

と聞いてきた。
俺は、ボロ家で見たことを話そうかと思ったけど、怒られそうなので

「うん」

と曖昧に答えておいた。
その晩も王さんが部屋にやって来て、あれこれ話して過ごし、婆さんと肩の傷のことは忘れかけていた。
王さんも自室に戻り、風呂でも入ろうと空きベッドに広げておいたスーツケースから着替えを出そうとかがみこんだ。
その時ちょうど後ろ側にある、開けていた窓のほうでガリッ、て音がしたんだ。
ん?なんだ?と一瞬思い固まったが、もう音はない。

気のせいかと着替えをあさっていると、またガリッ、ガリッという音がした。
俺はかがみこんで着替えをつかんだまま、恐怖で固まった。
見てはいけない、見てはいけない!

どれほど固まっていただろうか。
怖くて全く動けなかったんだ。
が、

「ぐぅぇぇ…」

という声が聞こえて、俺は気が狂ったように振り向いた。
俺の部屋の窓枠に、外からしわくちゃの手、長い爪がしがみついてたんだ。
そしてぼさぼさの白髪と、膜がかかったような目がだんだん見えてきた。
昼間は半分しか見えなかった顔が、ゆっくりと、全部現れてきた。

土気色のしわくちゃ顔に、線を引いたような薄い唇だけが真っ赤だった。
俺が動けなくて凝視していると、婆さんが突然ヒラリというか、ふわっというか、急に窓枠の上に上がって来たんだ。
そこで俺は弾かれたように立ち上がって、なんか叫びながら、転げるようにして部屋から出た。

俺の叫び声を聞いて、ゲストハウスの台湾人たちが部屋から飛び出してきた。
王さんもすっ飛んで来て、

「どうしました?どうしました?」

と聞いてくる。
俺は腰が抜けて廊下にへたり込み、部屋を指差して

「ば、ば、婆さん、窓、窓」

としか言えなかった。
王さんらが俺の部屋へ入っていったが、すぐに出て来て、

「何もないですよ。一体どうしたんですか?」

他の人に水をもらって、人に囲まれた俺はちょっと落ち着き、昼間のボロ屋の話から始めた。
王さんの顔がこわばる。
王さんが中国語で皆に話すと、皆

「アイヤ…」

と首を振った。

「…だから、一人で工場の外へ出るなと言ったでしょう!」

王さんも、首を振り振り言った。
そうだ、肩の傷はどうなった?と思いめくってみると、赤いスジだけだった傷は膨れ上がり、熱を持ったようになっていた。
ずきずきと痛みも感じ始めた。
王さん達はその傷を見て、もっと深刻な顔になっていき、なんやらワアワア話し始めた。
何人かは携帯を出してきて、あちこちに電話し始めた。
婆さんも怖かったが、台湾人達の緊迫した様子を見て、俺はたいへんな事態なんだと、もっと怖くなった。
その晩は王さんの言葉に従って、王さんの部屋で王さんともう一人の台湾人と寝ることになった。
俺はもう怖いのと、肩が痛いのと、疲れたのでベッドでぐったりしていたが、王さんともう一人の台湾人は、なにやらヒソヒソと、ずっと話し込んでいた。

翌日朝早く、ゲストハウス前に迎えの車が来た。
この工場に元々いるという幹部職員が乗っていて、王さんともう一人の台湾人と一緒に、俺も車に乗って出かけることになった。

「日曜なのに王さん、みなさんにすまない。でも、昨日のあれは何なの?これからどこへ行くの?」

と王さんに聞いた。
王さんは一瞬怖い顔をしたが、すぐにっこり笑って

「だいじょうぶです。これから解決に行くのです」

としか言ってくれなかった。
車で小一時間ほど走っただろうか。
よく似た田舎の風景、よく似た農家らしき一軒の家で車は止まった。
門内の中庭に中年の女性が待っており、土間の部屋には盲目らしい婆さまが座っていた。
部屋はうす暗く、大きなロウソクが焚かれ、線香か何かの匂いで咳き込みそうになった。
拝み屋さんか?と思いながら、促されて婆さまの前へ行き座った。

俺が近づくと、婆さまは思いっきり顔をしかめて何やら言った。
工場幹部や王さん、中年女性が何か言う。
しばらく話が続いたが、俺は言葉もわからないし、王さんも何も聞いてこないのでずっと黙っていた。
婆さまは紙と筆を用意させ、ブツブツつぶやきながら、紙にしゃらしゃらと絵文字のようなものを書き、拝むような仕草を何度もした。
この時は誰も何も話さず、俺は異界に迷い込んだようで益々怖くなった。

次に婆さまは皿に紙を置いて、ロウソクで火をつけて燃やし、またブツブツ言った。
王さんが俺に、シャツをめくって肩を見せるように小声で指示した。
婆さまは俺の傷が見えるのか?ブツブツつぶやきながら、灰を傷に塗りつけた。
俺は痛くて思わず

「ウッ!」

と言ってしまったのだが、王さんに手で牽制された。
何度か灰を塗りつけた後、中年女性が碗に水のようなものを入れて持ってきた。
婆さまは、灰をつまんで碗に入れてブツブツ言うと、俺の前に差し出した。
俺が王さんを見ると、王さんは黙ってうなずいたので、俺は恐る恐る飲んでみた。
灰がちょっと苦かったが、普通の水だったように思う。
合計三枚の紙に何やら書かれ、同じ行動を繰り返した。
婆さんが大きな声で叫んだ(かなりビックリした)あと、王さんが「終わりました」と、口を開いた。
中年女性が、絵文字を書いた紙を俺にくれた。
王さんが

「いつもそれを持っていてください」

と言った。
帰りの車では、誰も何も言わなかった。
ただ、それから三日ほど、王さんの部屋で寝るように言われた。
その後も王さんは何も言ってくれないし、俺も聞く気になれなかった。
俺は心底怖かった。
ビビリと思われるだろうが、しばらく一人になるのが怖かった。
窓の方も見られなかった。

異国の地で異形の婆さんを見て、拝み屋へ連れて行ってもらい、護符のようなものまで持たされたんだ。
翌日からの仕事中も上着の胸ポケットに護符を入れ、風呂に入る時は護符を洗面台の上に、寝る時は枕もとのテーブルに広げておいた。
傷の腫れはすぐひいて、三日目くらいにはスジも薄れてきた。

次の土曜日、同じメンバーであの婆さまの所へ連れて行かれた。
婆さまは今回顔もしかめず、一回きり紙にしゃらしゃらと何かを書いて灰にし、水に溶かして俺に飲ませ、両手でパンパンと俺の肩を叩くようにして、大声でなんか言った。
王さんが

「もうだいじょうぶです。もう怖くありません。よかったですね」

と、笑って言った。
俺が持たされていた護符も、皿の上で焼かれた。

帰って来て、王さんの部屋で二人になった時、俺はあの婆さんはなんだったのか聞く勇気が出てきた。

「何かは、私もほんとうに知らないです。でも悲しいこと、不思議なこと、怖い噂はどこにでもあります」

「私達がここへ来た時、一人で空家へ近づいてはいけないと工場の人に言われました。ここの人達はみんな、一人では絶対に通りません。でも以前一人、一緒に来た台湾の仲間が一人で行って、あなたと同じように、とても怖い目に遭いました。だから、あなたにも絶対ダメですと言いました。あなたに、正直にこの怖い話をすればよかったですね」

とだけ、王さんは話してくれた。
あと、

「最初あなたが近づいた時、あの婆さまは『死臭がする』と言って、嫌な顔をしたのですよ」

とも。

「でも、もうだいじょうぶです」

他は、笑って一切教えてくれなかった。
その一人で行った台湾人はどうしたのか、その時はどんなだったのか、それも王さんは言ってくれなかったし、俺もそれ以上は怖くて聞けなかった。

その後何も起こらず、俺も皆もその件に関して何も言わず、残り一週間、契約通りの仕事をして日本へ帰ってきた。
帰り際、王さんや台湾人、工場の人達に何度も礼を言った。
皆、気にするなみたいな感じでポンポンと肩を叩いてくれ、握手で別れた。

日本でも、また他国での出張時にも、何も起こらずこうしている。
でも今でも、拝み屋の室内の雰囲気と、強烈な線香の匂いは忘れられないし、
窓を見ると、あの婆さんの顔と、ふわっと窓枠に上がった姿を思い出してゾッとしたりする。

十九地蔵
俺の家は広島のど田舎なのだが、なぜか隣村と仲が悪い。
俺の村をA村、隣村をB村としよう。
不思議な事に、なぜ仲が悪いのかは不明なのだ。
A村の住人に聞いても、B村の住人に聞いても明確な理由は解らない。
理由不明。
しいて言えば、ご先祖様の代から、互いに敵対していたと言う理由、つまり先祖の遺恨しかない。
A村、B村の人間は、結婚など御法度である。
そればかりではない。

俺のじいさんなどは、B村へは決して、いくなと言う。
別に、B村は部落民と言う訳では決してないし、A村も同様である。

俺「なんで行っちゃいけないの」

と子供の頃の俺が聞くと、それは、B村の呪いで、災いを被るからだ等と言う。

曰く、
じいさん「A村、B村の境の道祖神を越えてA村の者がB村へ行くと、必ず禍を受ける」

じいさん「例えば、B村○○の四つ角では事故を起こす者が多いが、決まってA村の者だ」

じいさん「反対を押し切って結婚し、B村へ嫁いだ△△の娘が早死にした」

じいさん「B村の□□川は流れが急で、深いから、5年か10年に一度事故が起こる。それが、不思議にA村の者ばかりだ」

と言ったものだった。
勿論、本当かどうかは知らない。

正直なところ、俺は祟りなぞ信じていない。
じいさんに、B村へ行くと、何でA村の人に危害が出るのか聞いてみた。

じいさん「十九地蔵が呪うからだ」

じいさんは答えた。
十九地蔵と言うのは、B村の××神社にある十九体の地蔵で、俺も見た事があるが、歴史を感じさせる古さがあるものの、ごく普通の地蔵である。

俺「なんで、お地蔵様が人を呪うの?」

じいさん「それは知らん」

等と適当な事を言う。
こう言う因習については、若い世代ほど気にしない。
俺なども事実、B村の友達もでき、一緒に遊んだほどだ。
B村の友達に、B村ではA村に行くなとか、言われた事ある?と聞いてみたが、友達はそんなこと言われた事はないと答えた。
ますます俺はじいさんの古臭さを馬鹿にして、じいさんの言ってることは気にも留めなかった。

ある日俺は、兄貴と、B村にある□□川へ泳ぎに行った。
じいさんには禁止されていたが、もちろん気にしない。
ところが、泳いで10分もしない内に、兄貴が出るぞと言いだす。
俺がまったく霊感が無いのと対照的に、兄貴は子どもの頃から非常に霊感の強い男だった。

俺「なんで、いま泳ぎ始めたばっかだよ」

兄貴「いいから、かえるぞ!!」

俺は兄貴の真剣な形相に驚き、着変えもせず、短パン姿のまま衣服を持って、走って帰る。

俺「なあ、なんで帰るん」

兄貴「お前、見えなかったのか」

俺「えっ、何が」

兄貴「なんだが良く解らんが、黒い影の様なもんが20人近くいて、それが、俺らにものすごい敵意を向けてたぞ」

俺は、20人近い影と言う事と、十九地蔵と言う事が頭の中でリンクして、とてつもない嫌な予感を感じた。

なぜ、両村の仲が理由もなく悪いのか、これに納得がいったのは、俺が大学院に進学した頃である。
A村の神社より、ある文献が発見されたのだった。

それは、室町時代後期、A村とB村が××川の水利権を巡り、争いを起こし、A村がB村との戦いに勝ったと言う内容である。
豊臣秀吉の刀狩りが示している様に、刀狩りされていない時代の農民は、決して後世のイメージ通りひ弱な存在ではなく、武装していたのである。
兵農分離も進んでおらず、農民と武士の境目は曖昧である。

だから戦に勝った記憶は大変名誉なこととして、誇らしげに記述されたものだった。
けれども、時代が下って、平和な江戸時代。
この様な不穏な文献は、誇らしい記憶から忌わしい記憶となった。
よって、A村の神社へこっそりと隠されたのである。

この文献は中世史を語る上でも重要な文献らしく(つまり農民=弱者というマルクス主義史観を覆すと言う意味でね)、地方紙ではニュースになったし、大学から学者がかなり来た。
その内容から一部要約して抜粋すると以下の通り。

「A村とB村が××川の水利権を巡り争った。A村が奇襲をかけることにより、戦に勝ち権利を治めた。A村の戦での被害は軽微であり、軽傷者5名。B村の物を16名打倒した。また戦の巻き添えに女2名、子供1名が死んだ。計19名の内には、B村庄屋であり××神社宮司を務める●●家当主、宗衛門義直を含む」

十九地蔵が呪うと言うのは、じいさんの勘違いだった。
十九地蔵はこの時の死者を弔うため、B村で建てられたものだった。
けれども、地蔵にさえ癒し得ない、抑えきれないほどの、深い深い、A村への恨みが、まだこの地には残っていたのである。
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