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一番の宝物 他




【一番の宝物 他】

作者不詳。
地域不明。

閲覧は自己責任で。


一番の宝物

宝島を見つけようと必死で探した夏休み。
川の横で知らない子が一人立ってニコニコ笑ってる。

「宝物ならこの端の滝つぼに埋まってるよ」

と友人達しか知らない目的を口に出す少年。
友人達は犯人はだれかと顔を見渡すも皆同様に困り顔。
少年はニコニコ笑いながら、

「本当だよ。あそこにあるよ、宝物」

と歌でも歌うように川の端を指す。

さて、これはどうしたものかと考えあぐねるも、少年が嘘をついてるようには見えず、信じ始めた者から順にそこを目指し川を泳ぐ。
少年が帰るそぶりを見せながら

「一番の宝物なーんだ?」

と謎かけのように大きな声で軽やかにこちらへ投げかける。
泳ぎながらも考えるが考えは纏まらず。
少年が聞こえるか聞こえぬかのか細い声で何かを呟く。
数人がそれを聞き引き返す。
先頭の者には聞こえずか、そのまま指された場所を目指す。
ボクは引き返す。
少年は確かに言ったから。

「それはね…」

と。
先頭に行った友人のうち1名死亡、1名未だに行方不明、そして身元不明の遺体1名。
今年も川に花を流しに行ってきた。
川の横に少年がニコニコと笑っていた。

「一番の宝ものなーんだ?」

と聞かれずによかった。
ボクには今、家族がいるから。

山奥の廃墟
俺はオフロードバイクでソロツーリングするのが趣味だ。
連休には良く一人で遠出する。
今年のお盆休みに九州の南端目指して三泊四日の予定でツーリングに出発した。

もちろん、高速道路をひたすら走って目的地に着いても面白くない。
途中に絶景ポイントや美味しそうな林道を絡めつつ走るのだ。

一日目は主に高速を走る。
エンジン快調。
時速100キロ越えると以前のクラッシュの影響か若干前輪がブレるがまあ大丈夫。
福岡の友人宅に泊まる。
二日目、主に下を走る。
途中温泉に入ったりしつつマイペース走行だ。
阿蘇で写真も沢山撮った。

だが…少し寄り道し過ぎたらしい。
目的地にはまだだいぶあるが夕方になってしまった。

現在地熊本と宮崎のちょうど真ん中辺り。
予定では鹿児島に入ってるはずだった。
高速使うか…?しかしこの先に某スーパー林道がある。
俺が楽しみにしていたステージだ。
別に宿を予約している訳でもないから急ぐ必要もない。
迷わず林道へ向った。
峠のワインディングは景色も素晴らしく満足いくものだった。
やはり非日常を味わうには旅が一番…などと思いながら峠を下り切った所で一服。
川が涼しげに道の向こうを流れている。

と、その川に小さな橋が架かっている。
先には小ぢんまりとした神社。
そして神社の脇に向かいの山へと続く砂利道…
まだ日はある。
オフ乗りには美味しいフラットなダート林道だ、入らない手はない。
民家もないし他のライダーとも全く出会わない。
少々ぶん回しても迷惑にはならないだろう。
俺はゴーグルを下げ2ストサウンド全開で走り出した。

先の読み易いコーナーを足を出してカウンター当てながら曲がる。
楽しい。
万一転倒してもガードレールはないがアウト側の木々がその役目を果たすだろう。
だが夢中で走っていたらいつの間にかオーバーペースになっていたようだ。
高速コーナーでリアをスライドさせ過ぎマシンが真横を向く。
本能的にバンクを戻し立て直そうとするもスピードが乗り過ぎていた。
次の瞬間ブロックタイヤが路面を噛み込む!

しまったと思う前にマシンは強制的に引き起こされ俺は空中に放り出された。
頭の上を飛び越え逆さまに地面に叩き付けられる愛車が見えた……

……やっちまった。
幸い路面に沿って投げ出されたお陰で木や岩に突っ込む事はなかった。
しかしさすがにあちこち痛む。
ゆっくり起き上がる。
骨に異常はないみたいだ。
ふらつきながら先の方に転がっているバイクに近付く。
ウィンカーやミラーは脱落し、メーター周りは粉々だ。
それでも一応キックでエンジンを掛けようと試みたが、予想通り無反応。
Fフォークも捻れてタイヤを挟み込んでいる。

辺りは既にかなり暗くなって来ていた。
携帯はもちろん圏外。

「仕方ない歩いて下るか…」

バイクを邪魔にならない場所に引きずり込み、ジャケットを曲がったハンドルに引っ掛けリュックを背負う。
絶望的な気分で懐中電灯の明かりを頼りに歩き始めた。

もう3時間歩き続けている。
おかしい…
もうあの神社のある場所に出ても良いはずだ。
右手に夜空、左手に山の斜面を見続けて歩いているのだから間違いないはずだが…
もしかして気付かないうちに脇道に入ったか?
地図を広げてみたがもはや何の役にも立ちそうになかった。
暗い。
雲が出ているのか月の明かりすらない。
そして町の明かりも。
懐中電灯がなかったら谷底へ転落してもおかしくない。

少し休もうと思い腰を下ろしタバコに火をつけた。
近くで川の流れる音が聞こえるが入口にあった神社は見えない。
やはり間違ったルートを下った様だ。
しかしどのみち今夜は野宿だ。
もう歩きたくない。
あとは明るくなってから考えよう。
万一クルマやバイクが通っても轢かれる心配のない場所を探して野宿しよう。
そう考え再び歩き出した。

しばらくすると急に道が開け、今まで見た事のない風景に出くわした。
そこにいきなり村が現れたのだ。
もちろん明かりの点いた家は全くない。
廃村だ。
どうやら途中で枝別れしたこの廃村へと続く道を歩いて来たらしい。
辺りを照らしてみると木造の半壊した建物ばかりだ。
赤錆びた給水塔らしきものも見える。
かなり昔に放棄された村らしい。
不気味ではあったが面白くもあり少し見て周った。

かなり小さな村のようで(村と言うか集落の一部?)狭い範囲に5~6戸程の小さい民家が斜面に並んでいる。
その殆どがツタに覆われ壁の一部が崩れ去り部屋の中が見えるような状態だった。
玄関に施錠はされているが意味はなさそうだ。
集落の中央には石段が通っていた。
井戸が何箇所かあり、蓋が閉じられている。
記念に数枚写真を撮った。

そして比較的まともな一軒の玄関にもたれ顔にタオルを巻き、虫よけスプレーをかけ寝る事にした。
地面に直に寝転ぶのを考えたらそれでもかなり有り難く思える。
もうクタクタだ。
すぐに睡魔が襲って来た。

……………?
何か気配を感じて目が覚めた。
俺が今居る玄関の中からの気配。
いや、気配ではなく音がするのだ。

「ミシッ…………ミシッ………」

ゆっくり何かが中を歩く音…
最初はただの家鳴りかと考えたがゆっくりとしたリズムを刻み床を踏む音が微かに聞こえて来る。
玄関の上半分はスリガラスで中の様子は見えなかった。

「まさか人が居るのか…?」

この廃墟に人が住むとは考えられなかったが、確かめようと思い寄り掛かったまま玄関に耳を当てた。

「ミシッ………ミシッ……」

間違いない。
この家の中を歩き回ってる者がいる。
いつの間にか月が顔を出し不気味に廃墟群を浮かび上がらせていた。
急に自分の置かれている状況がひどく恐ろしいものに感じられた。
当然だ、こんな時間にこんな山奥の廃墟に人など居るはずがないからだ。

心拍数が跳ね上がるのが分かる。
得体の知れない何かがすぐそばに居る恐怖。

「ゴトッ」

今度は少し離れたところから音がした。
目をやるが何も見えない。
緊張感からか身動き一つ取る事が出来ない。
額から汗が流れる。
…初めて金縛りを経験した。
目だけを動かし周りを見渡す。
すると俺の今居る場所の正面、少し低い場所にある家の窓を月明かりに浮かんだ黒い影がスッと横切るのが見えた。
また少し間を置いて横切る。
影が往復しているように見えた。
歩き回っているのか?俺の背後の家からも相変わらず音が聞こえている…

もはや俺の中の恐怖心は耐え難いものになっていたが、なにしろ身体が石の様に固まって動けない。
それに少しでも動いてこの廃墟の中に棲む何かに存在を悟られれば大変な事になる気がする。
目を動かし様子を伺う。
暗さに目が慣れたのか先程物音がした方を再び見ると、井戸が見えた。
蓋が地面に落ちている。
そしてついに俺は見た…

井戸の中から目だけを出してこちらを見ている女の顔を!

ああ…前の家の窓にも白い顔が張り付きこちらを見ている。
そしていつの間にか足音は止み、俺の背後のスリガラスにも顔が張り付いて目玉をこちらへ向けている…

「うわぁっ!!」

思わず声が出た。
その瞬間体が動くようになった。
メットをひっ掴み全力で来た道を駆け戻る。
懐中電灯を使う事も忘れ月の光を頼りに森を走った。
とにかくあの村から遠ざかりたかった。

脇腹が痛くなるまで走り、あとは歩き続け朝になるのを待った。
とても立ち止まる気にはなれなかったからだ。
東の空が明るくなるのと町に辿り着くのとほぼ同時だった。
その日の始発高速バスに乗り帰ることにした。
バイクは地元の業者に引き上げてもらい廃車。
体もあちこち打撲だらけでまさに呪われたツーリングとなってしまった。

この出来事を思い出すと本当に幽霊の類いは存在するような気がする。
余りにリアルな体験だった。
あと、この廃墟を撮影した写真に幽霊らしきものは写っていなかった。
しかし確認してみて成る程これは怪奇現象も起きると思った。
当時気が付かなかったが、廃墟の後ろの一段高くなった場所に苔むした墓石が何柱かフラッシュに浮かび上がっていたのだ。
以上

仙台坂
昔、麻布の仙台坂というところに住んでいたことがある。
大使館や寺があちこちにある、静かな町だ。
俺が住んでいたのは、麻布の谷間に沈むようにある墓場のそばの、じめじめした小さなアパートだった。

ある日、会社に何日か泊まり込んで仕事をしていた俺は、久しぶりに終電でアパートに帰った。
家に入ろうとして、アパートの鍵を会社に忘れたことに気がついた。
今から友人のところに行くのも迷惑だし、ホテルに泊まるほどの持ち合わせもない。
なにより俺は疲れていた。

部屋の前に駐めてあるバイクのカバーをはがすと、俺はその中にもぐり込んだ。
キャンプ好きな俺は、野宿には慣れていた。
コンクリートは野山の土に比べれば堅かったが、とりあえず体を伸ばすだけのスペースはあった。
隣の住人が見たら仰天するかもしれないが、その時はその時だ。

どれだけ眠ったのか。
俺は、人の気配で目が覚めた。

誰かが近くにいて、こちらを伺っている。
バイクのカバー越しだが、誰かの存在が感じられた。
警察や近所の住民だったら面倒だ。
説明くらいしなければなるまい。
俺は、バイクのカバーから顔を出した。

女がいた。
俺の頭のすぐ上に立ち、体を少し降り曲げて、無表情にこちらを見つめていた。
長い髪が、服や顔にからみつくように乱れていた。

血まみれだった。
血で濡れた顔の中に、大きく開いた目が光っていた。
白い服が、血や泥で汚れていた。
それ以上、見ている余裕はなかった。

俺はバイクのカバーにもぐり込んだ。
全身が総毛立っていた。
ものすごい勢いで心臓が脈打っている。
目が一気に醒めていくのがわかる。
気のせいだ。
気のせいだよな。
疲れてるんだよ。
俺はそう思った。
でも、カバーを再び開けて、外を見る気にはなれなかった。
カバーの外には、あいかわらず何かの存在が感じられた。
今、外に出たらあれがいる。
そのまま、まんじりともせずに過ごした。
どれくらい経ったのか。
いつしか、鳥の声が聞こえてきた。
それでも俺は、隙間から夜明けの光が射し込んでくくるまで、カバーの中から動けなかった。

しばらくして、俺はそのアパートを引き払った。
その夜のことは、疲れて幻を見たんだろう、と思っていた。

数年後。
俺は東京の怪談を扱った本を立ち読みしていた。
ふと気が向いて索引を見ると、仙台坂の項目があった。
俺がページを繰ると、

「交通事故に逢った、母子の幽霊が出る」

と、ごく簡略に書かれていた。
俺の体から、冷や汗が吹き出した。
あの夜の情景が、一気に甦った。

そうだった。
あの女の胸元には、体を埋めるように抱かれた、小さな女の子がいた。

…あれは、幻ではなかったのか。

自殺の名所のつり橋
俺の住んでる県はオカルト的な場所が少ないんだけど、俺はそう言うの大好きだから県内のオカルトポイントはほぼ制覇してる。
これはそのうちの一つ、自殺の名所のつり橋での話。

昼間でも見える人は見えるってほど有名なポイントなんだけど、昼間はそのつり橋の真下で芋煮会(知ってる?)
とかバーベキューやってるような場所なので夜に行って来た。
その時の同行者は彼女(現妻・見える人)と俺(全く見えない人)、友達カップル×2(見えるかは不明)の6人。

つり橋の上を車で通って、何も見えなかったからそのまま車を路肩に止めて川原に降りる事になった。
流石に川原に降りると9月でも少し肌寒い。
彼女があまり拒否反応を示さないから、ヤバイ霊は居ないんだろうと安心して周囲を探検しまくってたんだけど、急に喫煙室のエアカーテンをくぐったような、飛行機のドアが開いたときのような、そんな空気の層を突っ切ったような感覚があって、ちょっとふらついた。

隣を見ると彼女が腕にしがみついて硬直してる。
ちょっと離れた所に居る友達もみんな動きを止めてキョトンとしてた。
もう川原に降りてから20分~30分くらい経ってるし、ちょっとヤバイかも知れないと思い「そろそろ帰るべ」と促して、車に戻ってまたつり橋を渡って帰って来たんだけど、つり橋の上でまた空気の層を突っ切った感じがした。

山を降りたファミレスで青い顔をしている彼女に

「大丈夫か?」

と聞くと黙ってうなづいていたが、怖い話に飢えてる皆で根掘り葉掘り聞くと、さっきのつり橋で何があったかを話してくれた。
曰く、しばらくは周りに数人の霊がジッとしているだけで何とも無かったんだけど、友達の一人がその霊にすっかり重なってしまった途端、周り中の霊が一気に俺らの周りに密集してきたそうだ。

通勤電車並の密着度で数十の霊が俺らを取り囲んだ状態。
彼女はもう動けずに居たんだけど、霊に鈍感な俺らが

「帰るべ」

とかのんきな事言って逃げ出してくれたので助かったと。
橋の上まで車の周囲を囲んでくっついてきた霊も、橋の真ん中を越えたあたりで排水溝に吸い込まれる水みたいに橋の下へ消えて行ったそうだ。
わりと大勢で楽しく話をしながら、死にたくなるようなネガった気持ちも持たずに居たから何も無かったけど、これが1人で居たらやばかったかもって言ってた。

出来物
ある日気が付くと、首の付け根(盆の窪の一寸下辺り)に変な出来物ができていた。

最初は、脂肪の塊?かと思って放っておいたんだけど、2~3ヶ月すると親指1本分位の大きさになっていた。
指で触って様子を探ってみると、中はなんとなく柔らかい感じで、ぐりぐりと動かすたびに、何かチクチクとする。
そういえば、最近、妙に体の調子が悪い。
だるいというか何と言うか…
医者は嫌いだけど、さすがに行かないとやばいかな?と思ったけど、仕事が忙しくて中々医者に行けないでいた。

それから1週間程たった夜中。
布団の中でふと気になって、出来物の辺りを触ってみた。

???

何か、指に当たるものがあった。
硬くて、
冷たくて、
トゲトゲしていて…
例えるなら、何か、昆虫の足??
それは、出来物の皮膚を突き破って、2センチほど飛び出ていた。
僕はちょっとあせりながら、指で摘んで引っ張ってみた。

「キュッ!!」

妙な鳴き声?みたいな音がして、それはブチっと取れてしまった。
同時に、今まで感じたことのないほど、激しい痛みが首から頭に向けて走って、僕は気を失ってしまった。

翌朝、
気が付くと、変なカブトムシの足みたいなものをつまんでた。
首の後ろの出来物も、跡形もなく消えてた。

体の調子もとてもよくなった。
ただ、最近、なんか、夜とか、明かりが気になる。

呪われた銅鏡
僕の家には家宝と呼ばれるお宝(それが他人にとって価値あるものかは分からない)が三つある。

一つは家系図。
約400年前 まで遡る家系図は巻物数十巻に及び勿体振った桐の箱に収められている。
もう一つは刀。
かなり昔にご先祖さんが武勲を立てた折に殿様からもらったとか。
そして最後に鏡。
鏡と言っても大昔の銅を磨いた骨董品。
日本史とかの教科書に載ってるようなやつ、あれの手の平に乗るサイズ。
これまた大層な桐の箱入り。

これら三つのお宝には扱い方が決められていて、
・家系図はその代の本家の家長しか箱から出してはならない。
・刀は売るとかなりの値段で売れる(鑑定した訳ではない)が売ってはならない。家長が月一で手入れする事。
・鏡は仏壇に安置し、毎日その無事を確認する事。決して本家の敷地より外に持ち出さない事。家長といえども箱から出してはならない。

…だいたいこんな感じ。

これからお話しするのはこの中の銅鏡に関して。
本当なら結構怖い。

その銅鏡は不思議な形をしていた。
六角形の台座に丸い鏡の部分が重なっている。
鏡と言うから覗いてみても錆びだか細かい傷だかでほとんど物を写す力は失われている様だった。
しかし厚さが2センチ位の割に重く霊験新たかな感じはしたものだった。

小学生の頃友人らと珍しい物自慢大会があって、放課後に各自お宝を公園に持ち寄った事がある。
みんなはおもちゃっぽい物を持って来たが、僕は件の鏡を持って行った。
触るなとは言われていたがお構い無しだった。
結果は1番宝物らしいと言う事で僕の優勝。
鼻高々で家路についた。

……そして家で待っていたのはお察しの通り親父の大目玉。
何か変わった事はなかったかしつこく聞かれ、散々叱られて二度と触らないと約束させられた。
自分としては壊した訳でもないのに納得行かなかったが一応謝り決着。
許してもらった。
それ以降は特別に興味があるでもなく触る事はなかった。

そして去年、僕が二十歳の誕生日を迎える頃に親父から呼び出された。
大学に入り親元から離れた場所で暮らしていた僕は何事かと思いながら実家に帰った。
親父は仏壇のある部屋に僕を座らせ話しを始めた。
内容を要約すると、

・我が家に伝わる家宝の由来、取り扱い方。
・うちの家系は代々陰陽道に関係し主に呪物の管理に当たって来た事。
・現在はほとんどの呪物は博物館等へ寄贈し残っていない事。

…ここまで話し、親父は一息つく。
こんなつまらない話しをする為に呼んだのかとウンザリしていたがようやく終わりか…ホッとしかけた所で

「さて、ここからが大事なんだが…」

と再開。
いい加減眠気が差して来たが、いつになく真剣で聞かざるを得ない。
親父は仏壇に安置してある鏡の入った箱をテーブルに置いて話し始めた。
それはとても信じられない程現実離れした内容だった…
要約するとこうだ。

・この銅鏡を何故持ち出してはならないのか、理由は過去3回持ち出され持ち出した人間が3人とも悲惨な最期を遂げているから。
・何故箱から出してはならないのか、それはこの鏡が人の死を写す鏡だから。持ち出された理由もこれ。
・最近までは鏡についての禁忌は迷信と考えられていたが、23年前の出来事により固く守らねばならなくなった。

…23年前、それは僕の叔母(親父の姉)が亡くなった年だ。
事故死だったのは聞いていたが詳しくは教えられていなかった。
なんでもあの鏡はこの土地から離れた所に持って行こうとすると持ち出した者に対し害を与えるらしい。
過去にこの鏡を持ち出そうとした三人はその害を受けて死んだと伝えられている。

最初は戦国時代に石田三成の配下に依って持ち出されている。
しかし関ヶ原の合戦後に三成の死後(徳川家康により斬首)戻ってきている。

二人目は第二次世界大戦中、国家総動員法に基づく金属回収の際、憲兵が無理矢理銅鏡を回収しようとして祖父の目の前でアメリカの機銃掃射に遭い死亡。

そして三人目が実は僕の叔母だった。
この鏡は叔母の遺品でもあった。
叔母が存命の頃は鏡の呪いめいた話しも迷信として気にかけることもなく、たまに訪問するお客にも気軽に見せていたそうだ。
何も映らない珍しい骨董品の鏡として。

お盆に大阪から遊びに来ていた叔母が帰り際に3つの家宝にお辞儀をし、鏡を手に取った時自分の顔が映ってしまったらしい。
その時叔母は真っ青になり洗面所の鏡と銅鏡を何回も見比べていたそうだ。
そして言った。

「家宝に映るあたしの顔が真っ黒なの!」

親父は怖がる叔母を気のせいだとなだめた。
しかしよっぽど恐ろしいものを見たらしくパニックはおさまらない。
京都にある自分が檀家となっているお寺に銅鏡を持って行き、お祓いをしてもらうと言う。
まあ、掟を破る事にはなるがそれで気が済むならと親父は銅鏡を貸し出す事に同意した。
しかし親父は同意した事を今でも後悔していると言う。
何故か?
それはこの事により、過去最大の呪いをこの銅鏡が発揮したかも知れないからだ。

叔母は1985年8月12日18時4分、羽田発伊丹行きの飛行機で飛び立った。
あの鏡と一緒に…

以上

災難
先週、帰宅途中に我慢できなくなって公園のトイレで大きいほうしてたら、トイレットペーパーの上にカマキリが飛んできた。

それだけなら怖くないんだけど、カマキリのお尻から白くて細長い虫がニョロニョロとのびて来た。
お尻拭きたいのに怖いからトイレットペーパーが取れなくて、隣の個室からペーパーを取ろうとズボン下ろしたままドアを開けたら頭の散らかったオッサンが居て目が合った。

やばいと思ってそのまま戻ろうとしたら、オッサンが駆け寄ってきてドアを押さえやがった。
で、

「4万円で良いよね?ね?」

と言いやがったので

「うあぁぁぁぁぁぁ!!!!」

と叫びつつオッサンを蹴り倒し、お尻も拭かずにズボンをはいて逃げ帰ってきた。
今まで生きてきた中で一番怖かった。

パンク
携帯からで申し訳ないんだけど、紛れもない実話。
昔、当時の彼女と、同棲してた時の話。

同棲に至った成り行きは、彼女が、父親と大喧嘩して家出。
彼女の父親は大工の親方してる昔気質。
あまり面識はなかったが俺も内心びびりまくりの存在だった。
仕方ないから彼女と俺の有り金かき集めて、風呂無しぼろアパートで同棲。

しかし最悪のアパートで、ゴキブリは出るし、畳は湿気ですぐ腐るし、上の階に住むバンドマン風の若者は、毎晩、大声で歌の練習するし、隣に住む老人は薄気味悪いし、、、
まぁそんな最悪な環境にも、だんだん適応しながら同棲生活を送り、俺は建築現場でバイト、彼女はカラオケボックスの夜勤で生計を立てていた。

住み始めて半年くらいして、変なことがおこり始めた。
ある朝、バイトに行くために、自転車に跨ったんだが、違和感を覚えて、タイヤを確認すると、パンクしていた。
その日は歩いて仕事に行き、休日に、自転車屋に行って、修理してもらった。

その店でのパンクの修理はタイヤに穴が多い程、金額が上乗せされるんだが、確か、5~6箇所は穴があいてたと思う。
自転車屋に、誰かのイタズラだろうね。
って言われた。
クギか何かで刺したらしい。

それから、風呂無しアパートなんで、毎晩、彼女と近くの銭湯に通っていたんだが、自転車の二人乗りで銭湯まで行って、風呂入って、また二人乗りで帰ってくる。
ある日の銭湯からの帰り、二人で銭湯の前に止めてある自転車まで来て、サドルに座ると、また違和感が。
案の定、パンクしてた。
後日、自転車屋さんに修理してもらうと、また凄い数の穴があいていた。

また別の日、彼女が自転車に乗って一人で夕飯の買い物に行った時も買い物中にパンク。
重い自転車を押して帰宅。
他にも、二ケツで駅まで行って、自転車を駐輪場に止め、電車で遊びに行った時も、遊び終えて、駐輪場に戻るとパンク。
いずれも、多数の穴。

そんな事が定期的に続き、パンク修理のしすぎで、タイヤがボコボコになってしまい、買いかえ。
最後の方はもう3台目くらいの自転車になってたかな。
自転車屋曰わく、タイヤごと外して新品のタイヤに変える作業に費用払うのと、安い自転車買うのとでは、金額的にあまり変わらないって事だったんで、タイヤがボコボコになって乗れなくなったら買いかえていた。

それにしても無差別のいたずらにしては被害に遭う回数が多すぎるし、ストーキングでもしない限り、こんなに何度も何度も俺たちの自転車を狙えない。
俺も彼女もイラつきのピークだった。
二階のバンドマン、隣の部屋の薄気味悪い老人、誰もかれも疑って疑心暗鬼。

極めつけが、レンタカー借りて、二人で遠くまで旅行に行った帰り道での事。
高速道路のサービスエリアにあったレストランで夕食を食べた。
食べ終えて、車に乗り込み、、、ん?と、また違和感を覚えた。
何かこの車、傾いてない?

車から降りて、恐る恐るタイヤを確認すると、右前後、二つのタイヤがパンク。
この時ばかりは、彼女も俺も、怒りよりも恐怖を覚えた。
犯人は、俺達の旅行の予定まで知っていて、タイヤをパンクさせる為に高速にまで乗る。
いったい、どんだけ恨まれてるんだよ俺達、と。
盗聴器を疑い、部屋中のコンセントを分解した事もあったが、それらしき物は何もなかった。

そんなある日、建築現場のバイト中に、俺は怪我をした。
不注意で、クギを思いっ切り踏んでしまって、病院へ。
クギが錆びていた可能性もあるって事で、結構な事態になってしまった。
家に帰り、彼女に一連の事を話した。
彼女は俺の傷を心配した後に、何かに気付いて急に暗い顔に。
しばらくして、暗い顔のまま言った。
君がもしタイヤだったらパンクしてたね、、、
俺もそれを聞いて初めて、この怪我と一連のパンクを結びつけた。
それまで考えてもいなかった。
しかし万が一、俺の怪我も一連のパンクと関係あるとしたら、犯人はもはや人間ではないのでは?

そうなったらもう呪いや悪霊の類だ。
彼女は今にも泣きそうな顔をしてる。

「考えすぎだろ」

と俺は言った。
言ったものの、内心、怖くて仕方なかった。
嫌な事ばかり考えてしまう。
例えばこのぼろアパートが呪われてるのでは?とか。
けど、一番怖いのは、彼女に被害が及ぶ事。
俺は今回、怪我をしたが、幸い彼女の身にはまだ何もない。

数週間考えて、話し合い、彼女は家出した実家へと戻る事になった。
一人で、このぼろアパートに住むのは怖かったが、俺の実家は遥か地方だし帰れない。
新しいアパートを借りる余裕もない。
足の怪我で、ろくに仕事もできない。
仕方なかった。
しかし、意外なことに、彼女が実家に帰ってから、なぜか自転車のパンクは全くなくなった。
同棲生活は終わっても彼女との交際は続いていたし、彼女も首を傾げていた。

それからは何事もなく月日が経っていったが、ある日、葬式があった。
彼女の父親の葬式。
その葬式の時に、彼女と彼女の母親と俺の三人で話す機会があり、その席で妙な話を聞いた。
死んだ父親は、俺の事を相当憎んでいたらしい。
大事な娘を奪った男という認識だったようだ。

彼の仕事は大工。
大工という仕事は、木材にクギを打ち付ける機会が多い。
彼は俺への恨みを込めて、木材にクギを打ち込んでいたらしい。
わら人形にクギを打つように。

「そうすると、気分がスッキリするって、あの人、言ってたわ」

そう言って彼女の母親は笑った。
ブラックジョークのつもりだったのか?
彼の行動と自転車のパンクや俺の怪我に因果関係があるとは思えないが、それを聞いてからは、彼の遺影を直視出来なかった。

ケチャップ男
うちの子供と同じ幼稚園の子が、部屋に男がいるといって夜泣くという。
怖い顔をしていて、胸にケチャップがついているそうだ。

「だって赤いんだもん。ケチャップでしょ」

その子は、男のことをケチャップおじさんと呼んでいた。
しばらくしてその子は、ケチャップおじさんがいなくなったと喜んでいた。

すると今度は、うちの子が、クリスマスでもないのにサンタが怖いと言い出した。
どうしたのか聞くと、部屋のすみにサンタが立っていて、睨んでいるという。
なんでサンタなのか聞いてみた。

「だって、真っ赤な服を着ているんだよ」

なんでわかった!?
こないだ久しぶりに会った、20年来の幼馴染から聞いた話。

幼馴染(A男)はある女子高で英語の教師をやっていた。
Aはいつも、英語を教えるクラスの生徒に配るプリントを、校内のコピー機で刷っていたのだが、担当クラスは1学年に4つあって、全員分刷るとけっこうな枚数になるそうだ。
一気に4クラス分を刷ると、時間かかるわ紙無くなるわで色々と面倒なので、Aはクラス人数分ごとの数量指定で、授業前にいちいちコピーするようにしていたらしい。

しかし、なぜかあるクラスだけ、数が違って出来上がるんだそうだ。
32名分32枚刷ったのが、いつも33枚出来上がっているという。

最初はAも、

「ただ数を間違ったんだろう」

と思って気にしなかったそうだが、

「いつも」

となるとなんだかおかしい。
他のクラスではそんなことないのに。
Aは、教室に並ぶ机の一番前の席1列の生徒に

「うしろに廻してね」

と言ってプリントを配る。
すると手元に必ず1枚あまるそうなのだ。
前に、それを見た生徒に

「先生、なんでいつも1枚あまるの?」

と聞かれ

「これは先生の分だから」

と答えたそうなのだが、そんなつもりで刷っているわけじゃないのは自分がよく知っている。
だいたい自分の分は既にきちんとファイルに入っているのだ。

いよいよ不思議に思ったAは、自分がちょっとおかしくなっているのでは?と思いコピー機の前で、数を数えてみることにしたんだって。
プリントをセットして、枚数を「31」と入力する。(31枚+原本=32枚)
1枚、2枚、どんどん出てくる。
Aは目を離さずにそれを数えていたそうだ。
とうとう31枚出てきたところで、コピー機は止まった。
原本を足して再度数えてみたところ、やはり32枚で間違いない。

しかし、そのきちんと数えたプリントをそのまま例のクラスに持って行き配ったところ、やはり手元に1枚あまってしまったそうなのだ。
Aはこの時初めて、ぞおおおおっとしたらしい。
Aは慌てて生徒の数を数えたが、休みの生徒もなく、ちゃんと32人居る。
あまるはずがないのだ。
でもあまってる。

Aは呆然としてしまい、生徒たちに

「このクラス32人だよな」

と聞いてみた。
するとクスクスと笑われ、先生寝ぼけてるよーなどと野次られた。
でもそのあと、

「33人居ないよな?」

と生徒たちに念を押したAの顔がマジだったからか、先生マジでやめてよ、とか冗談きついよとか、教室内がもうすごい騒ぎになってしまった。

(これはいけない)とAは気を取り直して
【何でもない、やっぱり俺の気のせいだ】と言って教室内の沈静化を図ろうとした時、

「なんでわかった!?なんでわかった!?なんでわかった!?なんでわかった!?」

ってすげー声で叫びだした奴が居たんだって。
そんでAはもう恐ろしさからか気が遠くなって、気がついたら校長室のソファーで寝てたらしい。

でまあAはその学校にもう居なくて、既に教師でもない。
はやいはなし、学校やめて地元に戻ってきたんだよね。
今は実家でブラブラしてる。
ちなみに俺んちの2軒隣。
Aが戻ってきたとき、なんで先生やめたのか言葉を濁してたから、ずっと聞きづらかったんだけど、こないだ酒の勢いで聞いたらこの話をしてくれた。

何が一番怖いって、Aが学校を去ることになったとき、やたら避けられていた問題のクラスに居た生徒を捕まえて聞いたら

「なんでわかった!?」

って叫んでたのはなんとA自身だったらしい。
でもAは、

「声は聞こえてたけど、俺が言った覚えなんてない」

んだって…
やっぱAがおかしいのかなぁ?やだな、すげえ心配。

夜の堤防
千葉の外房の、とある漁港が好きで、度々夜釣りに出かけていた時の話。
その漁港は古くから「石持ち」などが投げ釣りで釣れるのだが、防波堤が余りに小さく、少しシケルだけで非常に危険な状態になる。
そこで何年もかけて護岸工事が進み巨大なテトラや防波堤が出来ていた。

前回訪れた時は無かった新しい防波堤が伸びていて、遠くから見ると先端部分の街灯の下に先客がいるようだ。
すぐ傍まで近づいてから

「釣れますか?」

と声を掛けようとして思いとどまった。
明らかに釣りの格好をしてクーラーボックスに腰をかけているのに、竿を出さずに視線を落とし、ボーっと海を眺めていたのだ。

後ろ姿からすると50~60代以上の、やや高齢者のように見える。
付近にはペットボトルの飲料が一つと、手にはカップ酒のような物を持っている。
それ以外の物は特に見当たらないようだった。
防波堤の先端から5m以上手前に戻ると光がまったく射さなくなるので、釣りの準備をするのは大変だが、何となく気味が悪かったので挨拶の必要が無い暗い場所まで戻ってから、釣りを開始するために荷物を降ろし始めた。

打ち寄せる波の音が絶え間なく響いていたのだが、その合間にふと奇妙な声が聞こえて来る。

「あれ?」

と思って先端部分のお年寄りに目を向けると、肩がビクビク小刻みに揺れていて、まるで寒さに震えているようだ。
どうしたんだろうと思って少し様子を見ていると、ブツブツ何か言いながら、手に持ったワンカップ酒を一気に飲み干し、その後ペットボトルの蓋を開けてから、海にドボドボと流し始めた。

その様子がまるで故人に飲み物を捧げているような雰囲気なので、一旦手を止めてさらに凝視しながら耳をそばだてる。

老人:「一人では寂しかろうなぁ~。おじいちゃんがちょっと目を離した隙にこんな事になるなんて…。グスン、グスン…」

『うわぁ~、なんだか事故で孫か誰かが亡くなっちゃったのかな?』

と思いながら、すっかり釣りの気分ではなくなったので、そのまま道具をまとめ始めると、またその老人の声が聞こえて来る。

老人:「最近誰も来なかったんだけど、ようやく一人おあつらえ向きの者が来たから、今からそちらに送るからな。それで寂しさを紛らわせておくれ…」

『………。おあつらえ向きの者が来た? 俺以外に人は居ないようだけど…』

護岸工事が終わった直後の防波堤付近は地形が変化すると同時に生態系も乱れるため、釣り糸を垂れてもあまり釣果は上がらない。
それを承知の上で敢えてこの場所を選んだのだが、案の定釣り人は誰も居なかった。
釣り人が来なくなったのいつからの事なんだろう?
もしかしたら、護岸工事が終わってから今日まで、誰も来ていなかったのだろうか?

そんなことを考えていると、ズララララというコンクリートに金属のスコップを引きずった時のような大きな音が響き、ゆっくりと老人が立ちあがってこちらに振り返った。
手にはこれまでに見たことも無いような三又(?)のような漁師道具が握られており、それを両手に構えようとしているところだった。
そんな物騒な物は、先ほど見たときには無かったのに…

『おあつらえ向きの者って俺かぁ!!!』

とようやく事態の大変さに気が付き、このままではあの世へ送られて海に捨てられてしまうかもしれないという恐怖が俺の体の末端まで行き渡る。
ピリピリと痺れにも似た感覚が指先を刺激した。
その後、ゆっくりと俺の方に近付いてくる老人の表情は逆光になっていて、全く窺い知ることが出来なかったが、釣り竿やクーラーボックスを手繰り寄せながら、万が一の攻撃に備えることにした。

目を離すと槍投げのように突き刺されそうだし、防波堤の上には舫い綱を止めておくアンカー・ボルトのような物や、ロープなどが所々点在しているため、下手に後ずさるといつ海に落ちるかわからない。
悲鳴を上げたいのを我慢しながら老人の挙動を凝視し続け、小さく畳んだ釣り竿とクーラーボックスで防御態勢に入る。

そして老人が手にした三又を振り上げた。
俺との距離は2~3m、表情は相変わらずよく見えないが、老人の周りだけ妙に暗いような、目を凝らしてもよく見えないような雰囲気だ。
俺も防御するように両手を上げ、三又が振り下ろされた瞬間、後ろに跳び退いても十分なスペースがあるかを確認するために一瞬振り返った。
その後すぐに目を戻すと、今まで目の前に居た老人は見えなくなっている。

死角に回り込まれたのかとゾッとしながら周囲を素早く確認したが、やはり老人の姿はどこにも見当たらなかった。
三又のようなものはもちろん、あれだけハッキリ見えていたカップ酒やペットボトル、そして老人が腰かけていたクーラーボックスまでが完全に消えていた。
拍子抜けしながらも慌てて荷物をまとめ、サッサとその場を後にした。
死ぬほど怖いというより、殺されるほど怖いと思った本当の話…


私の地元の話です。
漫画のような話ですが、少々お付き合いください。

私は高校時代電車通学していました。
利用していたのは一時間に一本ペース、駅の九割が無人駅という超ド田舎私鉄です。

二年に上がった春、私が乗る駅で若い親子の飛び降り事故が起きました。
母親が足を踏み外したか何かが原因で、抱いていた赤ちゃんと共に線路上に落下。
幸い母親は命を取り留めましたが、赤ちゃんは即死だったそうです。
最近越してきた方だったようで、あまり周りも面識が無かった方だったようですが、平和な町なので、事故のことはその日のうちに地域全体に伝わり、花をあげに来たりする人もいました。

それから数週間経った頃、また飛び降り事故が起きました。
それを封切りに、三ヶ月の間に4回も事故が起きました。
死亡事故が無かった事だけが不幸中の幸いです。
私の学校の生徒も事故に合いました。

彼女は幸い足を骨折しただけだったので、すぐに学校に登校するようになったのですが、

「あの時線路に赤ちゃんがいたの…だから助けようとしたんだけど、飛び降りた時にはいなくなってたんだ…」

と言っていたそうです。
勿論学校はその話題で持ち切り。
死んだ赤子の呪いだなんだのと騒ぎ立てる男子が何人もいました。

夏休みに入り、私は課外に行くためにあの駅を利用しました。
本当は隣の駅から乗りたかったのですが、その日は送ってくれる人がいなかった(家からこの駅までは10分、隣駅までは20分かかる)ために、仕方なしにここを利用しました。
その日課外があったのは一教科、選択教科であったのと、あの事故の事もあってそこにいたのは私一人。

もうすぐ電車が来る、もしも線路に赤ちゃんがいても無視!と何度も思いながら待っていました。
するといつの間にか私の隣に俯いた若い男女が立っていました。
ブツブツと呟いたりすすり泣いたり、明らかに様子がおかしい二人に、流石になんかやばそうと距離を取ろうとしていた時、電車の音が微かに聞こえてきました。
助かった!と思っていたら、隣の女性が

「…きたよ」

と小さな声で言いました。
電車の事かと思っていたら、今度ははっきりと

「むかえにきたよ」

その言葉に何故か背筋がゾッとし、とにかくこの人達は危ないと思って逃げようとしたんですが、足がすくんで動かないんです。
漫画みたいに本当に都合良く。

「むかえにきたよむかえにきたよむかえにきたよむかえにきたよむかえにきたよむかえにきたよ…」

何度も「むかえにきたよ」と言う女性が恐怖でした。
すると女性の隣にいた男性が急に私の右手を掴んで

「…が寂しがってる。友達が必要だ。君もいこう」

と言って腕を引っ張りました。
二人は線路に飛び降りるのに私を道連れにしたいようでした。
わたしは怖くて

「やめて!!!離して!」

と泣き叫びました。
腕を振り払おうとしたのですが、男性の握力がかなり強くて微妙だにしません。
電車は目の前まで迫っていて、私はああ、死んじゃうんだ…と半ば諦めるような事を思っていたら、急に腕を引っ張る力がなくなり、私は後ろに倒れてしまいました。
頭に強い痛みを感じた後のことは覚えていません。

目覚めたのは次の日でした。
そこは病院で両親の話によれば、私はあの駅で、柱に寄り掛かるように頭から血を流して倒れていて、私が待っていた電車の車掌さんが救急車を呼んでくれたそうです。

あれは夢だったのかなぁと思っていると、右手に人の手の形のような痣がありました。
ドラマでよく見るようにくっきりと。
そしてあの立て続けに起きた飛び降り事故はあの日を境になくなりました。

その後の噂ですが、最初の事故で命を取り留めた母親は、あの日の朝、夫と共に自宅で自殺していたそうです。
遺書があったそうなのですが、そこに書かれていたのは

「きょう、むかえにいくからね」

ミラー
以前、伯母が京丹波に住んでた時の話。
俺の母親の年の離れてた姉で、子供がいなかったのもあってか、半分孫みたいに可愛がってもらった伯母なんで、孝行せんといかんと思ってたんでそんなに面倒がらずに行ってた。

まあだいたいは何か持っていく物があったり、伯母の体調が悪かったり、何か用事があるときなんだが。
母も一緒に乗ってたこともあったが、仕事もあるし、なかなか俺の予定と合わなかったりして大抵一人ドライブだった。

こちらは大阪北部、京丹波までは一旦京都に出て縦貫道に乗り換えるとずっと高速で行けるんだけど、ぐるっと遠回りになるし金もかかる。
で、いつも亀岡の山を越えていた。
だいたい午後に行って夕飯を一緒に食って帰ってくるから山を越えるのは暗くなってからだ。

真っ暗だし、車もあまり通らない。
30分ほどの間に3~4台もすれ違えばいい方、見える範囲に同じ方向に進む車がいれば心強かった。
だが、夜は大阪側から帰ってくる車の方が圧倒的に多い。
1台だけポツーンとくねくね走ってることが多かった。

ある時、山道にさしかかったところで、ふとルームミラーにチラッと何か映った気がした。
気になったもんで、ちょっと停まってよく見てみた。
白っぽい何かが後ろの方に見える。
ふらふら動いてる。
人間?
有り得ないことはない。

すぐ後ろはまだ人家やコンビニもある町だ。
でも、この先はひたすら山の中、次の集落まで徒歩なら相当ある。
女性っぽく見えるし、危なくないのか?とは思ったが、
ふらふらと歩く様子が何となく薄気味悪いし…
でも、認知症の老人か、精神に病を抱えた人なら大変かも…といろいろ迷った挙句、警察に連絡して俺はスルーさせてもらうことにした。
とりあえず110番して

「もしかして見間違いかもしれませんが、念のため…」

と、通報してその場を去った。
再び走りだした時もう一度見てみたら、やはりまだ歩いている。
さっきより若干近付いてて、若い女性のように見えた。
因みに、古式ゆかしい白装束でもなければ貞子風なワンピースでもない普通の格好だった。
ちょっと急ぎ気味に走ってるうちにすぐに見えなくなった。
あの町に交番があるか駐在が居るか、とにかくそんなに忙しくもないだろうし、保護してもらえるだろうと楽観していた。

相変わらず真っ暗な道をハイビームで照らしながら急いだ。
どうせほとんど対向車も来ない。
CDをガンガンにかけながら、ガンガンに歌いながら。
そのうち集落に出た。
田舎の人の夜は早く、どの家も暗い。
小さな小さな集落なんで、すぐに通り抜けてまた山道に入る。
そのとき、ミラーの中のずっとずっと後ろの方に信じられないものを見た。
さっきの女。

「なんでやねん!!」

本気でつっこんだのは初めてだった。
さっきと同じフラフラした歩き方、あのペースで追いつけるわけがない。
だって!今だって全然近付いてこない!

「カンベンしてくれよ!!」

1人で声に出して怒鳴った。
そこからめちゃくちゃに急いだ。
とにかくアイツから離れたい。
ただそれだけで走り続けた。
もうミラーは見れなくなっていた。

しばらく走ってるうちに少し落ち着いてきた。
待て、俺、これは死亡フラグやないか…焦って運転誤ってあぼーんパターンやんか…
落ち着け落ち着け…と、少しアクセルを抜いた。

タバコに火をつけて窓を開ける。
木々がざわざわ鳴ってるのがどうしても人の声に聞こえて、ソッコーでタバコを灰皿にねじ込んで窓を閉めた。
そして、よせばいいのにミラーを見てしまった。

居る…ずっと後ろに…でもさっきよりは近い…
とにかくカーブの続く山道なんで、後ろの女も見え隠れする。
長いこと見えない時もあった。
だが、次に見えたときには必ず距離を縮めていた。
少しずつ少しずつ近付いてくる。
追いつかれる前に山を抜けたい。

誰かに電話を・・・でも、携帯は圏外。
「くっそ!」

携帯をリアシートに放り投げた。
精神的余裕がどんどん失われる。
ところどころにちょっと直線の道に出てくる。
その度に確実に近付いてる。
なんで!?あんなにスローモーやのに!
チラッとミラーを確認すると…

近い!もう5mも無い…

顔も見える。
霊って長い髪で隠しとくもんちゃうんかい!顔出すな!ヴォケ!
すました無表情で歩いてくる。
プツンとCDが止まった。
ガチャガチャにボタンを押しまくったがうんともすんともいわない。

ミラーを捻じ曲げ、もう二度と振り返るまいと前を見据えてひたすら車を走らせた。
カーブの度にキーキーと音をたてる。
生コンの作業場のあるところに出た。
緩やかな左カーブ、暗いドアミラーの中に白く浮かび上がる影。
半泣きではなく、全泣きで走った。

この先右手は深い崖、落ちたら死ぬ…落ち着け!
今思えばちょっとおかしくなってたのかもしれない。
しょうもないことを思いついてしまった。

これ、ミラーやから見えるんちゃうん?
実際に振り返ったら居らんのとちゃうん?
居っても見えへんのちゃう??
急ブレーキかけて停まった。
ガバッと振り返った。

女はトランクに手をかけて薄笑いを浮かべ、停まっているのに尚ゆらゆらと揺れていた。

生コン会社前の街灯の薄明かりの中にくっきり女の顔があった。
こういう時、「うわー!」とか「ぎゃー!」という声は出ないもんなんだと知った。
よく漫画とかである「ヒッ!」っていうヤツ、あれ正解。
震える手は言うことを聞かず、女から目を離すことも出来ない。
全身ががくがくする。
そのとき、いきなり携帯が鳴り響き、驚いて跳ね上がった。
それと同時に女はすぅっと消えた。
しばらく呆然としていたら着信音がとまり、はっと我に返った。

放り投げた携帯を手繰り寄せ、履歴を見たら伯母からだった。
生コン会社がある区域だからアンテナが立ってる。
すぐにかけ直した。

「あ~、○○くん?まだ運転中やったんやねぇ、ごめ~ん」

伯母ののんびりした声を聞いてほっとした。

「いや、今とまってるから大丈夫。何?」

「あんた、忘れもんしてるで。何やろ、これ?小さい青いのん。今日使うもんやないんならいいけど、置いててかまへんのか?」

ポケットに入ってたフラッシュメモリーを落としてきたようだ。

「私用のヤツやからかまへんわ。また次行ったときでええよ」

あちこちきょろきょろ見回して女が居ないのを確認し、タバコに火をつけた。
わざとダラダラと伯母と話し、落ち着いてからまた車を発進させた。
オーディオのスイッチを入れてみたら普通についた。
「あははは!」思わず声が出た。
ここまで来たら町に出るまでもうすぐ、かなり元気を取り戻してブルーハーツをがなりながら先を急いだ。

少し広い府道に出る手前の最後の集落を抜けようとした時、
ふとミラーが捻じ曲がったままなのに気付いた。
町に入れば後ろが見えないのは危険だ。
ミラーを元の位置に戻していくと、だんだんその中に…
嘘や!!なんで!?

後部座席にヤツが座ってる!!
満面の笑み。
こんな気持ち悪い笑顔は見たことが無い。
ヤツは笑いながら言った。

「当たるよぅ…」

ミラーの中に気を取られていた。
前方を見たら左側の岩肌が眼前に迫っていた。
体が動かない。
あかん!死ぬ!
そのとき、再び携帯が鳴り響いた。
ふっと体が自由になり、ブレーキを踏み込みハンドルを切った。
凄まじいブレーキ音と避けきれずホイールとボディを削る金属音。
府道に出る交差点のすぐ手前だった。

「だから崖のとこの方がよかったのに…」

か細い声が聞こえて恐る恐る振り向いた。
女は少し離れたところに立っていた。
元の無表情に戻っていた。
心なしか怒っているようにも見えた。
聞こえるか聞こえないか分からなかったが、力いっぱい叫んだ。

「ザマーミロ!もうついてくんな!クソが!!」

女はくるりと後ろを向き、またふらふらと歩き出してすぐに消えた。

すぐ横に駐在所がある。
奥の住居部分からたぶん駐在さんが出てこようとしてるようだった。
高鳴る胸を押さえ、体をわたわた震わせながら慌てて府道に出た。
ミラーの中にはもう何も見えない。
周りには他の車も走っている。
コンビニでコーヒーを買い、着信履歴を見てみた。

今度は母からの着信だった。
かけなおす。

「あ~、○○?あんた悪いけど、どっかで牛乳買うてきてくれへん?朝無いとお父さんうるさいし~」

「分かった。ありがとう」

「はあ?」

かまわず切って、牛乳を買いにもう一度コンビニに入った。
以後、伯母のところに行くときに峠を越えるのはやめた。
そして、母が伯母にそばに来てもらいたいと言い出したのに便乗し、俺も引越しを強く勧めた。
今は歩いて5分のところに居る。

タイムカプセル
ユウキ(自分) ケイタ(男) アズ(女)
3人とも幼稚園からの幼馴染で、親同士の付き合いがあったのでかなり仲がよかった。

そして僕達3人は小学校卒業前にとタイムカプセルを埋めた。

「20歳になって成人式おわったら掘り起こそう」

そう決めて、3つ箱を用意し、それぞれ自分に当てた手紙と大事なものをいれて遊び場だった広場の木の下に埋めた。
中学生になり、人も増えて僕達は疎遠になっていった、ケイタとは時々あってたけどアズとは殆ど会わなくなった。
その後公立の中学に3人とも進み、僕は地元の公立高校、ケイタは県外の結構いい高校、アズは女子高にそれぞれいった。
僕が高校2年の時、タイムカプセルを埋めた広場にマンションが建つらしいことを知った。
僕はタイムカプセルを避難させようと広場に行った。
ケイタとアズに知らせようとも思ったが、あっちの連絡先もしらなかった。
親に聞けば分かっただろうがめんどくさかったのだ。
幸い工事はまだ予定な段階らしく、看板があるだけだった、僕は埋めた3つの箱を回収し、家に持って帰った。

成人式の時空ける予定だったが、小学6年の時に自分がどんなことを書いたのか忘れていたので、自分の箱を開ける事にした。
中には汚い字で書かれた自分宛の手紙と、無くしたと思っていた漫画のキャラのキラキラしたカードが何枚か入っていた。

「20歳の僕へ、大学を卒業して立派なエリートになっててください、年収は1000万くらいだとうれしいです」

我ながら馬鹿な事を書いたもんだ、笑いながら読んだ。
そしてふとケイタとアズの箱が気になった、開けてはいけないと分かってはいるが、好奇心には勝てなかった。

二人にゴメンと、心で謝りながら、始めにケイタの箱を開いた。
中には当時高かったヨーヨーと、中々上等なロボットのプラモデル、そして手紙が入っていた。

「20歳の僕へ、立派な大人になっていますか?辛い事もあると思いますががんばってください!」

ケイタらしい、小学生から真面目なやつだったもんなぁ…関心した。
そしてアズの箱を手に取った、アズはかわいい女の子で小学生、中学生の時は男子から結構人気はあったけど、誰かと付き合ってるって話は聞いた事無かった。
アズが何を入れ、どんな事を書いたのかウキウキしながら僕は箱を開けた。

中には果物ナイフと手紙が入っていた。
果物ナイフは木の鞘に納まっていた、手紙もその横に折りたたまれて置いてあった。
もっと女の子的なモノを期待していた僕は分けが分からなかった。
でもまぁよく考えると果物ナイフも女の子らしいかぁ…(料理とか作る時使うしね)
そんな事を思いつつ、手紙に手を伸ばした、アズごめんね、と思いながら手紙を開くとそこには。

「20歳の私へ、まだ続いているならこれでお父さんを殺してください、私は絶対にお父さんをゆるせません。絶対に殺してください、絶対にです」

僕はもう何がなんだか分からなかった、あのアズがこんな事を書くなんて思ってもいなかった。
アズの家はたしかお母さんが早くに死んでお父さんと二人暮しだった。
何度もあった事ある、アズのお父さんは優しくていい人だったと思う。
アズがなんでこんなにお父さんを恨んでいるのかは分からない。

今これを書いている僕も今年で20歳、3つの箱は未だに実家の僕の部屋にあるけど。
成人式で二人に会った時は、あの場所にはマンションが建って、タイムカプセルは掘り起こせなくなったというつもりです。

読んだらヤバイ
これを読んでしまったなら
あなたは今後少しづつ霊感が付いてしまい、忘れる事ができず一生恐怖を背負う場合があります
御注意下さい

あなたが夜眠る時、必ず目を閉じますよね
そうすると、嫌でもあなたの住居の入口付近を想像する様になります
そして扉を開き、嫌でもあなたが現在眠っている場所まで進んで行く想像をしてしまいます

[それが既に霊感であり、それが霊の目線]

一階なら廊下を進み、二階なら階段を上り
そして最後の扉を開き、あなたが眠っている側近まで進み
最後に、あなたの顔を息がかかる程に覗き込み凝視します

[その時が要注意]

異常な程、悪寒を感じる場合があります
そうなると、眠っている本当のあなたが絶対に目を開けてはいけません
しかし、どうしてもなぜか目を開けてしまう場合があります

[それは霊の怨念による力]

目前にはこの世の者ではない「何か」があなたを凝視しています
霊が死を認められず、あなたに目で確認を求める為です
見え方は、あなた自身の霊感の強さによります
そう、あなたの住居の最寄で亡くなった人間の霊が、あなたの霊感を感知し想像に入り込み、実際にやってくる訳です

あなたが夜眠る時、この話を思い出してしまったなら
その時こそ、実際に霊があなたの住居に近づきあなたに知らせている為です
大事なのはその時、この話を決して無理に忘れようとしたり振り払おうとしてはいけません
霊はその気の乱れを感知し、移動速度を上げてしまうだけです
素直に受け入れるしか方法はありません

では最後に、実際にあなたの元に呼び寄せてしまった時の対処法ですが
何ら方法はありませんのでご注意下さい

以上

人が溺れてる
友達から聞いた話

真夜中、夏のくそ暑い日に、仲の良い友達数人で、海辺で花火をして遊んでいました。
薄暗い砂浜を、花火を向けあってわーわー言いながら走り回っていると、友達の1人がいきなり、あっと真っ青な顔をして海の方を指差しました。

「人が溺れてる」

指差した先には、暗い海の中、遠く離れたとこで、ばしゃばしゃ苦しそうにもがいている人がいるのが微かに見えました。
楽しい空気も一変、これは大変だとみんな青ざめ、救助を呼ぼうにも携帯は圏外。
泳ぎの得意な奴が2人、助けに行こうと海に入ったその時、

「やめとけっ!」

後方からの突然の大声に、みんなが驚いて振り向くと、そこにはいつからいたのか、さっきまではいなかった見知らぬおっさんが。
その手には双眼鏡を持っていて、助けに行こうとした1人に

「これで向こう見てみろ」

と手渡されました。
何なんだこのおっさんと不審に思いつつ双眼鏡を覗くと…

レンズの先には、溺れていた女が笑顔でこっちに手を降っていました。

その笑顔があまりに不気味で全身鳥肌、ガタガタ震えていると、おっさんに

「あの女はこの世のものではないから、助けに行ってたら危なかったよ。今日はもう帰りなさい」

と言われ、怖くてみな一目散に帰宅しました。
後日、友達にその話を聞いた時には、

「今思えばそのおじさん、何であんな真夜中に1人で双眼鏡持って人気のない海にいたんだろうな」

ってぼそっと言われ、更にゾッとしました。

黒い滝、黒い煙
恐ろしい体験だったので書き込ませてもらう。

夏休みに友人らと肝試しに行ってきた。
社会人3年目の男3人という、ある意味で痛々しいメンバーだったが、
後にも先にも「これ以上はない」と断言できるくらいに恐ろしい場所だった。

そこは、どこにでもありそうな小さな神社。
いや、祠といったほうが正しいかもしれない。
Y県では有名な心霊スポットらしく、地元の連中でさえ迂闊に近づくことはないらしい。

「人気のない山道を進んでいくと、道の脇に小さなコンクリ製の鳥居が見えてくる」

とネットのクチコミで前情報を得ていたので、その場所はあっさりと見つけることができた。
目的地に着いた時にはすでに友人のSは半泣き状態で、

「俺はここで待ってる」

といって入り口の鳥居をくぐろうともしなかった。
仕方なく俺とTの2人だけで階段を降りることにした。

鳥居をくぐって階段を降りていくと、赤い頭巾をかぶったお地蔵様がおもむろに佇んでおり、さらに下へと降りると、6畳程度の木製の小屋があって、その中にはダンボール箱やら祭具やらがあちこちに散らかっていた。
そのまた更に奥のほうへ降りていくと、けっこう綺麗な滝があって、そこにも2畳程度のちっぽけな小屋が建っていた。
掲示板のクチコミにもあった罪人の首を切ったという青銅の剣は、滝のすぐ近くに突き刺さっており、すっかりサビていたけど何となく触れるのはヤバいと思い、せめてもの記念ってことでTと二人でケータイで写真撮ったりムービーを撮ったりしていた。

その時。
突然、Tがケータイを見ながら

「何だコレ?」

と素っ頓狂な声を上げた。
心霊写真でも撮れたのか?と思い、思わずTの携帯電話を覗き込んだ。
そこには流れ落ちる滝の水と、サビついた青銅の剣が写っているだけ。
これのどこが変なの?とTに訊くと、

「滝の水。なんでこんなにドス黒くなってんだ?」

携帯電話のムービーの画質なんぞ、たかが知れている。
が、ムービーに写っていた滝の水が、みるみるうちに墨汁みたいに真っ黒い液体に変わっていくのがはっきりと見て取れた。
なんだコレ…気持ち悪りい、などとTはブツブツ言いながら映像を削除していた。
まさかな、と思いつつ、俺は自分のケータイのデータフォルダのサムネイルを表示した。
入り口の鳥居のところから写真を撮っていたのだが、信じられないことに撮った写真の全てにドス黒い煙のようなものが写っていた。
特に、今さっき滝の近くでTを撮ったばかりの写真はおぞましく、Tの顔面と両腕しか写っていなかった。
それらを除いた空間はすべて、真っ黒に塗り潰されていた。

「これはやばいだろ…戻ろうぜ」

あまりに異様な状況に戦慄を覚え、一刻も早く車に戻るため階段を駆け上った。
階段を上る途中、上のほうから妙な音が聞こえてきた。

ゴッ!!ゴッ!!ゴッ!!

何かが何かとぶつかり合う音。
ぎょっとしながらも不気味な音源のほうに向かうと、そこは例の小屋だった。
6畳ほどの小屋の中には、上で待っていると言ったはずのSがいた。
あろうことか、Sは直立したまま、自分の頭を小屋の壁にゴッゴッと打ち付けていた。

「S!!何やってんだよ早くこい!!!!!」

Sの手を引っ張って無我夢中で階段をダッシュで上り、速攻で車のエンジンを入れて速攻でその場所を離れた。

T「おいS、大丈夫か?お前何やってたの?上で待ってるって言ったじゃん」

S「だって多いから。おまえら多いし、痛いから」

T「はあ?意味わかんねえ、意味わかんねえよ。本当に大丈夫か?」

俺は運転手だったからうろ覚えだが、後部座席で2人がこんなやりとりをしていたのは記憶している。
Sの口からは何度も「多い」「痛い」という言葉が出てきた。
Sはバリバリの体育会系で下ネタやくだらないジョークが好きな奴だけど、この時はなぜか喋る内容ばかりか口調までどこかおかしくて、TはしきりにSの体調を心配してた。

その後、国道沿いのガソスタで燃料を補給してから、コンビニで飲み物とか買おうって話になった。
コンビニの駐車場で車を降りた途端、いきなりSがゲーゲー吐き出した。
なんというか、普通の吐き方じゃなかった。
両手の指を口の中に突っ込んで、涙とか鼻水とか涎とか垂れ流しで、吐しゃ物はボタボタ落ち続けるわで。
とりあえずコンビニで天然水を買ってSに飲ませた。
Sは水を飲むとだいぶ落ち着いたようで、先程のことを話し始めた。
Sの口調はいつも通りに戻っていた。

Sが言うには、
・コンクリ製の鳥居をくぐったTと俺の後ろに、もう一組の2人の男がいた。
・2人組みは地蔵の近くにある小屋に入って、それっきり出てこなかった。
・しばらくしてから、小屋の中から「痛い、痛い」と悲鳴のような声が聞こえてきた。

で、気がつけばSは小屋の中にいたらしい。
Tも俺も、Sがこれだけ冷静にあの時の様子を見ていたことに驚いたが、
写真やムービーに写っていた黒い煙や黒い滝については全く心当たりがないそうだった。
かく言う俺らも、後ろに2人の男がいたことや「痛い、痛い」という悲鳴には全く心当たりがなかった。

結局何も分からないままだったけど、あの場所には二度と行くまいと誓った。
写真に写った黒い滝、黒い煙、Sが見たという2人の男は一体何だったのか。
謎と恐怖だけが残った。

山の穴
十年以上経つので私の話を投稿します。
長くなるので短いのが好きな方はすみません。
スレ汚し失礼します。

小学生の時に、兄と私と友人数人で地域で有名な公園によく遊びに行ってました。
そこは他校と私たちの小学校の双方の真ん中にあるので、他校であろうと仲良く一緒に遊んでいました。

ある夏休みの日。
近くにある市民プールに行って、帰り道にその公園でそれぞれ親に作ってもらったお昼を食べて、他校の学生も数人あつまり始めてきたところで彼らとともに探検ごっこをすることになりました。
その公園の真ん中には川が通っており、その奥は鬱蒼とした森となっています。
川と言っても、横幅はあるのですが、水はあまり流れておらず、足元がぬれても構わないなら渡れるぐらいの深さです。

その森を真っ直ぐ上って行くと山に入るのですが、山の少し前に高速道路が通っている為、山と公園をつなぐ森の中にトンネルのような空間が出来ているのです。
つまり上に高速道路が通っている為そこだけ空が見えず真っ暗になっているのです。
そこを私達は「山の穴」と呼んでいました。

とりあえずはそこまで川を挟んで二手に別れ、上っていこうということになりました。
私は兄と友人(女の子)と他校のA君B君と一緒に、他の友人達は他校の人たちとそこへ向かいます。

そこから私達は森を突っ切り、山の穴を目指して歩き出します。
少し歩くと川の幅が大きくなりだし、さらに進むと向こう側の友人達は小さくしか見えなくなります。

そこからケモノ道に入り出し、木々も増え始めます。
彼らも同じように森に入る為、互いの姿は確認出来なくなりあとは山の穴を目指すのみ。

A君やB君とも仲良く話しながら私達は山の穴に到着することができました。
少し遅れて反対側から声が聞こえます。

「お~い、着いたかぁ?」

と山の穴に響いてきます。

「こっちはだいぶ前からいるぞぉ~!」

と返します。

「お~い、一人そっちに行くからな~」

と誰かが伝えてきます。
少し待っても誰も来る気配はありません。

「だれもこないぞー」

と更に返します。
相手からはうんともすんとも返事がありません。

「お~い、誰もこないぞー!!」

と更に大きな声で言います。
返事はありません。
上からはゴォー、ガタン、ゴォーと車が通る音が聞こえてきます。

「お~い、なんか言えよー、聞こえないぞー」

と兄が叫びます。
その瞬間にゴトン。
ドオオオンと音がします。
山の穴にその音が反響されて更に大きくガーーーン。
ボーンと音がします。

私達は無言になり、不安でいっぱいになってきました。

どうする、もどろうか。

A君が言い、兄も友人もそうしようと言うので私とB君はそれに従い、今来た道を戻り始めました。
山の穴の上から煙が出ています。
上で何があったのか。
私達は特に気にせず、戻ります。

ケモノ道を再度戻っている最中に後ろから

「お~い、こっちにいかないのかー?」

と声が聞こえたのであれ?友人達は川を渡ってこっち側に着ていたのか。
と振り返り、山の穴に向かい声を掛けたのです。

「さっきから誰も返事せんから戻ってたぁ」

と。

「お~い、遅いぞぉー」

と、早く山の穴に戻って来いと急かす様に何度も大声で言ってくるので、私たちは走りながら戻りました。
山の穴の上、高速道路の側面の壁から糸(大きさ的にはロープと思って頂いていいぐらいの大きさですが何故か糸としか思えないのです)が垂れてます。

4本の糸が垂れておりその下の端に白い旗の様な物がヒラヒラと揺れていました。
道路の壁の向こう側からはヒューヒューと風の音が聞こえ、同時に

「お~い、さっきも二人そっちにいったぞー」

と山の穴の奥から声が聞こえてきました。
見ると、B君は震えています。
私は兄のシャツをギュっと掴んでました。
糸がスーっと垂れて下にゆっくり落ちてくるように見えるのです。
その糸の端で白い旗がユラユラゆれてます。

兄が後ずさりしはじめ、A君は歩みを止めて旗の下のヒラヒラを睨み付けます。

「お~い、おくにいかないのかー」

と山の穴から声が聞こえてビクッとなる私達。
来ないのか、では無く更に奥に、いかないのかと。
私達を呼びます。
一緒にいた友人が叫び、

「だああれええ?みんなそっちにいるのお?」

と問いかけるものの、山の穴からは風が吹き抜けるのみ。
降りてきている糸がユラユラとぼやけて先ほどより太くみえます。
ユラユラしていた旗が膨れて丸みを帯びてるように見えます。
4本の糸の内1本が壁をシャクトリムシの様に這い上がっていきます。
他の3本はゆっくり下に落ちてきます。
クネクネ、フラフラしながら。

「おい、こっちぃこい」

と凄く近くから声が聞こえたのですが、変な事に真上から声が聞こえてくるのです。
聞いたこともない女の人の声でした。

それを聞いたB君は逃げ出しました。
私は逃げていくB君の背中を眺めたまま、どうすればいいか混乱して立ち尽くしてしまいました。

怖くて兄を見たとき、兄とA君が糸に絡まってみえました。
友人は必死に兄を何かか守るように引っ張っていました。
それをみて私は逃げだそうとしました。
だけど、兄が何かに連れて行かれる気がして、数歩走った後に振り返りました。
振り返るとそこには兄の顔が逆立ちの様に上下逆で目の前に。

聞いたことも無い様な声で

「ギャアアギャアギャアア」

と叫んでいます。
私はその場で腰を落としてしまいました。
兄は吊られた状態なのか体が逆さまだったのです。

B君は振り返らずに一目散に逃げて行きました。
友人は必死に兄の名を呼んでいます。
A君はいつの間にか居なくなってしまいました。
私は神様、お母さん助けてと心で祈るのみで何もできません。

少し前の方では、友人が兄の体に巻きついた糸を必死で千切ろうとして居ます。
そこで兄が二人居ることに気づきます。

「ギャアアアアギャアアアアア」

と叫ぶ糸から垂れてる兄と

「この離せ!!」

と友人と必死で糸を引き千切ってる兄です。
目の前の兄は顔は悶絶としながら涎を垂らし髪の毛を下に逆立てて

「ギャアギャアアヒャヒャ」

と叫びとも笑いともつかぬ顔で私を見ています。
私はそれを避けて、友人が必死で糸から引き剥がそうとしている兄に泣きながらしがみ付き、お兄ちゃん、お兄ちゃんと糸を必死で剥がしました。

どうにか兄から糸をとって自由になると同時に

「お~い、こっちー、こっちに皆いるぞー」

と山の穴からA君の声が聞こえます。
私達は怖くて顔を見合わせ、公園に向かって逃げ出そうと振り向く。

そこには先ほどまで居た逆さづりの兄はおらず、代わりに、ユラユラと空中に浮いた虫のように白く膨張したボールを下に垂らした糸が空から垂れています。

それを恐る恐る避けて行こうとするとボールの様な何かが

「ウヒャヒャアアヒャアアヒャアアアヒャヤアア」

気でも違ってる人の様な笑い声をあげてゆっくりと地面に下りてきます。
私達は急いで公園へ向かいました。
後ろから兄が

「後ろ向くなよ!○○(私に)、○×(友人)、後ろ向くな、逃げろ!」

と言い、私は

「お兄ちゃん、お兄ちゃんいる?」

と泣きながら、それでも逃げながら兄が近くに居るのか、又捕まってはいないか、と心配になりながら兄を呼びます。
兄はすぐに

「居る、居るから!いいから振り向くな、とにかく公園に逃げろ!」

と後ろから声を掛けてくれます。
友人が

「大丈夫、私が××(兄)の手をもってる。大丈夫だから公園に!」

と私の手も取って一緒に公園まで逃げます。
森を突っ切って公園に入ると、B君は心配そうにこっちを見てウロウロしながら震えていました。
私達が走ってくるのが見えると彼は悲鳴をあげ、逃げ出し始め、それを見て私達も後ろにまだついてきてるのだと思い、手を繋いだまま逃げました。

人が集まる広場まで出るとB君が大泣きしながら、他の知らない子達に

「何があったの?どうしたの?」

と慰められており、私達もそこまで行き三人で腰を落として泣き始めました。
しばらく泣き、落ち着きはじめるとB君が

「Aは?Aは?」

と聞いてきます。
兄が

「山の穴で他のやつらと会ったみたい」

と説明し、皆の帰りを待つことに。
更にしばらくすると反対側に行っていた友人達が、広場に私達を見つけ近づいてきました。

「お前らどこに行ってた?Aは?」

と兄やB君に聞いてきました。

「え?A君が山の穴でお前らに会ったって言ってたよ?」

と兄が混乱しながら彼らに伝えます。
彼らはA君と会っていないとの事なので、私達は

「山の穴で声をかけたでしょ?」

と尋ねました。
しかし、彼らは何度も叫んで私達を呼んだが返事が無かったからお菓子を食べ、その最中に道路からゴーンと音がして怖くて逃げてきたらしく、その後、上の道路から煙や救急車の音が聞こえたので事故があったのかとこちらへ戻ってきたとの事でした。

そこで私達は今あった事を全て彼らに伝えて、A君は山の穴で彼らに会ったと言っていた。
私達は怖くて逃げた。
とも言いました。
私達の友人は兄が怖がるとこをあまり見たことなくて、そんな嘘もつかないだろうと信じてくれましたが、他校の友人達は

「なんだそれ?ガキじゃあるまいし」

と一笑してB君にA君探しに行くぞと声を掛けて無理やりつれて川に戻りました。
私たちも川までは着いて行きましたが、森に入るのは流石に怖く、ここで待ってると言うと

「もういいよー、お前らの学校は怖がりが多すぎるガキばかりじゃねー」

と笑いながら他校の彼らだけが森へ向かってA君を探すことになりました。
そこで急に、向こう側に行っていた私達の友人の一人が、B君の背中に指をさしながら

「おい、いかんほうがいいんじゃないのか」

と言いだしました。
彼らは振り向きながら、何があるのかとB君の背中を覗き込みます。
言った友人は私や兄、一緒に行った友人の背中を次々と覗き込みます。
私達は何があるのかと兄や友人の背中を交互に見てみますが、別に何もありません。
しかし、他校の友人達は

「うわぁ、な、なんだ?」

とか

「ひー」

と腰を下ろしだし、B君は自分の背中を見ようと首を後ろに向けたのですが、見えるはずもなくクルクルとその場で回り始めました。
彼は何?何なの?と友人達に泣きそうな顔で聞いており、私達はその場で足踏みをしている彼の背中を凝視しました。

まずは私が小さな悲鳴をあげて腰を落とし、友人もそれに続き、兄だけは声は出したものの、ソレを掴もうとB君に近づきました。
私と友人は兄を止めてB君に服を脱いで見るように言いました。

B君は急いで上着を脱いで地面に叩きつけるように置きました。
そして上着の背中に蠢く小さな虫のような糸のような何かを見つけました。
それはさっき私たちが見た上から垂れてきた糸と同じようなそれを縮小したような物で糸の先にヒラヒラと小さな旗がついていました。
それはクネクネ、ウネウネと蠢いてシャクトリムシの様な虫にしか見えないのです。

が。
旗が膨張したり、平ぺったくなったりを繰り返しており、膨張したときにA君の顔に見えるのです。
一瞬旗に戻り、一瞬A君の顔になる。
体は糸ノママ、ウネウネとしたまま。

それがB君の上着にくっついていたのです。
B君はあろうことか、うわぁーとその糸を靴で踏み潰して蹴りながら、服から除けようとしました。
何度も何度もソレを踏み潰してるうちに膨張した時のA君の顔が潰れて旗の状態にもどらない代わりに、平ぺったくなりました。

それでもウネウネと動き続けていました。
私達は呆然とそれを見ています。
B君以外は何をどうするべきなのかわからないから。
いつの間にかB君は笑ってました。
必死な顔がニヤニヤしてるように見えただけなのでしょうが、
どうにも笑って見えるのです。

その行為を永遠に続けるのでは無いか?と思えるぐらいに、何度も何度も糸を、虫を、A君に見えてしまうソレを
踏み潰しては蹴りあげてのけようとしていました。

数分後にその糸が服についてないことに気づいたB君の友人が、B君を止めて服を拾い上げて確かめた後に地面を見回すのですが、近場にはいくら探しても糸は落ちていませんでした。

その後、彼らは山の穴に近づくことを諦め、川でB君の服を洗っていました。
私達はどうするでもなく、ただ呆然と、傍らに座ってそれを見てました。
彼らは怖さでなのか、又はA君を探せないことへの心苦しさからなのか、涙を流しながら川で服を洗っていました。

A君は夕方4時になっても5時になっても帰ってきませんでした。
他校の生徒の一人がその間、学校から先生を一人つれてきました。
その先生に今までの事を全て話しましたが、私達の言うことをウンウンと聞いたあとに兄に私達の学校の先生を呼んでくるように言いました。
その後私達の先生に事情を説明しました。
同じようにウンウンと聞いた後、他校の先生と何事か話しあい、私達はとりあえず帰るようと指示し、一人の先生は学校に戻っていきました。
多分応援というか、他の先生を呼びに行ったのでしょう。

夜に先生から電話があり、翌日に学校に来るように言われました。
親も色々と先生から話を聞き、一緒に明日学校に行くから今日は寝なさいと私と兄に厳しい顔で言いました。

翌日、学校に私達と友人、親達が呼ばれており、これから他校に行くとの事でみんなで他校に向かいました。
他校ではB君を始め、昨日遊んだ友人とその親が集まってました。
それから他校の先生が口を開きました。

「A君が昨日亡くなりました。事故だと思います。詳細は親御さんに伝えますので、生徒の皆さんはこちらへ」

と職員室を指差しました。
私は涙が止まりませんでしたが、母は私と兄の頭をグッと押した後に引き寄せて

「しっかりしなさい。先生に何があったかをちゃんと言っときなさい」

と送り出しました。
職員室では昨日あった事を伝えたのですが、先生達は信じているのかいないのか、何度も何度も同じ事を聞いてきます。

「A君をいじめたんじゃないんだな?A君に何もしてないんだな?」

と。
私達は「虐め」の言葉が出てくるとは思いませんでしたので、何度も説明を繰り返しました。
先生達は最後にわかったと言い、親が来るまではゆっくりと泣きじゃくる私達を宥めていました。

家に戻ってから先生に言ったことと同じことを親にも言いました。
それと何故イジメと思われたのかを聞きました。
それは知らなくて良いとの事で、母は私達に嘘をつきました。

「A君が死んだのが川だったから落ちたのか落とされたのかわからなかったんだって」

と。
私達を心配しての事だったのでしょう。
その後親に連れられてみんなでA君の葬儀に行きました。
棺の中を見ることは出来ませんでしたが、A君の母親は私達に憎しみを持っているかのように

「よく来れたわね!顔をよく出せたわね!」

と皆の顔を憎々しげに見てそれぞれの両親にも毒を吐いてました。
A君の父親がそれを制して頭を下げたので、私達も頭を下げ、親は謝りながら帰っていきました。

さて、何故、私達がこれほどまでに彼の母親に憎まれたのか。
何故、親が嘘を言ったとわかったのか。
何故、先生が私達に虐めじゃないのか?と言ったのか。
すぐに答えはわかりました。
それはA君の死因でした。
ローカルニュースで何度か取り上げられたのです。
彼の母親がマスコミにでも駆けつけたのでしょうか。
小学生死亡、イジメが原因か?
というような見出しで。
A君の学校の生徒に「A君は虐められてたの?」とインタビューするシーンがTVで何度も報道されました。
もちろん誰一人虐められてたと言う人は居ませんでしたが。

ニュースでは、A君の死因は撲殺されていたそうです。
顔がぺしゃんこになってしまっていたそうです。
そのころにはイジメどうのこうのでは無く、不自然な死因という感じで取り上げるようになっていました。

警察は事件・事故の両面で調べているいるとの事だったので、不思議な死因を殊更に取り上げていたのかもしれません。
誰かに何度も何度も踏まれたかのように。
何度も何度も地面に擦り付けられたかのようにA君は顔が潰れていたのだと。
これを親は一切私達に伝えていませんでした。
伝えられなかったのでしょう。
数日後の登校日に全校集会でその公園の奥には近づかないようにと何度も校長先生や担任が言いました。
犯人がいるとするならば未だつかまってないからです。

それから十数年が経ち、私達は何故かその話を頭から消していました。
まったく覚えていなかったと言う訳ではなくて、思い出したくなかったのです。
後々の警察発表では事故ということになってました。

思い出したのはなぜかというと兄と私がA君を見たのです。
兄と付き合ってる彼女であるその当時に一緒にいた友人も一緒に。

3人が一緒にA君を見たのです。

兄と友人は中学卒業後から付き合いはじめました。
私達はそれ以降も3人でよく遊んでいました。
大学生になった私達は、ある日、3人で車で買い物に向かっていました。

高速道路で都会のある町へ向かう途中、事故があった為、渋滞になってました。
私達はインターを入ったばかりで戻ることも出来ず、ただ車が流れるのを待つばかり。
少し進むと前の方に車が横転しているのが見えました。
山の穴のある位置のちょうど上にあたる場所で。

車からはウネウネと糸が出てきていました。
クネクネと横転した車の窓から出てきているのです。
旗はヒラヒラゆれてました。
私は兄と友人を見たのですが、二人とも唖然としていました。
車がすこしづつ進み事故現場の横を通ります。
前の車に乗っている子供がウネウネしている糸を指さしています。

私達はクネクネしている糸を見ないようにしていましたが、その子供の車の窓の横に白い糸が降りてきています。
子供は親に何か言ってるようですが、前に座ってる彼の両親は何も見えてないのか振り向きません。

旗は膨張してきだし、目を背けたかったのですが、どうしても無理でした。
金縛りのような状態なのです。
膨張した旗がA君の顔になってきました。

「ヒッ」

と悲鳴をあげてしまい、兄を見ます。
兄も真っ青になりながら車を少し進めました。
そのとき、都合悪く、CDを掛けていたのですが音が急に飛び始めたのです。
同じ音をずっと繰り返します。

「ギャーギャー、ギャーギャー。ナ、ナ、ナナナンデ、ナナナンデ」

と聞こえた気が。
前の車が流れ始めて私達も事故現場を通り過ぎようと、少し車のスピードを上げました。
A君の顔をした糸は旗に戻ったりしながら、クネクネとゆれながら助手席の窓の横を逆立ちのよう状態でこちらを見ています。
CDは飛び飛びであまりの恐怖から

「ナンデ、ボクガ」

と聞こえてしまい心臓が飛び出しそうになり、兄は振るえながらも車を運転し、加速をつけてそこから逃げ出しました。
私は真横にいたクネクネしたものを視界の横に捉えつつ、悲鳴が出そうな口を押さえて真っ直ぐに前を見続けます。
視界の端では、糸の下についてるA君の顔が旗に戻るように平ぺったくなりだし、真っ赤になりながら、萎んでいく様を捉えていました。

通り過ぎたものの、怖さから運転も儘ならずそのまま高速を降り、近くにある魔よけで有名な神社に向かい御払いをしてもらうことになりました。

それ以降、私達は糸を見たことは無いのですが、あの糸は何だったのかと今でも不思議です。
ロープぐらいの太さなのですが、
糸としか思えないので糸と言ってます。

あれは死んだ人の魂なのか、それとも何か別のモノなのか。
未だに理解ができません。
その高速道路を通る事はそれ以降ありません。
そこは未だに事故が多い場所で、その糸のせいなのか、もしくは山の穴が何か関係するのか。

結局結論はわからずじまいですが、私が体験した話です。
原因も山の穴に何かあるのか、その場所にあるのか等も一切わからないままですが、これ以上の体験はありません。

文章を見返しましたら、デシタマシタ口調であまりにも下手なのですが、これ以上、上手にする自信もありませんのでこのままで失礼します。
長々となりましたが読んで頂けただけでも有難いです。
それでは色々(規制や乱文等)失礼しました。
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