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走り屋群像劇場『走り屋3rd+』



【走り屋群像劇場『走り屋3rd+』】

走り屋群像劇場『走り屋3rd+』 ACT9:兵隊


「とまあ、今年は正月からとんでもない目にあったんだよ…」

1月も既に半分過ぎ去った頃。
大竜寺の赤門の前、春日シンジは愛車にもたれかかっていた。

「そんなことがあったのか」

赤門からひょっこりと姿を表したのは高木ヒロユキ。
高木は自販機であたたかいコーヒーを5本買うと、その内の1本をシンジに手渡す。
シンジはサンキュ、と礼を述べると缶コーヒーのプルタブを開けた。
プルタブを開けた途端、シンジの顔つきが変わった。

「どうしたんだ?」

高木は不思議そうにシンジの顔を見る。
シンジは真っ直ぐ視線を前に向けている。
高木は、シンジの視線の先を追った。

「うお!?」

高木は驚きの声を上げた。
危うく缶コーヒーを落としそうになる。
高木とシンジの目の前に知らない人が立っていた。
気配もなく、急に現れたかのように、そこに立っている。
それだけならまだしも、知らない人の服装が2013年の現代にしては異様だった。
知らない人はヘルメットを被っており、襟足に布がひらひらしていて、緑色の作業服のような格好で、足には包帯が巻かれている。
例えるなら…

「兵隊だな」

シンジは自分が見ているありのままの光景を呟く。
確認するように高木の顔を見る。

「どう見ても兵隊」

高木も認めた。
どうやら見えているらしい。
高木には霊感はない。
普段は大っぴらに言わないが、住職をしているだけあって、シンジにはかなり強力な霊感があるという。
霊感持ちは霊感のない者の霊感を少しだけ増幅させることが多々ある。
普通は少しは怖がってもよさそうなものだが、昼間ということもあってか全く怖くなかった。
と、いうのもその兵隊っぽい人はキリッとしていて優しげで、古き良き日本人の顔という感じだった。
害をなすようには見えないので、シンジはひとまずホッとした。
兵隊は更にシンジに近付いて来る。
手を伸ばせば触れるくらいそばにいる。
意外と背は低いな…と高木はぼんやりと様子を見ていると、兵隊は意思疎通をはかってきた。
身体の中に声が響いたような…身体の中に直接語りかけてくるような…

【それは一体何でしょうか?】

兵隊はまじまじと缶コーヒーを見つめている。
シンジは柔和な笑顔を浮かべて言う。

「缶コーヒーだよ。半分こしよう」

まだ口をつけていない缶コーヒーを兵隊に手渡した。

【失礼します】

そう声が響いて、両手に缶コーヒーを持ってふぅふぅしながら兵隊はゆっくりと飲んだ。
意外と猫舌なのかもしれない。
兵隊の顔は柔らかくてすごく嬉しそうなのが印象的だった。
半分ほど飲み終わって、また声が響く。

【こんなにうまいものがあるんですね】

「何なら、全部飲んでも構わんよ」

シンジは言ったが、兵隊は首を横に振って缶コーヒーをシンジに返して敬礼した。
そして、ふわっと消えた。
戻ってきた缶コーヒーはプルタブが綺麗に閉じていた。
さっきシンジはプルタブをしっかりと開けたのに。
缶は軽く、振ってみると中からは半分だけ残った水分の音がぴちゃぴちゃと聞こえるだけだった。
あまりに不思議なので、シンジは高木に缶を手渡した。

「なんだこれ…?」

高木でも謎を解明することは出来なかった。

END.
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