002:約束
ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲~ます♪ 指切った♪
結局、彼は約束を守らなかった。
いや、守れなかったと言うべきか。
あれほど2人で誓ったのにね。
私が成人して間もない頃、彼は私に話し掛けたのがきっかけだった。
何処にでもあるありふれた話。
私と彼はすぐに恋人になった。
彼は約束をするのが好きな人だった。
「ねぇ、僕の事好き?」
「ええ、好きよ。 大好き」
「本当に?」
「本当よ。 嘘はつかないわ」
「そっか。 じゃ、いつか結婚しよう」
「本当に?」
「ああ、本当に本当さ。 約束するよ」
差し出される小指。
小指と小指が複雑に絡み合う。
私と彼は永遠の愛を誓った。
……筈だった。
「ゴメン、君とは結婚できない」
「どうして?」
その理由は後で分かった。
彼は既に他の女と結婚していたのだ。
「ねえ、知ってる?」
私は部屋で小さく呟く。
指きりは、遊女が客に愛情の不変を誓う証として、小指の第一関節から指を切って渡したことに由来する。
これにはかなりの激痛が伴うため、それほど愛してるということを意味し、貰う客も、遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要だった。
そして、この「指きり」が一般にも広まり、約束を必ず守る意味へと変化したのである。
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲~ます♪ 指切った♪」
部屋には、小指を切り落とされた男が横たわっていた。
END.
結局、彼は約束を守らなかった。
いや、守れなかったと言うべきか。
あれほど2人で誓ったのにね。
私が成人して間もない頃、彼は私に話し掛けたのがきっかけだった。
何処にでもあるありふれた話。
私と彼はすぐに恋人になった。
彼は約束をするのが好きな人だった。
「ねぇ、僕の事好き?」
「ええ、好きよ。 大好き」
「本当に?」
「本当よ。 嘘はつかないわ」
「そっか。 じゃ、いつか結婚しよう」
「本当に?」
「ああ、本当に本当さ。 約束するよ」
差し出される小指。
小指と小指が複雑に絡み合う。
私と彼は永遠の愛を誓った。
……筈だった。
「ゴメン、君とは結婚できない」
「どうして?」
その理由は後で分かった。
彼は既に他の女と結婚していたのだ。
「ねえ、知ってる?」
私は部屋で小さく呟く。
指きりは、遊女が客に愛情の不変を誓う証として、小指の第一関節から指を切って渡したことに由来する。
これにはかなりの激痛が伴うため、それほど愛してるということを意味し、貰う客も、遊女の思いに応えるくらいの気構えが必要だった。
そして、この「指きり」が一般にも広まり、約束を必ず守る意味へと変化したのである。
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボン飲~ます♪ 指切った♪」
部屋には、小指を切り落とされた男が横たわっていた。
END.
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