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027:葛藤

書くべきか書かざるべきか…
未だに悩んでいた。

葛藤

『実話系怪談』というものがある。
いわゆる『実際にあった怖い話』の事である。
私はいくつかその話を知っているが、ここに書くべきか書かざるべきかで悩んでいた。
書く事は簡単だが、その内容が身の毛もよだつ内容なだけに、私は葛藤していた。
15年以上前の本当の話。
近所で殺人事件があったという。
父と息子が歩いていると、不良達に絡まれた。
父親は息子を不良達から逃がし、警察に連絡するように言いつけた。
息子は慌てて家に戻り、警察に連絡した。
息子は警察と共に父親のいる場所へと駆けつけたが、既に不良達の姿は無く、殴り殺された父親の死体が残されただけだった。


他にもこういった実話系怪談が存在する。
もう1つ、紹介しよう。


家の近所のあるマンションでは、4~5年前、拳銃発砲事件が起きた。
撃たれた人の生死は不明。
拳銃を発砲したのは、暴力団の人間だったとか。
未だに拳銃発砲した犯人は捕まっておらず、事件の起きた場所は今でも変わらずマンションが建っているという。


まだまだ、このあたりは序の口。
もう1つ。


子供が2人、公園で遊んでいるとジーンズ姿の男が近付いてきた。
見知らぬ男は

「君、ちょっとこれを着けてくれないか?」

とビーズのついたネックレスを子供に見せた。
一人の子供が恥ずかしがっていると、横にいた友達が男に『私がする』と言ったのだが、男は首を横に振り、だったらあげないと言い放った。

「これは特別にお兄さんが作ったんだよ」

ネックレスには細い線がついていた。

「これなあに?」

「電気でピカピカ光る為の線だよ。 今スイッチを入れてくるから。 すごく綺麗に光るよ」

「やっぱり、私がしたいな…」

友達が言った。

「駄目…この首がいいから」

男は恥ずかしがっている子供にネックレスをつけると、スイッチを入れに行った。

「そのままにしておいてね。 壊れやすいから」

男は念を押すように繰り返した。
しかし、ネックレスをつけられた子供は、不意に外そうと思い、ネックレスを頭から脱ぐようにして外した。
そしてそばにあった枝の根元にかけた。
瞬間、車が急発進する凄まじい音と共に、ビンビンと空気が鳴った。
枝が激しく揺れると地面に落ち、公園の外に引きずられて止まった。
ネックレスをかけていた枝が根元からすっぱりと落とされたように丸い切り口を見せていた。
犯人は見つからなかった。


もう1つ。


月に何度かドアノブに血が擦り付けてある。
必ず電気をつけた途端、無言電話が来る。


もう1つ。


タクシー運転手は妙な男を乗せた。

「行く先を何度も変えるんですよね。 タクシー強盗に多いパターン」

最初は高層ビル街、続いて墓地、山、ダム…
これはおかしいぞと思った矢先、あろうことか男は後部座席で包丁を研ぎ始めた。

「お前、いい加減にしろ!!」

タクシー運転手は渾身の気迫を込めて怒鳴った。
男ははらはらと涙を流し、警察につけて欲しいと呟いたという。

「どうも自殺する場所を探していたらしいんですよ。 でも結局は覚悟が決められなくてウロウロしていた、と」

男はある殺人事件の犯人だった。


…書く前までは長いこと葛藤していたが、書いてしまえば随分と楽になった。
それでは今の私の状況を描写しよう。
私は新聞記者だったが、これらの怪談を書くと殺すぞととある団体から脅迫されていた。
最初は絶対に書かないと誓いを立てたが、もう私の歳は既に80歳を越えた。
これらの怪談話を墓場にまで持っていくのは流石に勿体無いと思った。
書けば死が訪れる。
故に、葛藤していた。

そろそろ、目が霞んで来た。
私の腹部に刺さっているナイフからは驚くぐらいの鮮血が噴き出していた。
今更救急車を呼んでも遅いだろう。
不思議な事に、これらの秘密を暴露できて今は満足感に溢れている。

最後に。
犯人の名前は×××


「…むごいですね、上村警部」

北川警部補はその死体を見るなり、ゲーゲーと胃の内容物を吐き出した。
上村警部と呼ばれた男は、顔色1つ変えない。

「北川警部補。 これぐらいで参ってたら警部補失格ですよ」

「平気な顔している上村警部がおかしいんですよ」

「そうですか?」

被害者は元新聞記者だった。
腹部にナイフが刺さっていた。
胸が切り開かれ、臓物が飛び出していた。
顔に硫酸がかけられていた。
何度も殴り、首を絞められた跡があった。
指は全て切り落とされていた。
目は抉り取られていた。
口には抉り取られた目が収まっていた。

END. 
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