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HOME>100のお題その1

032:忘れたい記憶

『どうにもならないことは、忘れることが幸福だ』という言葉はドイツのことわざである。
通常、記憶は感覚記憶、短期記憶、長期記憶の3つに大きく分類され、記憶されていたことを想起できなくなることを忘却という。
だがごく稀に、記憶が消えないという特殊な人間もいる。
『サヴァン症候群』という言葉をご存知だろうか?
サヴァン症候群とは、知的障害や自閉性障害のある者のうち、ごく特定の分野に限って常人には及びもつかない能力を発揮する者の症状を指す。
サヴァン症候群が発見されたのは1887年。
膨大な量の書籍を一回読んだだけですべて記憶し、さらにそれをすべて逆から読み上げるという、常軌を逸した記憶力を持った男性が最初である。

忘れる事が出来ないのがこんなに苦痛だとは思わなかった。
俺は10年前の12月3日に開店した喫茶店、『BLUE』で、本日3回目のコーヒーをがぶ飲みする。
前世の事も全て覚えている。
裏返せば、前世の記憶が消えずに記憶が蓄積し続けているという事。
苦痛な記憶を忘れたくても、忘れられない。
逆に忘れようとすればするほど、嫌な記憶が掘り起こされる。
前世ではひどい目に遭った。
電車に轢かれて胴体がバラバラに切断されて苦痛の中で死んだ。
忘れたい記憶ほど忘れられないという地獄。
嗚呼、もう嫌だ。
全て忘れて新しい人生を送りたい。
俺は喫茶店で900円を支払うと、外に出て車道を
渡ろ
う と し ?


「ああ、よかった!! 目を覚ましたわ!!」

ここは何処だ?
何故俺が病院にいる?

「あなた!!」

誰だ、この女性は?
何故泣いている?

「よかった、死んじゃったかと思ったのよ?」

俺は…誰だ?
何故何も思い出せない?

「どうしたの、あなた?」

思い出せないのがこんなに苦痛だとは思わなかった。


END.
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