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037:言葉

【037:言葉】


Drift走り屋er 番外編「っか…!!」

声が掠れて言葉が出てこない。
否、呼吸が出来ず、言葉が出て来ないと表現した方が正しいのだろうか。
時は2009年12月31日に遡る。

【君の人生は決して無駄じゃないぜ 全ての事柄には意味があるんだよ 証人は俺だ 邪魔をするならブチ破るまでさ】

携帯電話がポケットの中で自己主張を始める。
相良 走二(さがら そうじ)は鬱陶しそうにポケットから携帯電話を引っ張り出すと、通話ボタンをためらいなく押した。

「あー…もしもし亀よ」

『亀さんよ…っておい!!』

携帯の向こう側(って実際にはどっち側なんだろうね?)から兵庫県警のお巡りさん、高木 ヒロユキがノリツッコミした。

「何ですか高木さん。 用事がないなら切りますよ?」

『待て待て待たれい!! お願いだから切らないで。 ちょっと頼みたい事があるんだよ』

「却下。 クリスマスの時に俺に無理矢理サンタコスプレさせたあの日の事はまだ忘れていませんよ」

『こ、こここ今回はそんなんじゃないんだからねっ!!』

「ツンデレキャラにジョブチェンジとかキモいんでやめて下さい。 てか爆発しろ」

『相変わらず走二君は手厳しいなぁ。 少し俺の仕事を手伝って欲しいんだよ』

「だが断る」

『…と俺の誘いを拒否したら警察署の冷たい牢屋でカツ丼を貪り食う事になると思うけどそれでもOKかい?』

「明らかに脅迫じゃないですか。 分かりましたよ。 …ちっ」

『舌打ちが聞こえた気もするが、協力感謝するよ。 再度山に今すぐ来てくれ、そして俺と熱い抱擁を…』

「高木さんは一度崖から転落した方がいいと思います。 まる。 再度山ですね? お時間15分ほどかかりますがよろしいでしょうか?」

『うわー、事務的口調だ。 よろしく哀愁!!』

「凍えて死ねよー」

走二はそう言うと、携帯電話を切る。
免許証と、車のキーを面倒臭そうに引っ掴むと、自宅の近辺の駐車場に足を進める。
時刻は、夜の11時。
これといってやる事もない相良 走二は高木の誘いを受ける事にした。

「やあ、来てくれたんだね」

高木は制服姿で爽やかに微笑んだ。

「俺はこんな所、来とうなかった!!」

「さて、俺の仕事手伝って欲しいと頼んだ訳だが、その仕事の内容というのが…」

「ちょっ、待てよ!! 俺の渾身の時事ネタギャグ無視ですか!!」

「…分かりにくい上にそろそろ流行りは終わりかけてるんじゃないかな? そこまで言うならツッコむよ。 こども店長かー(棒読み)」

「もういい、俺のネタ振りが悪かったから棒読みとか勘弁してください」

「走二君は寝たフリは上手いよね」

「文字ネタじゃ伝わりにくいですよ。 そろそろ本題に戻って下さい」

「さて、勇者よ。 頼みと言うのは他でもない、暴走族を退治して欲しいのじゃ」

「何処の世界に暴走族を退治する勇者がいるんですか」

「斬新だろ? 5年後位にたぶん流行るよ。 はい、伝説の『えくすかりばー』じゃ」

「笑顔で木刀とか手渡すのやめて下さい。 俺いつからそんなキャラになったんですか? ぶっ叩きますよ。 大体、それは警察の仕事でしょうが」

「警察官も走り屋の手を借りたい時があるんだよ。 ほら、年末だし」

「脈絡がなさすぎですよ。 一般人がそんな事やって大丈夫なんですか?」

「そこらへんは俺があやふやにごまかすつもりだから大丈夫!!」

「つまり大丈夫じゃないんですよね? 俺帰ります」

「待ってぇぇぇ!! 帰らんといて!! 帰らんといてぇぇ!!」

「ここでいきなり関西弁キャラにならないで下さいよ。 キモイ」

「走二君、俺達は元々関西人だよ? だからそれゆけ走二君!!」

「驚愕の事実とともに、アンパ●マン風にそそのかさないで下さい」

「さて、おしゃべりはここまでだ。 何かあったらよろしく頼むぜ、相棒!」

突如静寂を破る騒音が、大晦日の晩に響き渡る。
その音は耳障りで、不規則で…
一言で表すなら『不協和音』。
走二は顔をしかめ、嫌悪感をあらわにした。

「何すか、あれ?」

「2ちゃんねるとかいう某巨大掲示板では『珍走団』と呼ばれている方々。 『ダサイ族』とも呼ぶらしいけど、こちらはあまり定着していない模様」

「…つまり暴走族でおk?」

「Yeah。 助さん走さん、やってしまいなさい」

「水戸黄門かお前はー(棒読み)」

高木は漁で使うような網を構える。
飛び込んできた暴走族に向かってタイミングよく網を投げる。
高木は暴走族捕獲に慣れている模様。
手際よく族の皆様捕獲に成功すると、実に嫌らしい笑みを浮かべる。
走二は密かに思った。

『あ、この人Sだ。 佐渡佐渡。 サドンデス』

「●×△◎!!」

いきなり網で捕獲された族の皆様は非難轟々である。
そりゃそうだろう。
魚でもないのに網で捕獲されちゃあ、文句の一つでも言いたくなるだろう。

「はいはい、しゃらーっぷ」

学校の先生よろしく、パンパンと手を叩いて仕切りだすT木。
何様だ。

「君ら共同危険行為で法律をぶっちぎってる訳だ…」

がつっ!!

制服姿の高木は、地面にダウン。
暴走族の一人に、背後から勢い良く殴られた高木は景気良くぶっ倒れた。

「高木さん!!」

それでも警察官ですか高木さーん。
何かあったらよろしく頼むって言ってたけどこれどう収拾つけるの高木さーん。
族の皆様が実に下品な笑いを浮かべる。
最近の暴走族は警察官の一人や二人怖くないみたいですね、まる。
族の一人が俺に近付いて来る。
確実に嫌な予感がした。
これ死亡フラグ立ってるんじゃねぇの?
高木さんから手渡された木刀で応戦っていうかささやかな抵抗をしてみるけど、運が悪い事に木刀は鉄パイプに敵わず、真っ二つに折れてしまった。
丸腰でござる。
丸腰の俺なんて麺が入ってない年越しそばなんだぜ?
って誰に向かって言ってるんだろう。

「っか…!!」

暴走族の皆様に吊るし上げられた。
襟首を掴まれ、自然に呼吸が困難になる。
声が掠れて言葉が出て来ない。
否、呼吸が出来ず、言葉が出て来ないと表現した方が正しいのだろうか。
命乞いの言葉を言う権利すら与えられず、俺は次第に意識が遠くなってきた。
嗚呼、三途の川の向こうでおばあちゃんが手を振ってるよ。
おばあちゃんはまだ存命だけど。

「俺の弟に何さらしてくれとんじゃあああああああああああああああ!!」

ごっしゃあああああああああ!!

まあ、活きの良い関西弁の暴走族さんだこと、ウフフ♪
ん、弟?
瞬間、俺の身体は開放され、お尻から不時着する。
遠のく意識は一気に覚醒の方向へ向かう。

「大丈夫か、走二」

あれ何でこの暴走族俺の名前を知ってるんだ?
どこかで聞いた声のような…

「あああああああ兄貴!!」

「大正解。 特攻服着るの何年ぶりだったかな…っとぉ!!」

ばきぃっ!!

相良 走二の兄、相良 走一はバッサバッサと暴走族を薙ぎ倒してゆく。
無双状態。

「健二、ボーッとしてないで早く手伝え!」

「うぃー」

走一と同じ特攻服を着た青年、流 健二は気だるそうな表情を浮かべてため息をひとつ。
健二が弱そうだと判断した暴走族の皆様は一斉に健二に向かって攻撃の目を向ける。

「へいへいかもーん」

健二は挑発しながら族の皆様をバッサバッサと以下略。

「あ、言い忘れてたから今更ながら自己紹介。 俺、流 健二。 Last Engelっていう暴走族チームの元・特攻隊長です!」

「健二のアホォォ!! だからLast Engelを名乗るのはやめろってあれほど…」

「いいじゃんケチケチー。 大体、走一こそもっと胸を張って名乗ればいいと思うんだ。 同じくLast Engelの副総長だって」

瞬間、空気が凍りついた。
暴走族の皆様の動きが一斉に止まった。
説明しよう!!
Last Engelとは未だ伝説として語り継がれるほどの異色の暴走族チームである。
はい、説明終わり。

「まさか…あのLast Engelなのか…?!」

ザワザワと混乱する暴走族の皆様。

「いえーす。 呼ばれて飛び出て本日だけ再結成デース」

健二はニコニコ笑う。
その場の誰もが沈黙する。
そんな中。

「ぬっふっふっ、計画通り」

お巡り高木が復活した。
地面からテイクオフすると、ゆっくりとした動作で立ち上がった。
計画通りとか言う割りには頭から大量出血してますよ高木さーん。

「よく聞け暴走族共(走一・健二除く)!! 警察官である俺を背後から殴った時点で公務執行妨害でタイーホだ!! 覚悟しやがれクソ野郎!!」

高木は声高らかに宣言すると、無線機を取り出した。

「そういう訳で藤堂、頼むぜ!!」

「馬鹿か!! お前は馬鹿か!!」

一斉にあたりが光で覆われる。
パトカー数十台が暴走族(走一・健二除く)を取り囲んだ。
高木の同僚、藤堂は苦虫を噛み潰したような顔をしている。

「いっつ・ショーターイム!!」

…それからは未曾有の大混乱だった。
細かく描写すると長くなるので割愛させていただくが、結論から言うと暴走族(走一・健二除く)は皆逮捕された。

「高木さん、一体これはどういう事なんですか?」

走二は高木に詰め寄り、尋問した。
高木はハッハッハッと陽気で呑気に笑いながら教えてくれた。

「実はちょっと潰したい悪質な暴走族チームがあってね。 でも俺と藤堂だけの力じゃその暴走族チームを潰すのが不可能だと判断した俺は走二君に協力を要請したのですよ」

「計算通りってまさか…」

「走二君がピンチになれば必然的に走一君も出てくる。 走一君が出てくれば当然、健二君も出てくると思ってね。 いやあ、これぞまさしく芋づる式!!」

「「人を害虫みたいに言うな!!」」

走一と健二は至極当然のツッコミを繰り出すと、やれやれと呆れた動作で座り込んだ。

「でも兄貴、何で俺が…」

「走二が夜の11時頃に家抜け出してるのなんて、お兄ちゃんはお見通しだ」

「ブラコンストーカー!!」

高木が話の途中にちょいちょいちょっかいをかける。
走一はうるせーうるせーと高木の頭を叩く。

「あ~…もう年明けたな」

健二は携帯電話で時刻を確認すると、呟いた。

「「「「「あけまして、おめでとう」」」」」

皆同時に同じ言葉を口にした。

「ついでだから初日の出見て帰ろうか」

「おーナイスアイデア!」

「そうしたいのは山々なんだけど…」

「高木さーん!!?」

高木は突然バッタリと倒れ込んだ。
やはり頭からの大出血がこたえたらしい。

P.S.高木さんは全治一週間の怪我を負いましたとさ。まる。

END.
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